事業承継や事業継続、不動産事業、オフィス購入なら、
区分所有オフィスの【ボルテックス】

オフィスに必要な一人当たりの気積(面積×高さ)とは?|計算方法も解説

目次

オフィスの広さに関して社員から不満の声があがったり、移転の話が出たりすると、適切なオフィスの面積について疑問をもつでしょう。

一人当たりに必要な面積は、各企業や職種、業態によってさまざまですが、平均値や最低限の基準は存在します。

しかし、近年のテレワーク推進やABW(Activity Based Working)の導入により出勤者数が定まらず、単純な計算で適正なオフィス面積を算出することは難しくなりました。

本記事では、新しい働き方をふまえたオフィスの面積の計算方法や、ゾーニングの考え方、スペースを効果的に使う方法などを解説します。

オフィスの有効な使い方や、移転先の候補の絞り込みの参考にしてください。

オフィスの一人当たりに必要な気積(面積×高さ)の計算方法

複数のオフィス家具メーカーや不動産会社によると、一人当たりのオフィス面積の平均は10m2です。これをふまえたうえで、各会社に最適な面積の算出方法を理解しましょう。

「事務所衛生基準規則」に定められた気積とは

職場における労働者の安全と健康の確保、快適な職場環境の形成を目的として労働安全衛生法が制定されています。

これに基づいて定められたのが「事務所衛生基準規則」です。気積・換気・温度など、オフィス環境の管理基準が設定されています。

この規則によって、従業員一人当たりに必要な気積(床面積×高さ)は以下のとおり、10m3と定められています。

事業者は、労働者を常時就業させる室(以下「室」という。)の気積を、設備の占める容積及び床面から四メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者一人について、十立方メートル以上としなければならない。  

引用元:事務所衛生基準規則 第二章 事務室の環境管理(第二条-第十二条)

仮にオフィスの天井高さを2.5mとした場合、従業員1人当たりに必要な面積は「10m3÷2.5m=4m2(約1.2坪)」となります。

ただし、事務所衛生基準規則に基づく面積は、あくまでも最低限の基準です。従業員の満足度向上を目的とするなら、一人当たり4m2(約1.2坪)以上の広さを用意することを推奨します。

出社率を考慮して算出する方法

コロナ禍以降のテレワーク推進により、多くの企業でオフィスへ出社する人数と在籍社員数に乖離が見られるようになりました。

以前は「一人当たりの面積×社員数」の計算式で、オフィスの必要面積を容易に算出できたでしょう。しかし働き方改革が進んだ今、社員数だけでなく「出社率」も考慮した方が、より現実的な面積を算出できるといえます。

<出社率を用いた計算式>

オフィス面積 = 在籍人数 × 出社率 × 席余裕率 × 1席当たりの面積

「席余裕率」とは、出社する従業員1人当たりの席数割合を意味します。上記の出社率を用いた計算式は、一人当たりではなく、1席当たりに必要な面積をもとにオフィス面積を求める計算式です。

出社する人数が変動する状況をふまえ、固定されている席数に焦点を当てることで、柔軟な働き方に適したオフィス面積を算出できます。

なお、出社率が各社で異なるため、席余裕率や1席当たりの面積も、状況にあわせて適切な値を設定する必要があります。

<出社率を用いた計算例>

以上をふまえて、出社率を用いた計算の具体例をあげます。

  • 在籍人数 100名
  • 出社率 60%
  • 席余裕率 185%
  • 1席当たりの面積 2.86坪

上記を仮定して、計算式に当てはめると以下のようになります。

オフィス面積=100(在籍人数)×0.6(出社率)×1.85(席余裕率)× 2.86(1席あたりの面積)=317.46

オフィスの面積の目安は、約317.5坪であることがわかります。

※出社率=出社日÷全労働日×100
※席余裕率と1席当たりの面積は、2021年4月時点の東京23区所在企業の中央値をもとに設定(出典:コロナ禍で変わるオフィス面積の捉え方|ザイマックス総研)

オフィスの一人当たりの必要面積に関する注意点

前章では一人当たりの面積の算出方法を解説しましたが、実際に必要な面積は、業種やオフィスのレイアウトなどによって変わります。ここではオフィスの面積を検討するうえで、注意が必要なポイントを解説します。

業種・業態により必要な面積には差がある

業種・業態により、必要な面積には差があることを頭に入れておきましょう。

広い面積を要するのは、金融機関や不動産会社、士業事務所など、来客が多い業種です。打ち合わせスペースを設ける必要があるため、必然的に一人当たりの面積も広くなります。

また、すべてのデスクを同一方向に向ける「同向式レイアウト」を取り入れているオフィスも、広さが必要です。そのほか、ハイスペックな機器や大型モニターを要するデザイナーなどの職種も、各人のデスクスペースが広くなる傾向にあります。

一方、一人当たりのオフィス面積が狭い傾向にあるのは、コールセンターや事務など、来客対応が少なく、大型の機器を必要としない業種です。とはいえ、スペースが狭すぎると社員のストレスが増加するだけでなく生産性も低下するため、適切な面積を確保できるように配慮が必要です。

減り続けてきたオフィスの面積は増加に転じている

大手オフィス家具メーカーの調査によると、20年近く減少し続けてきたオフィスの一人当たりの面積は、この5年で増加に転じています。

要因として考えられることは、ABW(Activity Based Working)に対応したオフィスの増加です。ABWとは、社員が業務内容や気分に応じて、勤務場所を自由に選択できる働き方です。自宅やカフェなど、オフィス以外も選択肢のひとつになります。

「オフィスに出社し、決められた席で働く」という従来のスタイルが変わりつつあり、それにあわせてオフィスのレイアウトも様変わりしています。

デスクや椅子が整然と並ぶのではなく、より複雑な配置になるため隙間が生じやすく、一人当たりのオフィス面積は大きくなります。

オフィスの面積・レイアウトを決める6つのゾーニング

オフィスの面積を検討するには、従業員のデスクスペースだけでなく、会議室や収納なども含めた全体のレイアウトも考える必要があります。ここでは、オフィスのレイアウトを決めるうえで押さえておきたい、6つのゾーニングについて解説します。

執務エリア

執務エリアは、従業員が通常業務を行う場所です。一般的には、オフィスのもっとも広い空間を占めます。

社員が長時間過ごす場所なので、デスクのサイズの最適化が重要です。業務内容にあわせて書類やパソコン機器を置くスペースなどを考え、適切なサイズのデスクを選びましょう。小さすぎると生産性が下がりますが、一方で大きすぎるとオフィス全体に対して執務エリアの占める割合が大きくなり、ほかのスペースを圧迫します。

会議エリア

会議エリアは、打ち合わせやプレゼンなどに使うスペースです。オープンスペースを活用したり、仕切りを設けて個室にしたりと、さまざまな設置方法が考えられます。カジュアルな雰囲気のミーティングや秘匿性の高い会議など、用途に応じた使い分けができると便利です。近年は会議へのリモート参加も増えているので、通信設備を置くスペースも考慮しましょう。

受付エリア

受付・エントランスは、来訪者を迎え入れるエリアです。オフィスの第一印象が決まる場所となります。ある程度の広さがあれば、来訪者が社員を待つ間も快適に過ごせたり、簡単な打ち合わせができたりと、メリットも多いです。広々とした空間を確保し、企業イメージの向上につなげましょう。

福利厚生エリア

福利厚生エリアに該当するのは、食堂・休憩室・ロッカールーム・更衣室などです。ここを充実させると、従業員の満足度が向上し、結果として生産性も高まります。

ABWを導入する企業では、コミュニケーションを深める目的で設置されることもあります。どのようなスペースを作るかは企業によって異なりますが、プラスアルファのスペースとして検討することを推奨します。

収納スペース

書類や備品を保管するためのスペースは必須です。収納スペースが不足していると、業務効率が悪くなったり、資料の紛失が起こったりとトラブルのもとになりかねません。キャビネットや棚などを設置するスペースを確保し、整理整頓ができるよう設計しましょう。

また、企業の営業年数が増えていくと、それに比例して書類は増えていきます。ペーパーレス化を進め、収納スペースを圧迫しないようにする工夫も必要です。

機器関連スペース

OA機器やサーバーなどを設置するのが、機器関連スペースです。セキュリティを万全にするため、社員が業務を行う場所とは別に部屋を設ける必要があります。機械は熱を発するので、適切な空調管理も必要です。セキュリティや空調管理の観点から、一定の広さが必要なスペースといえます。

オフィス面積が不足しているときの対策

オフィスの面積を物理的に広げることは不可能です。しかし、空間を広く使うために工夫できることはあります。ここでは、オフィス面積が不足しているときの対策を解説します。

出社する人員を減らす

テレワークを導入すれば、出社する人員を減らすことができます。出勤者が少なければ、同じ空間でも広々と使うことが可能です。

テレワークのほかに、サテライトオフィスの導入も検討する価値があります。サテライトオフィスとは、本社から離れた場所に設置する、小規模なオフィスのことです。本社に集まる人数を分散化できるので、オフィスの面積不足を解決できます。オフィスの移転よりも、ローコストで実施できるのが利点です。

収納スペースを削減する

オフィスの中でスペースの削減をしやすい場所は、収納エリアです。年々増えていく書類のペーパーレス化を進められれば、保管のために大きなスペースを確保する必要がなくなります。省スペースを実現できた分、ほかの用途に利用できるでしょう。

具体的なペーパーレス化の取り組みとしては、以下の内容があげられます。

  • 請求書や契約書の電子化
  • バックオフィス業務のシステム化
  • タブレット端末の利用

いきなりすべてをデジタル化するのが難しい場合は、書類管理の方法を見直すことから始めましょう。廃棄の基準を設けるだけでも、収納スペースの圧迫を防げます。

フリーアドレス制度を導入する

社員一人ひとりに固定席を与えるのではなく、好きな席で働いてもらうフリーアドレス制度の導入もおすすめです。個人の席を設けず、空いている席を共用することで、効率的にスペースを使えます。

社員にノートパソコンを支給し、テレワークを取り入れている企業なら、ほとんどの場合スムーズに導入できるでしょう。営業職のように、オフィスにいる時間が限られる職種には、特に適しています。

共用スペースを柔軟に使用する

共用スペースを複数の目的で利用するのも、オフィスの面積不足の対策として有効です。会議の予定がないときは、打ち合わせスペースを休憩所として使ったり、ランチタイムの食事スペースにしたりなど、柔軟な利用方法を考えてみましょう。使用目的をひとつに定めず、空間をマルチに使う発想があれば、狭いオフィスでも快適な働き方ができます。

複数の対処法をご提案しましたが、これらで実効性が薄ければ、オフィスの拡張や移転を検討するといいでしょう。

>東京で賃貸オフィス/事務所をお探しなら 仲介手数料無料の「東京オフィス検索」

オフィス面積の最適化を実現するには

オフィスの面積を最適化することは、従業員満足度の向上や、生産性アップにつながります。現在のオフィスが手狭になった場合、必要面積を計算し、移転を視野に入れることも有効です。

規模の拡大や職場環境の改善を理由として移転するケースについては「オフィスを移転する理由|目的や期待できる効果について」で解説しています。

オフィスを移転する際は、賃貸以外にも購入という選択肢があります。賃貸の場合は、家賃がキャッシュアウトしていくだけですが、購入であればローンの完済後はオフィスが自社の資産として残ります。

実際にオフィスを購入したお客様の声やオフィス購入のモデルケースも解説していますので、ぜひご覧ください。

>自社ビル(オフィス・事務所・店舗)を購入する。

>自社用のオフィス / 事務所・店舗の販売物件情報

ボルテックスでは
企業経営者様のお悩みや
ご相談に随時お答えしています。

監修者

金子賢司かねこけんじ

資格:CFP

東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。

自社オフィス購入の一覧に戻る
  • 本記事に記載された情報は、掲載日時点のものです。掲載されている情報は、予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
  • 本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、資産運用・投資・税制等について期待した効果が得られるかについては、各記事の分野の専門家にお問い合わせください。弊社では、何ら責任を負うものではありません。

関連記事

Recommend