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事業承継とは?基礎知識や流れをわかりやすく解説

目次

事業承継とは、会社の資産である人(経営権)や株式などの資産、ノウハウを次の世代に引き継ぐことをいいます。
円滑に事業承継を進めるためには、事業承継の概要や、よくある課題、事業承継の種類といった基礎知識を押さえておくことが大切です。
この記事では、事業承継の基礎知識や流れをわかりやすく解説します。

事業承継とは

事業承継とは、企業の経営を後継者に引き継ぐことです。
企業が持つ技術や人財を次の世代に引き継ぎ、安定的に経営を続けていく仕組みを整えることを意味します。
経営者様がどのように企業を承継していきたいかという思いはそれぞれです。
満足のいく事業承継を実現するために、本記事を事業承継の入り口としてご活用ください。

事業承継の背景

中小企業においては、後継者不足や税金の負担によって、経営者や後継者候補が事業承継の際に苦労するケースが多いのが現状です。
経営が黒字であるにもかかわらず事業承継を諦める企業も存在し、大きな課題となっています。
事業を引き継ぐ数年前から専門家に相談し準備を進めることで、後継者や相続に関する問題や負担を減らしながら事業承継を進めることができます。

>事業承継と事業譲渡の違いとは|従業員と後継者に最適な方法を解説

事業承継の課題

ここでは、事業承継によくある課題を解説します。

経営者の高齢化

中小企業庁の調べによると、中小企業では経営者の高齢化が進んでいます。経営者年齢のピークは、2000年の50代に対して、20年後の2020年には60代から70代に上昇しています。
後継者不足によって候補が見つからないまま経営者の高齢化が進み、そのまま廃業してしまうこともあります。また、事業承継の準備や引き継ぎを先送りにしたまま、経営者が年齢を重ねている会社も多いのが現状です。
出典:中小企業庁

後継者不足と廃業

経営状況は良好であっても、後継者が見つからないことを理由に廃業を余儀なくされる企業もあります。それにより、これまで培ってきた技術やノウハウが失われてしまい、中小企業が大半を占めている日本全体の問題になっています。

親族内に後継者候補がいない場合や、子供がいたとしても、「苦労をさせたくない」「経営者としての資質に不安がある」「子供自身に引き継ぐ意思がない」などの理由により、廃業を選択する経営者も存在するのです。

>後継者不足の現状と解決策|中小企業の事業承継について

税金の負担

事業承継にまつわる相続税や贈与税といった税金の問題は、後継者問題とともに事業承継を妨げる要因になっています。
中小企業であっても、自社株の評価が高い企業の場合は、税金の負担が大きくなります。結果的に資金が不足し、経営に悪影響が出る可能性も否めません。

>事業承継にまつわる問題と解決策|承継トラブルのリスク回避方法

事業承継の種類

事業承継は大きく分けて次の3つの方法があります。

1. 親族内承継

子供や孫など、親族へ事業承継する方法です。

✔親族内承継のメリット

  • 取引先や従業員の理解を得やすい
  • 早い段階で準備が進められる
  • 事業承継のタイミングを柔軟に決めやすい

✔親族内承継のデメリット

  • 親族に適任者がいるとは限らない
  • 相続人間でのトラブルになる可能性がある

2.親族外承継

従業員や役員の中から後継者を選ぶ方法です。

✔親族外承継のメリット

  • 後継者の選択肢が広がる
  • 企業の文化を理解した後継者の場合は周囲からの理解が得やすい
  • 承継後の事業がスムーズに進みやすい

✔親族外承継のデメリット

  • 株式買取の資金が後継者にない可能性がある

3.M&A

売却によって第三者に事業承継する方法です。親族や従業員に適任者がいない場合でも、M&Aを活用することで事業を引き継ぐことができます。

✔M&Aのメリット

  • 従業員の雇用を守りやすい
  • 会社を売却することで経営者が現金を得られる
  • 後継者がいない場合であっても承継が計れる

✔M&Aのデメリット

  • 親族や従業員ではない人が承継することへの理解を得られない可能性がある
  • 外部の人間による承継により従来の社風がおろそかにされるリスクがある
  • 条件に合った売却先が見つかりにくい

>事業承継スキームとは?重要性と承継を成功させるための選択肢を解説

事業承継で引き継ぐ3つの要素

事業承継で引継ぐ3つの要素

事業承継で引き継ぐ3つの要素に、「人(経営権)」「資産」「知的資産」があります。これらの要素を「誰に」「どのように」引き継ぐのかが、事業承継の重要なテーマです。

1. 人(経営権)

会社の経営権を、現経営者から後継者に承継します。中小企業の経営は、経営者の資質や能力などに大きく依存しているケースが多く、経営者の交代は業績や企業に大きな影響を及ぼします。後継者の選定方法を慎重に検討するだけでなく、育成も含めた綿密な計画が必要です。

 2. 資産

株式や借入金、設備、不動産といった会社の資産をどのように引き継ぐかを、経営者と後継者が一緒になって計画します。資産の承継には税や法律の問題が複雑に絡んでいるため、事業承継に詳しい専門家を交えて進めるのが一般的です。

3. 知的資産

知的資産とは、経営理念やノウハウ、技術、信用、人脈などの目に見えない資産のことです。知的資産は会社の大切な資産のひとつであるため、適切な方法で引き継がなければなりません。知的資産の棚卸しは、経営者が会社の強みや事業が成功した秘訣などを考えることから始めます。

事業承継の流れ

事業承継は、次のような流れで進めます。

事業承継の流れ

親族内承継・親族外承継

親族内や親族外(従業員など)で後継者が決まっている場合の事業承継の流れを解説します。

1. 事業承継の準備の必要性を認識

経営者と後継者で事業承継について話し合いを始めます。事業承継の支援機関や税理士、弁護士などの専門家への相談もあわせて進めます。

2. 経営状況・課題の把握

企業の経営状況や課題を把握することで、後継者に「何を残すべきなのか」が明確になります。まずは、自社の経営状況を可視化し、事業承継に向けて課題を洗い出しましょう。市場環境や将来的な企業の目指すべき姿も考慮し、自社の強み・弱みを客観的に分析することが大切です。

3. 経営改善

後継者が「引き継ぎたい」と思える魅力的な企業にするために、経営改善を行います。また、事業承継後も成長し続ける企業にするため、企業の価値を高めていくための取り組みも欠かせません。

4. 事業承継計画の策定

事業承継計画とは、中長期的な経営方針や事業承継の方向性など、具体的な進め方を定めた計画書のことです。経営者と後継者が会社の10年後を見据え、逆算して事業承継計画を立てます。

5. 事業承継の実行

事業承継計画をもとに、事業承継を実行します。事業承継の準備をスタートしてから実行するまでには時間を要するため、余裕を持って着手する必要があります。また、円滑な事業承継をするためには、随時公的機関や専門家に相談を行いながら実行するのが望ましいです。

>親族内承継とは?メリット・デメリットと円滑に引き継ぐポイントを解説

M&A

M&Aの場合も基本的な流れは親族内承継・親族外承継と同じですが、各フェーズでM&Aならではの注意点があります。

M&A 事業承継

1. 事業承継の準備の必要性を認識

M&Aの場合は、株式の譲渡などの手続を、より慎重に行う必要があります。早期から事業承継の支援機関やM&A仲介会社などに相談することをおすすめします。

2. 経営状況・課題の把握

自社の状況に詳しくない第三者にもわかるよう、データなどを用いて経営状況や課題を可視化します。

3. 経営改善

M&Aの場合、買い手がつくかが重要なポイントです。財務状況によっては買い手が見つかりにくい可能性もあるため、買い手探しを実行するまでに状況を改善しておく必要があります。

4. 買い手探し・交渉

M&A仲介会社、マッチングサービスなどを通して買い手を探します。買い手がすぐに見つからなかったり、交渉に時間がかかったりすることも考えられます。M&Aの検討を始めたら、専門家を交えて速やかに事業承継計画の立案を始めましょう。

5. 事業承継の実行

株式や経営権、資産などの承継を実行します。M&Aの場合は、親族内承継・親族外承継に比べて従業員への説明や手続に時間がかかる点に注意が必要です。

>事業承継に必要な手続きとは|承継前の準備と流れ、相談方法を解説

円滑な事業承継のために必要なこと

期間に余裕を持って準備をすることで、経営者と後継者の双方が満足のいく事業承継が実現できます。

事業承継に向けた早期の計画

後継者の選定や育成、経営状況の改善、買い手企業とのマッチングなどには時間を要します。「まだ早い」と思わず、できるだけ早期に事業承継の準備と計画を進めることが大切です。

自社株評価の計算

自社株を相続する際には相続税がかかります。評価が高い場合は税金が大きな負担となり、それがネックとなって事業承継が実現できなくなる可能性もあります。自社株評価について理解を深め、金額を把握しておきましょう。

>円滑な事業承継のために知っておきたい株価算定|自社株評価の算出方法

事業承継税制の活用

事業承継税制とは、事業の引き継ぎ時にかかる多額の贈与税や相続税の納税を猶予・免除することで、事業承継を後押しするための制度です。

制度の適用には一定の条件があり、すべての企業にとって事業承継税制の活用が最善の手段とは限りません。手続も複雑なので、専門家のアドバイスをもとに進める必要があります。

>事業承継税制に必要な特例承継計画とは|書き方と提出方法を解説
>事業承継で起こりうるトラブル5選|失敗しないための対策と注意点

事業承継のご相談はボルテックスへ

中小企業庁が公表した「事業承継ガイドライン」によると、事業承継には5年から10年の期間が必要とされています。不確定要素も多いため、早期から専門家を交えて計画的に進めることが求められます。
まずは、事業承継のプロフェッショナルとともに、ご自身の悩みを棚卸しするところから始めてみてはいかがでしょうか。

事業承継のお悩みはボルテックスにご相談ください

監修者

金子 賢司かねこ けんじ

CFP

東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。

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