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投資信託は、初心者でも気軽に始めやすい投資手法のひとつです。長期分散投資に適した金融商品ではありますが、解約にはどんな手続きや費用が必要になるのか、気になる方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、投資信託を解約するときの流れや注意点、投資信託を解約するベストなタイミングについて紹介します。
1. 投資信託はいつでも解約できる?
投資信託の解約は、原則としていつでも行うことができます。しかし、投資信託のなかには、解約のできない期間「クローズド期間」を設けている場合もあるため、注意が必要です。
投資信託の換金する方法としては、「解約」と「買取」があります。
まずは、投資信託の解約や買取について、詳しく紹介します。
1-1. 「解約」と「買取」の違い
投資信託の「解約」とは、信託契約を解約することで、信託資金を払い戻してもらう換金方法のことをいいます。一方、投資信託の「買取」とは、運用中の投資信託を証券会社などの販売会社に買い取ってもらう換金方法です。
解約でも買取でも、利益が出たときは譲渡所得税が課せられます。
以前は、投資信託の解約と買取には税制上の違いがありましたが、2009年の税制改正以降、どちらも譲渡所得としての取扱いとなりましたので、解約と買取に税制上の違いはなくなりました。そのため、現在は、投資信託の解約・買取手続きを一本化する販売会社も増えています。
1-2. クローズド期間とは
投資信託のなかには、「クローズド期間」が設けられていることがあります。クローズド期間とは、投資信託の安定運用を目的として、解約による資金の減少を防ぐために一定期間設定された「投資信託を解約できない期間」のことをいいます。
クローズド期間はすべての投資信託に設けられているわけではなく、期間の長さも投資信託によって異なります。クローズド期間については投資信託の目論見書で確認することができます。
2. 投資信託の解約手続き方法や費用
続いては、投資信託を解約するときに必要な手続きの方法やかかる費用について紹介します。
2-1. 投資信託を解約するときの流れ
投資信託を解約するときは、証券会社などの販売会社に解約請求を行います。
Webサイトやアプリから解約請求を受け付けている証券会社も多いので、投資信託を始める際に、解約方法についても確認しておくとよいでしょう。
販売会社に解約請求をしたら、販売会社から投資信託の運用会社へ解約の申し込みが行われ、払い戻しが行われます。
2-2. 投資信託を解約するときにかかる費用
投資信託を解約するときにかかる費用としては、解約手数料や信託財産留保額などがあります。投資信託によって異なりますので、目論見書を確認しておきましょう。
また、投資信託の解約によって利益が出た場合には、利益に対して譲渡所得税がかかります。
3. 投資信託の解約を検討すべきタイミングは?
投資信託は長期分散投資に適した金融商品ですが、ただ保有していればよいということではなく、場合によっては解約したほうがよいこともあります。
投資信託の解約を検討すべき主なタイミングは、以下のとおりです。
3-1. 基準価額が想定以上に下落した
投資信託の基準価額は、市況により投資している資産自体の価格に値動きがあった場合や、投資信託のファンドマネージャーや運用方針に変更があった場合など、さまざまな要因によって基準価格が大きく下落することも考えられます。
そのため、投資信託で資産運用するときは、基準価額の変動がどれくらいまでなら許容範囲とするのかを、事前に想定しておき、基準価額が想定以上に下落したときは、投資信託の解約を検討すべきでしょう。
3-2. 純資産額が大幅に減少した
投資信託の基準価額が大きく下落しただけでなく、純資産額も大幅に減少しているという場合には、今後の運用に支障が出る可能性もあります。目論見書を確認し、繰上償還となる条件を確認したうえで、継続して保有すべきか否かを検討しましょう。
投資信託の純資産額は最低でも10億円程度は必要だと言われています。もちろん、純資産額が10億円未満であっても運用成績の良い投資信託は存在しますが、例えば30億円あった純資産額が10億円を切ってしまったという場合には、解約も視野に入れて検討しましょう。
3-3. 利益目標を達成した
投資信託ではリスクの範囲を事前に想定しておくと同時に、利益目標も設定しておきましょう。
投資信託の価格が上がり、設定した利益目標を達成すると、「このまま保有すればもう少し上がるかも…」と考えてしまいがちですが、利益目標を達成したタイミングで潔く解約し、その利益を次の投資に回すといった手堅い運用をしたほうが、長期的に見れば良い成果につながる可能性もあります。
3-4. ポートフォリオの見直し
投資において定期的なポートフォリオの見直しは大切です。投資配分を見直した際に投資信託の投資配分が多すぎるようであれば、解約を検討することも必要でしょう。
また、マイホームの購入や子供の進学など、ライフイベントなどによっては、まとまった資金が必要になることもあります。投資信託は、一部だけを解約することもできるため、必要な資金分の投資信託を解約し、残りは継続して運用することも可能です。
4. 投資信託の解約における注意点
投資信託を解約するときには、いくつか注意しておきたいポイントがあります。投資信託を保有している方は、事前に把握しておくとよいでしょう。
4-1. 解約によって得た利益には税金がかかる
投資信託の解約によって得た利益には、税金がかかります。税率は、2014年1月から2037年12月31日までの期間、20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、地方税5%)と定められています。
また、投資信託を解約して利益があった場合には、原則として確定申告が必要になりますが、源泉徴収ありの特定口座を利用している場合には、利益に対する税金が自動的に源泉徴収されるため、確定申告は不要です。
また、つみたてNISAの場合は年間40万円まで(最長20年間)、一般NISAの場合は年間120万円まで(最長5年間)の投資額内であれば、投資によって得た利益が非課税となるため、確定申告も不要です。
4-2. 投資信託によっては解約手数料がかかることも
投資信託の解約には、解約手数料がかかることもあります。解約手数料の有無や金額については投資信託によって異なりますので、目論見書などで事前に確認しておくとよいでしょう。
4-3. 解約・現金化には日数がかかる
投資信託の解約は、請求してから実際に資金の払い戻しを受けるまでには、一般的に3~8 営業日ほど時間がかかります。急に資金が必要という場合には、この点に注意しておきましょう。(MRFやMMFなど日々決算型の投資信託の場合は、翌営業日に換金が可能です)
4-4. 解約後、NISA非課税枠の再利用や繰越しはできない
NISAやつみたてNISAを利用していた方が投資信託を解約するときには、NISAの非課税枠に注意が必要です。
NISAで運用していた投資信託を解約した場合、解約後に非課税投資枠を再利用したり、非課税枠の未使用分を翌年に繰越したりすることはできません。
5. 長期分散投資向きの金融商品は投資信託以外にもある?
ここまでは、投資信託を解約する流れや注意点について紹介してきました。
投資信託は長期分散投資に適した金融商品ですが、場合によっては解約を検討することもあるでしょう。投資信託を解約した後、別の投資信託に投資するのもよいですが、長期分散投資に適した金融商品は他にもあります。複数の金融商品に分散投資することで、よりリスク分散にもつながるでしょう。
弊社の不動産小口化商品「Vシェア」は、リスク分散しながら長期的に投資を行いたい方におすすめの金融商品です。個人では購入することが難しい都心エリアの商業地にあるオフィスビルを、1口100万円単位・5口以上(最低口数は変更となる場合があります)から小口購入することで、中長期に渡り着実な利益を得ることを目的として設計されています。
「Vシェア」の運用により投資家の皆様が得ることができる利益は「毎月の賃料収入の分配」と「一定期間運用後の売却代金の分配」です。もちろん、購入したオフィスビルなどの管理・運用は弊社が責任を持って実行しますので、不動産の維持管理のために何かをしなければいけないという手間は発生しません。手間を最小限に抑えつつ、株式投資などに比べて価格変動率が低く安定した運用が行える「Vシェア」は、長期分散投資のひとつとしておすすめです。
6. 最後に
今回は、投資信託の解約について、手続きの方法やかかる費用、解約を検討すべきタイミングについて紹介してきました。
投資信託を解約するときは、注意点も事前に把握したうえで、ベストなタイミングを検討しましょう。また、投資信託を解約した後は、別の投資信託に投資するのもよいですが、長期分散投資に適した他の金融商品に投資するという選択肢もあります。
複数の金融商品への分散投資をお考えの方は、弊社の不動産小口化商品「Vシェア」もぜひご検討ください。
「不動産小口化商品」についてさらに詳細を知りたいという方は、下記の記事に詳しくまとめています。
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- 本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、資産運用・投資・税制等について期待した効果が得られるかについては、各記事の分野の専門家にお問い合わせください。弊社では、何ら責任を負うものではありません。
1965年生まれ。大手証券会社で法人営業、個人営業、投資相談業務を担当する。2004年にファイナンシャル・プランナーとして独立後は、相談者の立場にたった顧客本位のコンサルタントを行う。特に、資産運用、住宅ローン、年金問題、ライフプランニングなどを得意分野とする。
家計の診断・相談室(https://kakeinoshindan.com/)
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