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投資信託を始めたら確定申告は必須?不要な場合もある?【FP監修】

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投資信託確定申告
写真:村井 英一

監修者

村井 英一

ファイナンシャル・プランナー(CFP、1級FP技能士、証券アナリスト、宅地建物取引士)

目次

「不動産小口化」完全ガイド

投資信託を始めてからある程度の利益がでてくると、次に気になるのが確定申告でしょう。一般的にサラリーマンの場合、毎年確定申告をしているというケースは少ないため、確定申告の手続きに不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、投資信託で確定申告が不要なケースや確定申告をしたほうがよいケースなど、投資信託と確定申告の関係について紹介していきます。

1. 投資信託で確定申告が不要なケース

サラリーマンが副業や資産運用で投資信託を始める場合、給与以外の収入を得るから「確定申告が必要なのでは?」と考える方も多いでしょう。
しかし、実際には投資信託で利益を得ても確定申告は必要ないケースがほとんどです。ただし、一部の方は確定申告をしたほうがよい場合もあるため、確定申告すべきかどうかの判断基準に関して把握しておくことをおすすめします。

まずは、投資信託で確定申告が不要なケースとその理由を説明していきます。

1-1. 投資利益が年間20万円以下の場合

確定申告は、給与以外の所得合計が合計20万円を超える場合に必要な手続きです。つまり、サラリーマンが副業や資産運用で投資信託を始める場合、利益が20万円を超えなければ、確定申告は必要ないということです。
ただし、この20万円には投資信託以外の副業や投資の収入も含まれます。投資信託の利益が20万円以下でも、その他に収入があるという方は確定申告が必要になる可能性もあるため、注意しておきましょう。

1-2. 特定口座・源泉徴収ありの場合

投資信託の取引に使用している銀行や証券会社の口座が「特定口座・源泉徴収あり」の場合は、20万円以上の利益がでたとしても、確定申告は不要です。なぜなら、源泉徴収ありの特定口座の場合は、利益に対して課せられた税金があらかじめ差し引かれたうえで振り込まれるからです。
確定申告とは、1年間に得た所得を申告し、納付すべき所得税額を確定するという手続きです。そのため、すでに税金が差し引かれて振り込まれる給与や投資信託の利益については、確定申告をする必要がないのです。

1-3. NISA口座の場合

NISAとは、毎年120万円、最長5年という範囲内で投資した株式や投資信託については、利益が非課税になるという制度です。
「NISA口座」と呼ばれる非課税口座を使って取引を行いますが、NISA口座での取引によって得た利益は課税対象外となるため、確定申告も不要です。

1-4. つみたてNISA口座の場合

つみたてNISAも、NISA同様に投資利益が一定の範囲内で非課税になる制度ですが、特に少額からの長期・積立・分散投資を支援することを目的として作られたものです。毎年40万円、最長20年という範囲内で投資した投資信託については、利益が非課税となり、対象となる投資商品は長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託に限られているのが特徴です。

つみたてNISAも「NISA口座」を使って取引を行うため、得た利益は課税対象外となり、確定申告は不要です。ただし、NISAとつみたてNISAはどちらか一方を選択して利用できる制度のため、両方同時に始めることはできません。

1-5. 利益が特別分配金のみの場合

投資信託で得られる利益は「譲渡益」と「分配金」です。
譲渡益とは、投資信託を売却した際、売却時の価格が元本を上回った場合に得られる利益のことで、課税対象となりますが、「特定口座・源泉徴収あり」で取引をした場合は確定申告の必要はありません。
また、分配金には「普通分配金」と「特別分配金」の2種類があります。普通分配金は課税対象となりますが、特別分配金は元本の一部払い戻しとみなされるため、非課税となります。
つまり、年間で一度も投資信託を売却せず、かつ得られた利益が特別分配金のみであれば、「特定口座・源泉徴収なし」や「一般口座」で取引をしている場合も含め、確定申告の必要はないということです。

2. 投資信託で確定申告が必要なケース

投資信託の場合、利益がでても確定申告の必要がないケースが多いですが、次のようなケースの場合は確定申告が必要になるため、事前に確認しておきましょう。

2-1. 特定口座・源泉徴収なしの場合

投資信託で取引を行う口座が「特定口座・源泉徴収なし」の場合は、確定申告が必要です。源泉徴収なしの特定口座は、税金が差し引かれることなく利益が振り込まれるため、利益の全額を再投資に回せるというメリットがあり、複数の金融商品に投資をしている投資家に選ばれる傾向にあります。

源泉徴収なしの特定口座の場合、確定申告は必要ですが、銀行や証券会社から「特定口座年間取引報告書」が送られてくるため、自分で損益を計算する必要はありません。

2-2. 一般口座の場合

投資信託で取引を行う口座が「一般口座」の場合も、確定申告が必要です。また、確定申告に必要な「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」も自分自身で作らなければならないため、特定口座よりも手間がかかるというデメリットもあります。

一般口座のメリットは、未上場株の取引ができるという点にありますが、特定口座で取引ができる株や投資信託のみを対象に投資をするなら、確定申告や必要書類の作成にかかる手間を考えても、特定口座を選ぶほうがよいでしょう。

2-3. 複数の口座で取引をしている場合

複数の口座で投資信託の取引をしている場合、「特定口座・源泉徴収なし」や「一般口座」が含まれている場合は、「特定口座・源泉徴収あり」で取引をした分の利益も含めた損益を合計したうえで、確定申告が必要です。

3. 投資信託で確定申告をしたほうがよいケース

投資信託は利益がでても確定申告の必要がないケースが多いですが、なかには確定申告をしたほうがよいケースが存在します。

3-1. 複数の銀行や証券会社を利用している場合

複数の銀行や証券会社を利用して投資信託をしている場合、すべての口座が「特定口座・源泉徴収あり」であったとしても、確定申告をしたほうがよい場合があります。なぜなら、証券会社が自社の口座で行われた取引結果や損益の情報を、お互いに通知し合うということはないからです。

一方の証券会社口座で利益がでて、もう一方の証券会社口座で損失がでたという場合、損益通算によって利益と損失は相殺することができます。しかし、証券会社が異なる場合は自動的には相殺されないため、確定申告が必要になるというわけです。
確定申告によって損益通算をして利益のほうが上回る場合は所得となり、損失のほうが上回る場合は翌年度に損失を繰り越すことも可能です。

3-2. 損失を繰り越す場合

投資信託で損失がでた場合は、その損失を3年間繰り越すことが可能な「繰越控除」という制度を利用し、翌年以降3年間の利益と相殺することができます。
通常、投資信託をしても損失のみの場合、確定申告の必要はありません。しかし、確定申告をすることで繰越控除を使ったコスト削減効果が見込めるため、確定申告を検討したほうがよい場合もあるでしょう。

4. 投資信託の確定申告をするときの注意点

投資信託の確定申告をする場合、特定口座と一般口座では、そろえるべき必要書類が異なります。
特定口座の場合は、銀行や証券会社から送られてくる「特定口座年間取引報告書」のみでよいですが、一般口座の場合は、取引報告書や取引残高報告書をもとに、「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」の作成が必要です。

また、複数の証券会社を利用している場合も、「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」の作成が必要なため、注意しておきましょう。

確定申告の方法としては、国税庁の「確定申告書作成コーナー」を利用するほか、「e-Tax」や税務署への持参・郵送も可能です。初めて投資信託の確定申告をする方など、確定申告の手続きに不安のある方は、税務署の職員のサポートを受けながら作ることもできるため、事前に相談してみましょう。

≫ ボルテックスが考える資産運用支援とは

5. 最後に

投資信託は、少額から始めやすい金融商品として、個人投資家をはじめサラリーマンの副業や資産運用としても選ばれています。
投資信託は、ほとんどのケースで確定申告は不要ですが、なかには確定申告が必要なケースや、確定申告をしたほうがよいケースもあるため、今回の記事をぜひ参考にしていただき、確定申告が必要かどうか確認してみてください。

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写真:村井 英一

監修者

村井 英一むらい えいいち

ファイナンシャル・プランナー(CFP、1級FP技能士、証券アナリスト、宅地建物取引士)

プロフィール
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1965年生まれ。大手証券会社で法人営業、個人営業、投資相談業務を担当する。2004年にファイナンシャル・プランナーとして独立後は、相談者の立場にたった顧客本位のコンサルタントを行う。特に、資産運用、住宅ローン、年金問題、ライフプランニングなどを得意分野とする。
家計の診断・相談室https://kakeinoshindan.com/

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