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内部留保とは?
使い道やメリットをわかりやすく解説

(画像=denisismagilov/stock.adobe.com)

目次

2020年初冬から始まった世界的なコロナショックの影響により、賃貸オフィスの家賃が支 賃が支払えず廃業に追い込まれる企業が数多く見受けられました。このような時代の大波にさらされてしまう原因の多くは、売上が激減しても払い続けなければならないオフィスの「固定費」です。今後、有事の際でも平常運転を続けられる企業体力をつけるためにはどのような方法が最適なのでしょうか。

本記事ではオフィス保有で内部留保することについて、以下の5つの観点から解説していきます。

  1. 勘違いしがちな「内部留保」をしっかり理解する
  2. 「内部留保」として不動産を運用する意義
  3. 自社オフィスを持つ有用性
  4. 自社オフィスを持つ際の注意点
  5. アフターコロナに自社オフィスを持つことの強み

この記事を最後まで読むことでオフィスを保有することによる内部留保などのメリットが分かるだけでなく、アフターコロナという新時代のビジネスシーンに合致した経営のアイデアになるでしょう。

1. 内部留保とは?勘違いしがちな意味をしっかり理解する

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本章では、簿記の基礎知識がない人でも分かるように内部留保について解説します。

1-1.内部留保とは、言い換えると「利益剰余金」

内部留保とは、税引き後の利益から配当など支払われた後に残るお金で「利益剰余金」のことです。一般的な株式会社の場合、最終的に利益が出たときは、税金や株主に配当して利益を会社と株主で山分け(株主配当)します。世間では、内部留保というと「お金をためこんでいる」といった印象を抱いている人も多いのではないでしょうか。

しかし会社のお金は個人ではなく法人が保有しているため、実際に内部留保する場合には株主の賛成(了承)が必要となり会社が株主の賛成を得ずにすることはできません。

1-2.「内部留保=現金のプール」ではない

内部留保は現金のプール(貯めこみ)とは違います。この考えは簿記会計の基礎知識がある人にとっては当然のことです。しかし簿記を知らない人にとっては「内部留保がある=たんまりとお金を貯めている」と受け取られたり、そのような論調で報道されたりすることもあります。ここでは、少しだけ企業の簿記会計ルールをシンプルに確認していきましょう。

まず企業を経営していくためにはお金が必要ですが、その資金調達方法は基本的に以下の3種類です。

資金調達方法具体例
1売上を上げる会社の商品やサービスを売って売上を上げてお金を集める
2お金を借りる銀行からお金を借りて集める
3株券を発行してお金を集める株券を発行し、株主からお金を集める

企業は、上記の3つの資金調達方法を駆使しながら調達したお金を使って会社経営をしていきます。調達・運用内容は損益計算書(PL)・貸借対照表(BS)という形で表し、会社の金銭的な健康状態として公開しています。下図は、損益計算書(PL)・貸借対照表(BS)を簡単なイラストにしたものです。

ピンクの部分は「お金をどうやって調達したか」、ブルーの部分には「そのお金が今どこにどんな状態であるのか」が記載されています。本章で解説している内部留保(利益剰余金)は、貸借対照表の右下の〇で囲んだ部分です。ちなみに会社の「現金の預金」は簿記上「資産」に該当します。

では、多くの人が「内部留保しているからお金を貯めているに違いない」と勘違いするのはなぜでしょうか。

それは、「資産」と「純資産」を「お金」として一緒に考えてしまっているのが理由です。しかし上の図を見れば、内部留保は純資産のカテゴリに入り「現金の預金」(資産)とは全くの別物ということが分かります。もちろん内部留保が現金の場合もありますが「内部留保がすぐに使える現金であるか」は貸借対照表からは類推できません。

そのため内部留保がたくさんあるからといって、給料を上げたり最新設備を買えたりするわけではないのです。つまり内部留保することは、企業にとって資金調達を外部に大きく頼らなくても済むための選択肢の一つといえるでしょう。決して「内部留保がある=社内に大量の現金がある」という意味ではありません。

同時に企業が儲かって内部留保すること自体は経営の正当な選択肢の一つです。内部留保するかしないかは、経営者の判断に大きくゆだねられます。今回の記事では、この内部留保の考え方を使って「オフィスを保有する」という方法を確認していきましょう。ざっくりと説明したため、さらに詳しく内部留保を知りたい人は簿記3級の解説書を参考にしてみてはいかがでしょうか。

2.「内部留保」として不動産を運用する意義

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ここでは「内部留保としてオフィスを保有し不動産を運用する」という選択肢について社会背景も交えて解説します。

2-1.CRE戦略などで不動産を持つ企業が増えている

CRE戦略とは、「Corporate Real Estate」の略称で日本語では「企業不動産」のことです。具体的には企業が不動産を保有し以下のような賃貸業務を含めた事業展開を指します。

  • 事業用の事務所や店舗
  • 工場
  • 福利厚生施設 など

欧米では非常にポピュラーな不動産運用方法です。しかし日本では不動産に専門性のある企業以外は不動産保有による経営戦略は第一義ではありません。自社に必要な分を保有するだけにとどまり、企業の経営手段や成長戦略として考える発想は少ない傾向でした。またバブル崩壊後は不動産の価値が下がった影響で資産が大きく目減りし企業価値が乱高下したこともあります。

そのため多くの経営者はたくさんの未活用不動産を手放し「持たざる経営」に大きく舵を切ってきました。しかし近年は不動産証券の登場により不動産が流動化しやすくなったことからCRE戦略が注目されはじめています。CRE戦略は保有する不動産の有効活用で企業価値を最大化できる可能性があるため、再び「持つ」経営戦略として注目されているのです。

2-2.不動産運用先の具体例(工場、社宅など)

CRE戦略による不動産運用先は具体的に今までも行われていた「賃貸オフィスビル」「賃貸住宅」「社宅の運営」「工場」といった一般的なものなどさまざまです。一方新しい不動産運用対象として関心が高まっている施設には以下のようなものがあります。

施設具体例
商業施設ショッピングモール・ショッピングセンター・無人コンビニエンスストアなど
ホテル、旅館シティ型のビジネスオフィス上階にあるホテル・旅館経営、民泊などを含めたインバウンド対応の宿泊施設など
ヘルスケア施設高齢者介護施設・医療施設など
物流施設大中小規模のロジスティクス施設・中継施設など

特にヘルスケア施設関連はこれから加速する少子高齢化社会へ向けての需要増大から投資家間で非常に注目されています。

3.自社オフィスを持つ有用性

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ここでは、不動産運用先として見た場合に想定される「オフィスを保有する」「都心のオフィス」といったそれぞれのメリットについて解説します。

3-1.オフィスを保有する3つのメリット

自社オフィスを運用する戦略として保有すると、主に以下の3つのメリットがあります。

  1. キャッシュアウトが抑えられる(資産になる)
  2. 企業の信用度が高まる(融資が受けやすい、採用しやすい)
  3. 移転したら賃貸に出して賃料収入を得られ

1.キャッシュアウトが抑えられる(資産になる)

賃料という消失していくだけのキャッシュアウトから、積算型のキャッシュインのフローに転換することが可能です。オフィスを保有して毎月の賃料のように支払いを続けた結果、ローン返済が完了し自社の保有資産となります。

2.企業の信用度が高まる(融資が受けやすい、採用しやすい)

オフィスを保有すると簿記上では企業の純資産として合算されます。自社保有の不動産は、高い自己資本比率の安定した企業とみなされるため、金融機関への信用が増大。その結果、融資へのハードルが下がる傾向があり新事業などへ融資されやすくなる可能性があります。このような経営方法は、かつては大手不動産デベロッパーが取る方法で金額も莫大なものでした。

しかし近年のCRE戦略では区分所有の物件にも扱いが広がり、個人投資家や中小企業の参入も多く見られるようになりました。

3.移転したら賃貸に出して賃料収入を得られる

自社保有のオフィスは、移転や分割などの経営方針変更で移転する場合でもオフィスとして賃貸に出すことができるため、キャッシュフローが発生します。賃貸に出すことでローン返済分は確保され立地がよければ差額利益も期待できるでしょう。

3-2.東京都心に本社・支社がある3つのメリット

東京都心にオフィスを保有することで得られる経営的メリットは主に以下の3つが挙げられます。

  1. 企業ブランドや認知が高まる
  2. ビジネスの中心にいる(情報の速さ、鮮度)
  3. 資産価値が高い

1.企業ブランドや認知が高まる

全国でオフィス向け不動産は都内のプライムエリアにあることが多く、東京の場合は銀座や有楽町、大手町などにあります。このような場所に賃貸オフィスを借りている企業は多くあっても、そこに自社オフィスを構えられる企業はそう多くはありません。オフィス用不動産を都心に保有していれば、超一流企業と肩を並べられるようなオフィス住所を名刺に堂々と記載でき自社のブランド化につながります

また有名企業が同じビルにオフィスを保有しているケースも多く、自社の都心での社会的認知度が高まるでしょう。

2.ビジネスの中心にいる(情報の速さ、鮮度)

ビジネスの中心地である銀座や大手町などにオフィスがあることで金融や世の中の動きを肌で感じることが期待できます。また都心オフィスで優秀な人材を募って採用することも可能です。その結果、データに裏付けされた生でリアルな情報に振れやすく、迅速で適格な経営判断につながります。

3.資産価値が高い

都心は路線価も高額なため、区分所有であっても保有する不動産としての資産価値は高い傾向です。自社でオフィスとして利用した後に賃貸に出す場合でも都内のプライムエリアの相場賃料となるため、高額賃料で長期のキャッシュインが期待できます。また売却する場合でも都内のプライムエリアのビジネス街であれば買い手がつきやすい可能性が高まります。

>【オフィスは「借りる」より「買う」時代へ】自社のオフィス/事務所・店舗、自社ビルを購入する

4.自社オフィスを持つことの注意点

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本章では、自社オフィスを保有した場合に想定される2つの注意点を紹介します。

4-1.修繕費用など維持費がかかる

1つ目の注意点は自社保有の不動産になるため、オフィスの修繕費や維持費がかかります。目安として10年に一度くらい大がかりな修繕が必要になり、ビルの規模によって異なりますが100万~1,000万円の費用が必要です。修繕自体は物件維持のために必須ですが、オフィスビルは個人オーナーが多くビル全体のメンテナンスまでは考えていないケースもあります。

そのため大がかりな修繕費用が必要になったときに資金が足りなくて十分な修繕が行えない可能性もあるのです。その結果、オフィスビル全体の資産価値が目減りしてしまうかもしれません。特にハード面の修繕が十分でない場合、「周辺の新オフィスとの競争に敗れて退去される」「賃貸人から賃料の減額を提示される」といった懸念も出てくるでしょう。

【改善策】

確定申告で修繕費用を必要経費として申告すると税額が下がる可能性があるため、必要な修繕は可能な範囲で迅速に行いましょう。今後の改善策としては、入居している有志のオーナーと共に管理組合を設立し長期で念入りな修繕計画を立て、それに沿った修繕積立をしっかりとすることです。修繕費用は考えられるかぎりの細かなコストも計算に入れた金額を算出しておけば、修繕のたびに急な出費で慌てることもなくなります。

また自己保有のオフィスを専門に企画・管理・販売などを手がけている専門会社もあります。そのため専門会社からオフィス購入をすれば、あらかじめ修繕積み立てなどに賛同したオーナーしかいないオフィスビルになるでしょう。事前に備えておくことでメンテナンスに関するトラブルが起きる可能性が低くなります。

4-2.移転しにくくなる(成長すると手狭になる)

2つ目の注意点はオフィスを購入するときに小規模な会社でも成長につれて保有するオフィスが手狭になる可能性があります。その場合は移転の必要性が出てくるでしょう。

【改善策】

移転の場合は、自社で保有するオフィスを賃貸に出して、キャッシュを生む自社の不動産物件事業として運営します。都心の一等地のオフィス街であれば高額家賃でも長期で借り手が見つかる可能性が高いため、キャッシュインが発生する可能性もあるでしょう。自社で保有するオフィスを購入する場合は、将来自社が急成長して移転することも視野に入れ、誰もが借りたいと思うような立地と設備のオフィスを選ぶことも大切です。

5.アフターコロナに自社オフィスを持つことの強み

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2020年4月7日に発令された緊急事態宣言に伴い自粛活動中に企業が頭を抱えたものが「高額なオフィスビルの賃料」です。リモートワークで誰もいないオフィスでも契約しているかぎり賃料は支払わなくてはなりません。今後、新型コロナウィルスの感染拡大が落ち着いてきたとしても「次にいつ人類に脅威を与えるウイルスや細菌が発生するか」は予測不能です。

企業はこのような新しい働き方に合わせて「働き方とオフィス全体に対する考えを変えていく」といった心構えが必要になるでしょう。ここでは、アフターコロナの日本で自社オフィスを持つことの強みを解説します。

5-1.自由度の高い改築などにすぐ対応できる

賃貸オフィスの場合、ハード面の造作に手を入れるにはオーナーの許可が必要です。また退去時には原状復帰をする必要があり、賃貸オフィスではアフターコロナで快適に仕事をするための環境作りにも大きなお金がかかります。しかし自己で保有するオフィスであれば自分がオーナーのため、オフィス内の造作も自由に変えることが可能です。例えば以下のような3つのケースがあります。

  1. ソーシャルディスタンスに対応するレイアウト変更なども簡単にできる
  2. 自社が完全リモートワーク体制になった場合は貸し出せばよい
  3. 部分的にシェアオフィスとしても貸し出すことも可能

1.ソーシャルディスタンスに対応するレイアウト変更なども簡単にできる

「ソーシャルディスタンス」という新しい概念が世界共通のものとなりました。厚生労働省が推奨している「新しい生活様式」によるとオフィスでも他人との距離はできるかぎり2メートル空ける(最低1メートル)必要があります。このようなオフィス配置は今までのオフィスレイアウトでは非常に難しいため、全く新しいデザインが必要です。

自社オフィスであれば区切りなども自由に取り外すことができるため、回線再配置や空調の設置なども自在に対応ができるでしょう。

2.自社が完全リモートワーク体制になった場合は貸し出せばよい

2020年6月現在日本では、リモートワークによる実質的な業務の遅延はあまり目立っていません。そのため今後も多くの企業はリモートワークを続けながら「出社は全従業員の3~4割程度でよい」という傾向で推移していくのではないでしょうか。リモートワークが定着していくとリモートオフィスは日本の働き方のスタンダードになりコロナと働き方改革の二輪で急速に変わっていくでしょう。

もし従業員全員の出社がなくなれば今までのようなコマワリのデスク配置は不要となります。出社した人が各自着席できるタイプのオープンスペースとネット環境が整備されていればオフィスとしての要件が満たされるでしょう。仮に自社オフィスが完全に必要なくなった場合でも、上記のような要件を持つオフィスとして必要な企業に貸し出すことも可能です。

3.部分的にシェアオフィスとしても貸し出すことも可能

上記のケースで説明したようなオフィスの要件が変わってくると自社が取引をする周辺にもオフィスを持たない企業が増えます。その結果、「自社オフィスの一部を業務スペースとしてレンタルする」「シェアオフィスとして月額でスペース貸しをする」ことも可能です。自社オフィスというメリットを最大限に生かし自由な発想と自由な貸し方ができます。

6.まとめ

本記事ではオフィス保有で内部留保することについて、以下の5つの観点から解説しました。

  1. 勘違いしがちな「内部留保」をしっかり理解する
  2. 「内部留保」として不動産を運用する意義
  3. 自社オフィスを持つ有用性
  4. 自社オフィスを持つことの注意点
  5. アフターコロナに自社オフィスを持つことの強み

自社オフィスとして保有すると会社の純資産が増えてキャッシュフローがよくなることが理解できたのではないでしょうか。またオフィスの自己保有は経営戦略としても将来性が高くメリットが大きい不動産運用方法であり投資家からも支持されています。「借りることよりも買う」というスタイルのオフィスは、利用方法の自由度が高いことが特徴です。

そのためアフターコロナのようなさまざまな意識改革と仕様変更が求められる時代においては適したオフィスの新しいあり方として現実的といえます。オフィス改善などの新しい対処をする場合は、オフィス保有も検討する価値がありそうです。

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