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事業承継にまつわる問題と解決策|承継トラブルのリスク回避方法

目次

「いつかは事業承継をしなければ」と思っていても、問題が山積みで何から手をつければよいのか分からないとお悩みではありませんか。

日本では中小企業の経営者の高齢化が進んでおり、後継者問題により廃業のリスクを抱える企業も増えています。経営上の問題を整理し、経営者がやるべきことを明確にするのが事業承継の第一歩です。

この記事では、事業承継に関するさまざまな問題を、現状を踏まえながら解説します。事業承継の具体的な相談先もお伝えしますので、自社の事業承継にお悩みの人は必見です。

事業承継の現状と問題

事業承継は、主に中小企業が抱える問題です。中小企業庁によると、中小規模の経営者のうち、60歳以上の経営者は全体の5割以上を占めており今後も多くの経営者が事業承継の問題に直面することが予想されています。

事業承継に関する現状を把握し、問題を解決することで、廃業や事業承継のリスクを避けられる可能性があります。まずは、事業承継の現状を踏まえて、主な問題点を見ていきましょう。

経営者の高齢化

東京商工リサーチのデータによると、2021年度における全国の社長の平均年齢は62.49歳となっています。同社が調査を開始した2009年以降2番目の伸び率で、高齢化が進んでいることが分かります。

後継者がおらず、事業承継が行われないまま、経営者が年齢を重ねているのが日本の中小企業の現状です。個人差はありますが、健康面の問題から突然現役を退かなければならない事態も考えられ、経営自体も歳を重ねるにつれて保守的になりがちです。

会社の未来を守るためにも、事業承継を早めに考え始める必要があります。

後継者の不在による廃業

中小企業庁によると、中小企業が廃業する理由で後継者難によるものが全体の29%を占め、具体的には、「子どもがいない(12.5%)」「子どもに継ぐ意思がない(12.2%)」「適当な後継者が見つからない(4.3%)」などの理由があります。

参照:日本政策金融公庫総合研究所「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」(2020年)

なかには、黒字で事業を継続ができるにもかかわらず、後継者不在で廃業せざるを得ないケースもあります。培ってきたノウハウや技術が失われ、従業員の雇用契約が終了するほか、廃業に関するコストがかかるなど問題が多いのが現状です。

後継者の不在や不足で考えられる原因として、次のようなものが挙げられます。

①子供や親族が事業とは無関係の仕事に従事

②親族や従業員が後継者となることに対する不安や忌避

③後継者育成の遅れ(事業承継対策の遅れ) 

④少子化による跡継ぎ不在

詳しくは、「後継者不足の現状と解決策|中小企業の事業承継について」の記事をご覧ください。

事業承継の問題を解決する必要性

事業承継は自分だけの問題ではありません。事業承継の責任を放棄することは、自社の従業員や取引先にとって大きなリスクです。また、長年の努力により培われた技術やノウハウを次の世代に引き継ぐためにも、経営者には事業承継の問題を解決する義務があるといえます。ここでは、事業承継の問題を解決する必要性を具体的に解説します。

従業員の雇用を守る

後継者がおらず、万が一廃業となれば、従業員の解雇は避けられません。特に、中小企業の場合は長年苦楽をともにしてきたベテラン従業員も多く、その方々に向けて納得のいく説明をしなければならないため、経営者と従業員の双方にとって非常に辛い選択となります。従業員の雇用を守ることは、経営者にとって最も重要な仕事のひとつといえます。

自社の技術やサービスを持続する

自社の技術やサービスを持続することも、事業承継によって解決できる問題です。長年培ってきたノウハウや、自社で開発した技術やサービスが失われてしまうことは大きなリスクです。パートナーである取引先の事業にも影響を与えます。

廃業に伴うコスト支出を回避する

廃業には、設備の処分費用や従業員への退職金支給、在庫の処分など、さまざまな費用がかかります。総合的に見ると大きなコストになり、経営者のその後の生活へのリスクも懸念されます。事業承継で廃業を回避できる可能性があるならば、早めに手を打ちましょう。

事業承継にまつわる問題の解決策

事業承継の現状と問題が整理できたところで、次に事業承継にまつわる問題の解決策を解説します。事業承継にはM&Aの検討なども含まれるため、中長期的な視点で計画的に進めていくことが大切です。

早期から事業承継計画を行う

事業承継には、後継者選びや育成、経営状況の把握などを含めた中長期的な計画が必要です。事業承継計画の策定は、なるべく早期から行うのが理想的です。経営状況を把握し、改善点を見つけることで、よりスムーズな事業承継ができる可能性が高まります。

中小企業庁が公表した「事業承継ガイドライン」では、事業承継の準備には5年から10年ほどかかるといわれており、そのなかでも時間がかかるのが、後継者の育成です。身内に後継者候補がいない場合は、候補者探しから始めることになるため、早めの準備が大きなポイントとなります。親族内承継・親族外承継のいずれの場合も、現経営者による後継者育成は事業承継を成功させる鍵といえます。

事業承継税制を活用する

事業承継税制とは、後継者に会社を引き継ぐ際に、贈与税や相続税の納税が猶予・免除されるものです。

個人の資産を引き継ぐ遺産相続とは異なり、事業承継の場合は自社株や事業用の資産などの相続が含まれ、手続に時間がかかります。また、税金の問題で承継自体が困難になるケースも考えられるでしょう。

事業承継税制は、このような事業承継ならではの課題に、納税の免除や納税期間の猶予を設けることで対応する狙いがあります。

さらに、平成30年度に実施された税制改正では、事業承継のさらなる支援拡充のために10年間限定の特例措置が設けられました。納税猶予の対象となる株式数の上限撤廃や複数の株主から後継者への株式譲渡が可能になるなど、事業承継の負担を抑える内容が講じられています。

公的な制度をうまく活用することも、事業承継において大切なポイントです。

M&Aを検討する

事業の後継者は、親族や従業員以外のM&A(第三者承継)でも実施可能です。親族内外に後継者候補がいない場合でも事業承継が実現できるのは、経営者にとって大きなメリットです。

ただし、親族内・親族外承継と比較して、M&Aの場合は従業員の理解を得るまでに時間がかかり、会社の状況などによっては、売却先が見つかりにくいなどのデメリットも想定されます。

M&Aにおけるマッチングには課題もありますが、うまくいけば事業の継続や拡大も期待できます。適当な後継者が見つからない場合は、M&Aも視野に入れて事業承継計画を進めていきましょう。

事業承継に関する相談先

事業承継の進め方は、企業の状況によって大きく変わります。そのため、必要性は理解していても相談相手がいない、どこに相談したらよいか分からないという理由から、計画を後回しにするケースもあります。事業承継の相談先はいくつかあるので、具体的に解説します。

都道府県に設置された「事業承継・引継ぎ支援センター」

各都道府県には、事業承継・引継ぎ支援センターが設置されており、事業承継に関する相談が可能です。国が設置する公的相談窓口で、管轄は中小企業庁です。

中小企業の事業承継の、あらゆる相談に対応しており、親族内承継はもちろんのこと、M&Aを含めた第三者への引継ぎを行う場合もサポートを受けられます。相談は無料です。

支援センターは、各地域の商工会議所などが拠点となっています。利用者が支援センターに相談を行うと、商工会議所の事業承継に関する相談窓口に引き継がれます。

事業承継支援の専門家

税理士や弁護士といった専門家に相談するのもひとつの方法です。税理士や弁護士には、それぞれ得意分野があるため、事業承継支援に詳しい専門家に依頼することが大切です。公的な支援機関よりも費用が高くなる傾向がありますが、その分スピーディーな対応が期待できるなど、メリットもあります。

事業承継を支援する企業

事業承継の複合的な支援を行っている企業への相談もおすすめです。ボルテックスでは経営者の悩みに寄り添い、不動産を活用した事業承継課題へのコンサルティングを行っています。

さらに詳しく知りたい人は、こちらも参考にしてください。

ボルテックスが考える事業承継支援とは

こちらのフォームからお気軽にご相談ください。

事業承継の問題は早期計画が重要

先述したとおり、事業承継には5年から10年の期間が必要だといわれています。

最も時間がかかるのは後継者の育成で、その期間を考慮すると、経営者が勇退する10年前から事業承継の準備を始めるのがおすすめです。70歳での引退を検討しているなら、60歳前後で事業承継の準備をスタートさせるイメージです。

事業承継は個人の遺産相続に比べて手続も複雑になるため、専門家を交えて早期に事業承継計画を立てましょう。

自社の従業員やその家族だけでなく、長年お世話になっている取引先のためにも、スムーズな事業承継を目指したいものです。

※期待どおりの税務上の効果が得られない可能性があります。
※税制改正、その他税務的取り扱いの変更により効果が変動する場合があります。

監修者

金子賢司かねこけんじ

資格:CFP

東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。

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