自社ビルを区分所有オフィスで持つメリットとは?
目次
自社ビルを所有するためには、中古のビル一棟を購入する方法のほかに、自ら土地を用意してビルを新築する方法があります。
また、区分所有で必要なフロア(または部屋)分だけ購入するという方法もあります。
自社ビルは賃貸と比べて自由度の高い使い方をすることができます。一方で、定期的なメンテナンスや管理などを自社で行う必要があるため、理解しておいた方がよい事項が重要な点を含め多くあります。
なお、自社ビルを持つメリット・デメリットは「自社ビルのメリットとは?賃貸オフィスと比較したデメリットも解説」で解説しています。
本記事では
「オフィスを区分で所有することについてのメリット・デメリットを知りたい」
「自社ビルに興味はあるが、一棟だと価格が高い」
という方に向けて、自社ビルを区分所有オフィスで持つメリット・デメリットについて、基礎から実際に持った際のイメージまでを解説します。
ご一読いただくと「自社ビルを区分所有オフィスで持つ」ことについて、具体的に想像する助けになるはずです。
「区分所有」とは?
「区分所有」とは建物一棟ではなく、独立した“部屋”または“フロア”単位に構造上区切られた建物を所有することです。
なお、ひとつの物件を複数人で共有して保有する「共有持分」とは異なります。
そして「区分所有」は、一般的にはマンションが多いため、“部屋”単位で区切って所有することをイメージされる方も多いでしょう。
しかし、オフィスビルの場合は執務スペースを広くとるために、“フロア”単位に区切って所有することが一般的です。
ただし、「GINZA SIX」のようにフロア面積がとても大きな大規模ビルであれば、部屋単位で所有するというケースもあります。
ここからは、オフィスビルを“フロア”単位での所有することを前提に解説していきます。
自社ビルを区分所有オフィスで持つ6つのメリット
なぜ自社ビルを区分所有オフィスで持つ人がいるのか、それはリスクヘッジを意識した6つのメリットがあるからです。
- 一棟購入よりも初期費用を抑えることができる
- 執務スペースを1フロアに集約できる
- デッドスペースが発生しづらい
- 共用部の管理・メンテナンスを管理組合に任せることができる
- 移転後に優良テナントを誘致しやすい
- 再開発エリアに指定された際に有利になる可能性がある
それぞれご説明していきます。
一棟購入よりも初期費用を抑えることができる
必要なフロアだけ購入する区分所有は、一棟での購入と比較して価格を抑えることが期待できます。また、一棟購入で予定していた価格を1フロアに集約した場合、一棟よりも高いグレードのビルを取得できる可能性が高まります。
ビルのグレードや設備の質が良くなることによって、一棟自社ビルよりも従業員満足度や採用率の向上に寄与する可能性があります。
執務スペースを1フロアに集約できる
執務スペースを1フロアに集約すると、社員間・部署間のコミュニケーションロスを低減することでテナントからの需要が高まることが期待できます。
例として、1フロアの面積が小さい一棟ビルの複数フロアに執務スペースを分けた場合、顔を合わせてのコミュニケーションやミーティングの際にフロア移動が必要になることもあるでしょう。
また、エレベーターや階段での移動が多く発生すると、従業員満足度や定着率の低下をまねく可能性があります。
そのため、執務スペースを1フロアに集約することは業務効率の低下を防ぎ、かつ人材流出の防止にもつながる場合があります。
デッドスペースが発生しづらい
デッドスペースとは構造上や設備の問題などで、中途半端に余った空間や、有効に活用することが難しい空間のことです。
一棟の場合はフロアごとにデッドスペースが発生する可能性があります。
しかし、1フロアの場合はデッドスペースも集約されるため、アイデア次第で有効活用できるケースがあります。
従業員の息抜きの場やカフェスペースの設置、中には社内にゲーム機を設置するなど、従業員満足度を高めるアイデアの場として活用されています。
共用部の管理・メンテナンスを管理組合に任せることができる
一棟で自社ビルを保有する場合には、執務室はもちろん、廊下や階段、設備についても自社で管理する必要があります。区分所有オフィスのメリットとしては、共用部分の管理を任せることができるという点があげられます。
ボルテックスでは自社で管理組合を組成して管理受託し、大規模修繕計画等も立案しています。ここではボルテックスの管理運営についてご説明します。
「管理組合」とは、区分建物の管理を行うために区分所有者によって構成された団体です。※「建物の区分所有等に関する法律」第三条
住居や事務所・店舗等を問わず、区分所有の建物すべてが管理組合を設立することができます。
また、区分所有者全員が使用できる廊下や階段、それに類する設備などの共用部分について、規約で特別に定めることにより管理組合の所有にすることもできます。
ただし、共用部分で修繕が必要となる箇所が発生した場合は修繕費を他の区分所有者と按分で負担することになります。そのため、共用部分の修繕は自社のフロア以外の修繕ではありますが負担が発生します。
しかし、一棟所有の場合に比べて予期せぬ大きな自己負担が発生しにくい、という点はリスクヘッジといえるでしょう。
移転後に優良テナントを誘致しやすい
会社の拡縮などの理由で移転し、貸事務所として活用する場合は、自社と同じ規模感のテナントを誘致することが多いと思います。
そして、フロア貸しを行う場合、東京都心部であれば入居テナントには安定した経営実績を求めることができます。
小規模のオフィスビル一棟を貸し出す場合と比較した場合、収支が安定する可能性があるため、先々の経営計画が立てやすくなるでしょう。
しかし、そのためには入居を希望するテナントから見て拠点にしたくなるような物件にあるフロアを所有している必要があります。
どのような物件を選んだ方がよいのか、本記事内で後ほど解説しています。ご参考ください。
都市再開発エリアに指定された際に有利になる可能性がある
「都市再開発」とは都市の機能性や居住性を向上し、安心・安全で魅力あるまちづくりの実現を目的とした方策です。
都市再開発には、都市再開発法に基づく「市街地再開発事業」をはじめ「防災街区整備事業」「優良建築物等整備事業」などがあります。
都市再開発は、一軒一軒を個別に建て替えるのではなく、複数の土地・建物にまたがってエリア一帯の開発を行います。そのため、都市再開発の指定エリア内にある土地・建物の権利者に対し、権利変換や立ち退き等の交渉が必要です。
都市再開発の規模が大きい場合、指定エリア内にある土地を獲得しなければ再開発が進められない場合があります。
そのため、より大きい規模の土地や建物を所有等しているほど交渉を有利に進められる可能性が高くなります。
自社ビルを区分所有オフィスで持つ6つのデメリット
区分所有オフィスにはたくさんのメリットがありますが、デメリットも無視することはできません。
- 一時的に大きなコストが発生する
- 専有部分の設備等の故障は自ら修繕する必要がある
- オフィスを賃借した際に発生する賃料が無くなることから賃料として経費計上できなくなる
- 管理費・修繕積立金の支払いが発生する
- 売却しようとした際に買い手が見つかりにくい可能性がある
- 自らの判断だけでは建て替えや修繕・取り壊しが決められない
それぞれ以下で確認していきましょう。
一時的に大きなコストが発生する
区分所有オフィスに限ったことではありませんが、不動産を全額実費で購入する場合はとても高額になります。
また、コスト負担を抑えるために金融機関からの融資を活用する場合でも、高額な頭金が必要になることもあります。
金融機関の審査によりますが、物件金額の20~50%を頭金として支払うことも想定しておいたほうがよいでしょう。
専有部分の設備等の故障は自ら修繕する必要がある
「専有部分」とは、一棟の建物のうち個人(法人)の持ち物(所有権)として法的に認められた、構造上と利用上の独立性を有している部分のことです。
もう少し具体的に示すと「部屋および部屋内の設備」のことです。
そして専有部分にあたる部分の故障や不具合はすべて自己負担で修繕する必要があります。
例えば、エアコンなどの空調や、照明機器の修繕などは自己負担です。
共用部分と専有部分の範囲、また共用部分の利用制限等については、購入の検討段階で把握しておいたほうがよいでしょう。
賃料として経費計上できなくなる
オフィスビルを金融機関などの融資を活用して購入した場合、金融機関への返済額のうち経費計上できるのは金利分のみです。
元本分は返済するごとに徐々に内部留保として積み上がっていきます。
しかし、賃料を経費として計上できなくなったことで収益が上がり、納付税額が上がる可能性もあります。
そのため、担当の税理士に事前の相談をしておいたほうがよいでしょう。
管理費・修繕積立金の支払いが発生する
区分所有オフィスはビル全体の管理が必要であるため、費用(管理組合への支払)が発生します。
また、ボルテックスが管理受託している物件では、大規模修繕に備えた計画を立案しているため、修繕積立金も支払う必要があります。
一棟ビルを自社で管理・修繕を行う場合と比較すると、月あたりの支払いが上がる可能性はあります。
しかし、自社管理の場合は大規模修繕の際に多額の費用が必要であり、また定期的なメンテナンスは専門資格を保有している企業に外注する必要があります。
自社で一棟ビルを管理する難しさはここにあります。
そのため、一棟ビル所有者は管理を別会社に委託していることも少なくありません。
売却しようとした際に買い手が見つかりにくい可能性がある
区分所有オフィスに限ったことではありませんが、経済状況によってはなかなか売却することができない可能性があります。
しかし、どのような経済状況でも一定の需要はあります。
そのため、売却や貸し出すといった出口戦略も見据えて、経済状況の影響を受けづらい物件を保有することが重要です。
その点では区分所有オフィスは購入単価を抑えることができるため、一棟と比較すると購入層を広げやすく流動性が高いといえます。
どのような物件を選んだ方がよいのか、本記事内で後ほど解説しています。ご参考ください。
自らの判断だけでは建て替えや修繕・取り壊しが決められない
区分所有オフィスは複数の所有者がいるため、建て替えや修繕・取り壊しの決定に管理組合で決議をとる必要があります。なお、管理組合が無い場合は区分所有者全員で協議し決定する必要があります。
そして共用部分について形状または効用の著しい変更を伴う大規模の修繕で管理組合での決議をとるためには、区分所有者および議決権の各四分の三以上の賛成が必要となり、建物建て替えで管理組合での決議をとるためには、区分所有者および議決権の各五分の四以上の賛成が必要となります。
そのため、管理組合や集会の運営を区分所有者だけで行った場合、方針の決議を円滑に進められない場合があります。
やはり区分所有である特有のデメリットによる影響は小さくないといえます。
「そうなると、区分所有オフィスより一棟ビルのほうがよいだろうか?」
と判断に迷われると思います。
そこで以下では、ボルテックスがなぜ区分所有オフィスをおすすめするのか、その理由についてご紹介いたします。
ボルテックスが区分所有オフィスをすすめる7つの理由
ここからはボルテックスが取り扱う区分所有オフィスについて解説します。
ボルテックスがご紹介する区分所有オフィスの特徴は下記の通りです。
- 都心5区や副都心など、ビルが密集している商業地にある
- 駅から近く通いやすい、またはアクセスに優れている
- 小規模ビルに比べて設備等のグレードが高いとされる中規模ビルである
- 仕入れた物件を自社でバリューアップをしてから販売している
- 管理組合を自社で組成・管理している
- 売却や移転後のテナント誘致についてもサポートしている
- 誘致後のテナントの管理もサポートしている
1~3については一棟ビルを取得する場合でも気にしていただきたいポイントです。
ボルテックスが商品を仕入れる際の目線を解説するので、ぜひ堅実な物件を取得するためにも参考にしていただければと思います。
4~7はボルテックスによるお客様のリスクヘッジを目指すためのサービスです。
それではひとつずつ解説していきます。
都心5区や副都心など、ビルが密集している商業地にある
すでに建物が密集しているエリアに、新たにビルを建築する場合は既存のビルの取り壊しが必要です。
既存のビルの買い取り交渉、取り壊し、ビルの再建築と多大なコストがかかるため、新しいビルを建てるには難易度が高くなります。
そのため、テナントの需要はあるのに、新規のビル供給はされづらいという、既存のビル所有者にとって好ましい需給バランスになり、そのような既存のビルにある区分所有オフィスは優位性があるといえます。
駅から近く通いやすい、またはアクセスに優れている
重要なのは従業員の方々が通勤しやすい場所にあるという点です。
そのため、駅から近い物件であれば優位性はありますが、仮に駅から少し歩く距離であっても、ビルの付近まで地下道が通じている等により、通勤時に雨天でもあまり濡れないで済むのであれば従業員に喜ばれ、テナントからの需要が高まることを期待できるといえます。
また、ビルが複数の駅から徒歩圏内にある、またはビルの最寄駅がターミナル駅である場合も需要が高まることを期待できるポイントになります。
ただし、あまり立地を重視しすぎると購入価格や貸し出す際の賃料が高くなりますのでバランスを検討する必要があります。
小規模ビルに比べて設備等のグレードが高いとされる中規模ビルである
「ビルのグレードが高い」というと一般的には衛生面や耐震性などの清掃・管理メンテナンス面や、築浅であること、そしてセキュリティなどを含む設備の面が注目されます。
しかし、ボルテックスでは独自の定義として「高い賃料を設定できるビル」であることをグレードのバロメーターにしています。
そのため、グレードとはビルの質や設備面はもちろんのこと、エリアごとの特徴や近隣の環境などを考え、賃料設定などもあらかじめ想定しておきます。
エリアと建物のグレードの両方がそろってこそ高い賃料設定でもテナントが入居しやすいという条件が整うのです。
どのオフィスビル物件にも共通する取得の際に着目していただきたいポイントは以上のとおりです。
ここからはボルテックスが独自に行っている物件価値をさらに高めるために実施している内容について解説します。
仕入れた物件に対して自社でバリューアップをしてから販売している
ボルテックスでは仕入れた物件をそのまま販売はせず、よりビルの価値を高めるためのバリューアップ工事を行っています。
ビルの外観や内観の改装や各種設備の工事・メンテナンスを行うことで、テナントの誘致がしやすくなり、またテナントの定着率が良くなるなどの効果が見込めます。
そのため、当初自社ビルとして使用を開始したものの、仮に使用を必要としなくなった場合でも、賃貸オフィスとして貸し出して賃料収入を得ることが可能です。
後にも記載していますが、賃貸オフィスとして貸し出す場合もボルテックスでテナントの誘致をお手伝いしています。
管理組合を自社で組成・管理している
区分所有物件のなかで大きなデメリットは管理組合を設置することが必要であることです。
先にもあげた通り、所有者のみで管理組合を運営する場合、方針がまとめることができず決議まで時間を要してしまうリスクがあります。
そこでボルテックスでは、自社で管理組合の組成し、また自ら理事長に就くことで、管理組合の決議が必要な事案もスムーズに進行することを実現しています。
また、長期修繕計画についても事前に立案し、必要な修繕積立金を毎月積み立てていくことで所有者の急な負担を可能な限り抑えています。
売却や移転後のテナント誘致もサポートしている
自社ビルが必要なくなったため売却したい、貸し出したいという要望にも対応しています。
売却の際はもちろん、貸し出しの際もその時の経済状況をふまえて、最適な売却価格、賃貸料をご提案しています。
また、売却ではなく貸し出しを希望され、無事にテナントが入居した後の管理もボルテックスでサポートが可能です。
テナント退去の申し出があった場合、可能な限り空白期間がないよう新たなテナント誘致も迅速に行っております。
現在では、不動産の管理・運用業務委託におけるクライアント数にて業界第1位を9年連続で受賞しています。(※)
※『月刊プロパティマネジメント』2015~2023年11月号掲載情報より「オフィス中心型」にて
まとめ
今回の内容をまとめます。
区分所有オフィスとは
「区分所有」とは一棟ビルではなく、独立した“部屋”または“フロア”単位に区切られた不動産物件を所有することです。
ひとつの物件を複数人で共有する「共有持分」とは異なります。
自社ビルを区分所有オフィスで持つ6つのメリット
- 一棟購入よりも初期費用を抑えることができる
- 執務スペースを1フロアに集約できる
- デッドスペースが発生しづらい
- 共用部の管理・メンテナンスを管理組合に任せることができる
- 移転後に優良テナントを誘致しやすい
- 再開発エリアに指定された際に有利になる可能性がある
自社ビルを区分所有オフィスで持つ6つのデメリット
- 一時的に大きなコストが発生する
- 専有部分の設備等の故障は自ら修繕する必要がある
- オフィスを賃借した際に発生する賃料が無くなることから賃料として経費計上できなくなる
- 管理費・修繕積立金の支払いが発生する
- 売却しようとした際に買い手が見つかりにくい可能性がある
- 自らの判断だけでは建て替えや修繕・取り壊しが決められない
ボルテックスが区分所有オフィスをすすめる7つの理由
- 都心5区や副都心など、ビルが密集している商業地にある
- 駅から近く通いやすい、またはアクセスに優れている
- 小規模ビルに比べて設備等のグレードが高いとされる中規模ビルである
- 仕入れた物件を自社でバリューアップをしてから販売している
- 管理組合を自社で組成・管理している
- 売却や移転後のテナント誘致についてもサポートしている
- 誘致後のテナントの管理もサポートしている
区分所有と一棟所有どちらにもそれぞれのメリット・デメリットが存在します。
ぜひご検討される際の参考になりましたら幸いです。
また、ボルテックスで現在販売している空室物件情報を掲載しています。
下記のリンクから見られますのでご利用ください。