事業承継や事業継続、不動産事業、オフィス購入なら、
区分所有オフィスの【ボルテックス】

事務所を購入した場合に経費計上する方法|減価償却費の計算法を紹介

目次

事務所を購入する場合、建物の取得に該当する費用は減価償却費として、管理費用や固定資産税などとともに経費に計上できます。ただし、土地の取得費用は経費になりません。

一方で事務所の賃料はすべて経費に計上できますが、支払い続けたあとに手元には何も残らないのに対し、購入すれば資産が残るメリットがあります。

この記事では、事務所を購入した場合の減価償却費の計算方法や注意点、また購入と賃貸のメリット・デメリットを解説します。事務所を借り続けるのではなく、今後「購入」も選択肢のひとつとして検討したい場合は、ぜひ参考にしてください。

事務所の購入費用は減価償却費や管理費などを経費にできる

事務所の購入費用のうち、建物の取得にかかる部分は減価償却費として計上し、経費にできます。管理費や毎年の固定資産税も、同じく経費に計上できますが、取得にかかった土地代は減価償却できません。土地は建物や設備と異なり、時間経過によって価値が損なわれるものではないためです。

※事務所を賃貸する場合は、賃料全額を経費として扱えるので、取り扱いが異なる点には注意が必要です。

減価償却費の計算方法

まず減価償却は、取得に10万円以上かかり、時間の経過とともに価値が減少するものが対象です。

事務所やオフィス、店舗などでいえば、

  • 建築物
  • 看板などの構築物
  • 機械・装置・備品

などが当てはまり、リース品などは該当しません。

不動産の減価償却費は、次の式で算出します。

  • 減価償却費=取得費×償却率

償却率は、法定耐用年数によって国税庁が「何%まで経費算入できるか」を示した割合です。建物の構造と経過した年数によって数値が変わります。

実際に減価償却費用を計算してみましょう。

例1:取得費2億円(土地が1億6,000万円、建物が4,000万円)の新築の鉄骨造ビル

鉄骨造は耐用年数50年と定められています。新築なので、残り50年そのまま耐用できることから償却率は0.02です。

したがって1年目は、80万円(建物取得費用4000万円×0.02)を減価償却できます。

例2:取得費1億円(土地が8000万円、建物が2000万円)のRC造の中古ビル(築30年)

RC造の耐用年数は47年ですが、すでに30年が経過しているため、残りの耐用年数は次の式により23年となります。

残りの耐用年数=47年-30年(経過年数)+30年(経過年数)×20%(一律の係数)=23年

耐用年数23年の償却率は0.044なので、建物取得費用2000万円×0.044=88万円を減価償却費として計上可能です。

減価償却費を計算するには、

  • 建物取得費
  • 耐用年数
  • 償却率

以上の3項目を調べる必要があります。

1.建物取得費を把握する

不動産を購入する際、売買契約書や譲渡対価証明書に建物と土地の分で金額が分けて記載されています。

ただし記載がない、わからない場合は、土地と建物の価値を按分しなければなりません。

按分は、取得時の土地と建物の時価の比率によって分ける方法や、相続税や固定資産税の評価額を基にする方法などがあります。

建物の評価額が高くなる計算方法を選べば、減価償却できる範囲は広がりますが、按分には合理性、客観性が必要です。

2.耐用年数を調べる

建物の構造により、木骨モルタル造=22年、鉄筋造=50年など、国税庁によって耐用年数が定められています。

中古物件では築年数を考慮して、残りの耐用年数を算出します。

  • 残りの耐用年数=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%

新築の場合は、そのまま耐用年数が残っているものとして扱います。

ビルの耐用年数について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
>ビル耐用年数とは?寿命との違いや耐用年数を超えたときの注意点を解説

3.償却率を調べる

償却率は、減価償却費の算出に使う値で、取得価格のうち経費算入できる割合を示すものです。

建物の法定耐用年数をもとに国税庁の「減価償却資産の償却率表」を見ると、償却率がわかります。

なお減価償却の計算方式には、定額法と定率法があります。法人が建物について計算する場合は、定額法(取得価格×償却率)を用い、機械設備や社用車などには定額法のほか、定率法も選択可能です。定率法は、取得した年に大きく減価償却できるメリットがあります。

減価償却を行う場合の注意点

事務所を購入すると、長年にわたって減価償却を続けられる点が中長期的な経営のメリットといえるでしょう。

ただし、次のような注意点もあります。

  • 減価償却が可能な期間が短くなる可能性
  • 事務所を売却した時点で譲渡税がかかる可能性

こうした可能性についても知っておきましょう。

耐用年数が過ぎると減価償却できる期間は短くなる

新築、中古で同じ金額の物件を購入した場合、耐用年数が短い中古物件の方が1年あたりに計上できる減価償却費は大きくなりますが、減価償却期間は早く終わります。終了した年以降は、経費に計上できません。

とくに耐用年数を過ぎた物件は、耐用年数×20%の年数しか減価償却できないことを、購入時に認識しておく必要があります。木骨モルタル造で耐用年数22年を過ぎている場合、償却期間は4年のみです。

短期で償却完了できるとも捉えられますが、5年目以降に課税額が増えることが経営リスクとなる可能性があります。

売却時の譲渡税が大きくなる可能性がある

売却した時点で譲渡税がかかる可能性も知っておくとよいでしょう。

減価償却を行うごとに、会計上の建物の価値が減っていきます。5,000万円の建物を10年間で減価償却した場合、毎年500万円ずつ会計上の簿価は減り、10年後には残存価額1円とみなされます。

その後、建物の売却額と会計上の価値の差が売却益となるので、購入時と同じ5,000万円で売れたとすると、売却益は約5,000万円となり譲渡税が生じます。

譲渡税は、法人税や事業税、法人住民税の金額によって決まります。また「法人の土地等の譲渡益に対する追加課税制度」という法人に対する最大10%の重課制度もありますが、現在は国の方針により停止中です。

「建物は経年とともに価値が落ちる」とされますが、ニーズのある物件なら同程度の金額で売却できるケースもあるでしょう。

事務所の購入と賃貸でメリット・デメリットを比較

事務所は購入する場合と、賃貸し続けるケースでは、どちらが有利でしょうか。

一般的な傾向として、次の表のような特徴があります。

購入賃貸
資産性○ローン返済後資産になる×何も手元に残らない
カスタマイズ性○自由にレイアウト、工事可能△貸主の承認が必要。原状回復工事も実施
借入時に有利○不動産を担保にできる×
物価変動リスク○賃料相場が上がれば得になる可能性も×賃料が上がることは経営のリスク
賃料収入×
初期負担額△大きい○小さい
経営変化への対応△売却はできるが時間がかかる可能性○身軽で移転しやすい
維持費×管理や修繕の責任、固定資産税なども負担○少ない
売却益○物件によって利益が出る可能性×

一概に購入した方が有利、賃貸が正解とは断言できませんが、項目ごとに解説します。

購入すれば不動産が資産になる

似た条件の物件で比較した場合、一般的にはローンを活用しても購入した方が、賃貸よりも年間の支払総額は抑えられます。賃貸で支払われる家賃は、キャッシュアウトを繰り返すだけで手元には何も残りません。

また、キャッシュが必要になった場合には売却可能な資産としても扱えます。

購入したオフィスは自由にカスタマイズ可能

オフィスのレイアウトや設備をカスタマイズして、自社の自由にできることは購入したオーナーの特権といえるでしょう。

賃貸の場合、工事の承認を受ける必要があるほか、退去時には一般的に原状回復工事も借主側の負担で実施しなければなりません。

不動産担保があれば借入時に有利

購入した事務所を担保として、金融機関から新たな借り入れも行いやすくなるでしょう。

無担保でローンを申し込む場合に比べ、長期間の借入を低金利で実行できます。また、資金の使途も自由な場合が多く、新事業立ち上げの資金調達も可能です。

物価変動リスクで賃料が大幅に上昇する恐れ

2022年夏まで、米国では消費者物価指数(CPI)が記録的なペースで上昇し、それにともなって都市部の賃料の相場も上がっています。日本でも、CPIの上昇割合に対し平均賃料が連動する傾向は20年近く続いてきました。

賃貸を続けていれば、賃料の大幅な上昇が経営リスクになる恐れがありますが、不動産を保有していれば資産価値向上にもつながります。

他社に貸し出して賃料収入が得られる

自社で使わないエリア、フロアを貸して賃料収入を得ることも購入した場合のメリットです。購入時のローンの一部を、賃料で充当すれば返済の負担を軽減できるでしょう。

本業とは別に不動産収入が得られれば、経営リスクの分散化にもつながります。また、自社の人員が増えるなど、フロアを拡大したい場合も考えられます。貸し出しをやめて、自社で転用すれば移転の手間やコストもかかりません。

購入する場合、初期負担額が大きい

賃貸よりも購入の方が初期の負担額は大きくなりがちです。

ローンを組めば購入時に一括して支払う必要はありませんが、ローン総額が大きく、また返済期間が長くなれば、金利とともに支払総額も膨らみます。

短期的には資金繰りが厳しくなるなどの影響が懸念されます。一方で、購入後に減価償却が受けられるメリットもあるので、決断には中長期的な視点が必要でしょう。

経営環境の変化が早い企業は注意が必要

まだまだ会社の規模が成長すると見込まれる場合や、ビジネスの先行きが不透明で変化に素早く対応したいという場合は、賃貸の方が「経営が身軽」になると考えられます。購入した事務所の売却には一定の時間が必要で、賃貸に回すとしてもテナントが見つかる保証はありません。

ただ、賃貸したオフィスで引っ越しを頻繁に行うのも、コストやパワーの面で無駄が多いものです。これから成長が見込まれる企業であれば、広めの事務所を購入して、当初は自社が使わない分を他社に貸し出す方法も採用できます。

購入した物件には維持費・修繕費がかかる

事務所を購入した場合は、管理や修繕の責任をオーナーが負います。

とくに自社ビルとして一棟保有した場合は共用部分も含めて、エレベーターの点検や屋上防水など、管理会社に委託するのが一般的です。建物の修繕やメンテナンスにかかる定期的な費用が発生します。

また固定資産税や都市計画税を毎年、支払う必要もあります。

売却益を得られる可能性がある

購買ニーズのある物件なら、売却時に値上がりしている可能性もあります。

住宅に比べるとビルは経年によって賃料が低下する幅が少ないとされるため、立地によっては売却益を得られるかもしれません。

ただし、不便な場所や耐用年数を超えた場合など、減損するリスクもあります。売却のしやすさや販売価格を考えると、都心部で好立地の物件を取得するのが望ましいでしょう。その場合、購入費用は大きく上がってしまいます。

>東京で賃貸オフィス/事務所をお探しなら 仲介手数料無料の「東京オフィス検索」

区分所有オフィスは事務所購入の選択肢としておすすめ

「区分所有オフィス®」は、都心部のオフィスビルを各フロアに分割して、オフィスを購入できる新たな手法として注目が高まっています。

ボルテックスが手掛ける「区分所有オフィス」なら、アクセスのよい都内の商業地に建つ中規模のオフィスビルをフロアや部屋で分譲するため、好条件の物件を一棟購入に比べ、低予算で購入できます。

>ボルテックスが考えるCRE(企業不動産)戦略支援とは

一棟保有よりグレードの高いオフィスを購入できる

都心部の中規模ビルを一棟で購入する場合、10~50億円程度の資金が必要でしょう。しかし区分所有で1フロアのみを購入すれば、必要な資金が少なくて済むので、よりグレードの高いオフィスが入手可能です。

同じ予算で、小規模ビルを一棟購入した場合と比べても、より好立地が実現できる可能性があります。

また区分所有なら、修繕にかかる費用が突発的に発生するリスクも抑えられます。ビル全体で管理組合が組織され、長期修繕計画に基づいて拠出された修繕積立金で運用されるためです。

物件の価値が下がりにくい

区分所有オフィスは、都下でもオフィスや商業地として人気の高いエリアを中心に展開されています。

そもそも需要に対して、オフィスの供給量が少ないエリアなので物件の価格が下がりにくい構造にあります。その分、流動性が高く早期に現金化しやすいといえるでしょう。

今後、物価価格の高騰にともない都心の賃料相場が上昇すると、物件価値は下がるどころか大きく上がる可能性も秘めています。

事務所購入にかかる費用の一部は経費に計上できる

事務所を購入した場合、建物部分の減価償却費のほか、固定資産税、管理費は経費に計上できます。

購入には初期費用がかかるのは確かですが、ローンを組むことで支払いのリスク分散も可能です。同じような費用をかけるなら、賃料としてキャッシュアウトし続けるよりも、資産に変えていく方が長期的なメリットを得られます。

まずは、不動産会社に自社で購入したいエリアや価格相場を伝えて、実際にかかる費用や減価償却費などもシミュレーションしてみるとよいのではないでしょうか。

>自社ビル(オフィス・事務所・店舗)を購入する。

>自社用のオフィス / 事務所・店舗の販売物件情報

自社オフィスのご相談はボルテックスへ
お気軽にお問い合わせください

監修者

金子 賢司かねこ けんじ

CFP

東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。

オフィス移転の一覧に戻る
  • 本記事に記載された情報は、掲載日時点のものです。掲載されている情報は、予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
  • 本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、資産運用・投資・税制等について期待した効果が得られるかについては、各記事の分野の専門家にお問い合わせください。弊社では、何ら責任を負うものではありません。

関連記事

Recommend