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本記事に掲載された情報は、2021/04/19時点のものです。掲載されている情報は、予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
親には子を扶養する義務があることから、親から子への資金援助などには贈与税がかからないと思われている方も多いようです。ですが、親子間の贈与でも基本的には贈与税がかかり、もちろん贈与税の申告手続きも必要です。この記事では、贈与税がかかるケースや非課税にする方法について解説します。
1. 親子間の贈与は申告しないとバレる?
親が子にお金や財産を与えるのは当たり前なんだし、申告することで贈与税がかかるなら、申告しなければいいのでは…?そう考える方もいらっしゃるかもしれません。
確かに親子間の贈与については、親子の間で財産の受け渡しを行ったことを外に漏らさなければ、すぐにバレないように思われがちですが、特に相続や不動産売買のタイミングなど、贈与の事実が把握される情報は多々ありますので適正に申告を行うようにしましょう。
仮に、親子間贈与が無申告になっていた場合、様々なペナルティが課せられます。無申告加算税や重加算税、延滞税など、追加で支払わなければならない税金は高額になり、申告しておけばよかったと後悔する結果となるでしょう。
1-1. 贈与税の計算方法
親子間で贈与税がかかる場合、贈与税は、贈与額から基礎控除額の110万円を差し引いた金額に対して課税されます。
- 贈与財産の価額から基礎控除額(110万円)を差し引き、課税価格を出す。
[ 贈与を受けた財産の合計 ] - [ 基礎控除額 110万円 ] = [ 贈与税の課税価格 ]
- 税率一覧表に基づき、贈与税の計算を行う。
1-2. 親子間でかかる贈与税の計算シミュレーション
親子間の贈与において、贈与税は財産を受け取った子供側に支払う義務があり、贈与税の金額は、受け取った財産の課税対象額や財産を受け取る子供の年齢によって決まります。
実際にどれくらいの贈与税がかかるのか、簡単にシミュレーションしてみましょう。
例えば、課税対象額500万円、1,000万円の財産を20歳未満(未成年)の子供が受け取る場合、かかる贈与税額は以下のとおりです。
- 500万円×30%-65万円=85万円
- 1,000万円×40%-125万円=275万円
また、同じ課税対象額を20歳以上の子供が受け取る場合にかかる贈与税額は以下のとおりです。
- 500万円×20%-30万円=70万円
- 1,000万円×30%-90万円=210万円
このように、課税対象となる財産の額が大きいほど、財産を受け取った子供は高額な贈与税を課せられることになります。
しかし、親子間の贈与では、そもそも贈与税がかからないケースや贈与税を非課税にする方法もあるため、贈与を行う前に正しい知識を身につけておきましょう。
贈与税率や控除額について、詳細は以下の記事をご覧ください。
2. 親子間の贈与で贈与税がかからないケース
親子間贈与では贈与税がかからないケースもあります。
なぜなら、親には子を扶養する義務があるからです。扶養義務とは、自分で働いて生活することができないものを援助し、生活の面倒をみる義務のことです。つまり、「親が子供を扶養するために必要な費用を支払うことは義務であり、贈与税はかからない」というのが親子間における贈与の基本的な考え方なのです。また、贈与税がかからない場合、基本的には贈与税の申告手続きも必要ありません。
ですが、すべての贈与に対して贈与税がかからず申告手続きが不要というわけではないため、注意が必要です。
まずは、親子間贈与では贈与税がかからないケースについて解説します。
2-1. 生活費や教育費の仕送り
親が子の生活費や教育費を援助する場合、贈与税はかかりません。生活費とは、日常生活を送るために必要な費用のことで、教育費とは学費や教材費、文具費のことをいいます。
2-2. 子供名義の銀行口座に預金
子供が受け取ったお年玉や児童手当を子供名義の銀行口座に貯金しているという家庭も少なくないでしょう。親が子供名義の銀行口座を作ってお金を預けておく場合、通帳の管理を親が行うのであれば贈与税はかかりません。
2-3. 年間110万円以下の贈与は原則非課税
贈与税には年間110万円の基礎控除があります。つまり、親子間で生活費や教育費以外の受け渡しをするケースでも、基本的に年間110万円以下であれば贈与税はかかりません。
ただし、よく理解しないまま非課税だからと安心して110万円以下の贈与を繰り返してしまうと、相続税等の税務調査で定期贈与とみなされてしまい、贈与税が課せられるケースもあります。さらに、「生前贈与の3年内加算」といって、親の死亡から遡って3年以内に子供に対して行った贈与はなかったものとみなされ、相続税が課せられるという規定もあるため、年間110万円以下の贈与を行う場合であっても、どのような注意点があるかを事前にしっかりと理解しておくことが大切です。
3. 親子間の贈与で贈与税がかかるケースとそれぞれの注意点
親子間の贈与で贈与税がかかるケースも存在します。では、どんな場合に贈与税がかかるのでしょうか?ここからは、親子間の贈与で贈与税がかかるケースを具体的にご紹介します。事前に把握し、注意しておきましょう。
3-1. 年間110万円を超える贈与
親子間で年間110万円を超える財産を贈与した場合、110万円を超える部分に対しては贈与税がかかります。
3-2. 高額な金銭の貸し借り
親子間で高額な金銭の貸し借りを行ったとき、場合によっては贈与とみなされ、贈与税がかかる可能性があります。あまりにも高額で返済不可能と思われる貸し借りや、契約書のない貸し借り、利子や返済期限が設定されていない貸し借りについては、贈与とみなされる可能性が高くなります。
3-3. 土地・建物やマンションなど不動産の贈与
親子間で、土地・建物やマンションなど、評価額が110万円を超える不動産を贈与する場合には、贈与税がかかります。金銭のやり取りがなくとも不動産の名義変更を行った時点で贈与となるため、注意が必要です。
なお、同じ不動産の贈与であっても小口化して贈与することで、財産の評価額を低く抑えることができる可能性があります。詳しくは、以下「4-3. 資産を別のものに置きかえる方法」でご説明します。
3-4. 住宅ローンの肩代わりやリフォーム資金援助
親子間で住宅ローンを肩代わりする、リフォーム資金を援助するといった場合にも、年間110万円を超えるケースでは贈与税がかかります。
ただし、住宅取得資金贈与の非課税特例を活用することで、受贈者1人に対して基礎控除をあわせると最大1,610万円までは贈与税がかからず、土地や住宅、マンションの購入資金を贈与することが可能です。詳しくは、以下「4-1. 住宅取得資金贈与の非課税特例を活用【1,500万円まで】」でご説明します。
3-5. 親子共有名義の不動産を子供名義に変更
親子の共有名義であった不動産を子供名義に変更した場合、不動産の親名義部分の評価額が110万円を超えるケースでは、超えた部分に対して贈与税がかかります。
3-6. 不動産や車を安価で売買
親子間において不動産や車などの財産を、相場よりも著しく安い価格で売買した場合、実質的な贈与だとみなされて贈与税がかかるケースがあります。このような親子間売買は「みなし贈与」と呼ばれます。
4. 親子間で贈与税を非課税にする方法
親子間での贈与では、贈与税の非課税制度がございます。親子間でかかる贈与税を非課税にする方法についてご紹介します。
4-1. 住宅取得資金贈与の非課税特例を活用【1,500万円まで】
親から子に土地や住宅、マンションの購入資金を贈与する場合、受贈者1人に対して基礎控除をあわせると最大1,610万円までは非課税となります(非課税限度額は住宅を契約する年や消費税率などにより異なります)。例えば父と母それぞれから贈与を受けた場合には、その金額を合計して1,610万円以内であれば非課税となります。
また、住宅取得資金贈与の非課税特例は、原則、上限額の範囲内であれば複数回に分けての利用が可能ですが、平成26年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けていると(一定の場合を除く)利用することができません。
4-2. 子供の結婚、子育て資金を一括贈与【1,000万円まで】
親から子に結婚資金や出産・子育てのための資金を一括贈与する場合、子ひとりに対して1,000万円までの贈与が非課税(2023年3月末まで)となります。(そのうち、結婚資金の非課税限度額は300万円) 結婚後の生活費援助については非課税制度の範囲として認められていませんが、親が子の生活費を援助する場合、社会通念上適当と認められる範囲であればそもそも贈与税はかかりませんので、制度を利用する際にはよく検討されることをおすすめします。
結婚・子育て資金一括贈与の非課税制度について、詳細はこちらをご覧ください。
4-3. 資産を別のものに置きかえる方法
親子間で贈与税を非課税にする方法として活用できるのが、弊社の不動産小口化商品「Vシェア」です。「Vシェア」とは、個人では購入することが難しい都心エリアの商業地にあるオフィスビルを弊社が小口化し、1口100万円単位・5口以上(最低口数は変更となる場合があります)から不動産の小口購入を実現した商品で、1口単位で贈与することができます。非課税限度額内での生前贈与としてご活用いただける上に、評価額が引き下げることができる場合もあり、贈与へのお取り組みとしてご活用いただいています。
「Vシェア」について詳しくは、下記ページをご参照ください。
4-4. 相続時精算課税制度を活用して一時的に非課税に【2,500万円まで】
相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫に対して財産を贈与する場合に選択することができる贈与税の課税方法です。相続時精算課税制度を選択することで、2,500万円まで贈与税がかからず生前贈与することができます。ただし、相続のタイミングでは、相続する財産に、相続時精算課税制度を適用して贈与された財産を加算した金額に対して相続税が課せられます。
5. 贈与税がかかる場合の申告手続き
贈与税の申告手続きの方法は、贈与財産を受け取った年の翌年3月15日までに、財産を受け取った側が税務署に贈与税申告書を提出します。贈与税申告書は国税庁のホームページからダウンロード可能です。
贈与税がかかる場合には、贈与税申告書の提出と合わせて納税も必要です。最寄りの税務署で納付書を取得し、贈与税申告書の提出期限と同じく3月15日までに金融機関で贈与税を支払います。
6. 最後に
親子間の贈与について、贈与税がかかるケースや非課税にする方法について解説してきました。親子間であっても贈与税がかかるケースは存在します。年間110万円を超える贈与や土地、マンションなどの不動産の贈与、結婚・子育て資金の贈与については、今回ご紹介した非課税にする方法を参考にしてください。弊社の不動産小口化商品「Vシェア」も、親子間贈与を非課税にする方法として有効な場合もあります。「Vシェア」についてより詳細に知りたい方は、下記ページをご参照ください。
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- 税制改正、その他税務的取り扱いの変更により効果が変動する場合があります。
- 相続税の圧縮効果を含めた税務の取り扱いについては、個別具体的な事情に応じて適用が異なる可能性がありますので、税理士等の専門家にご相談ください。
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渋谷本社、自由が丘オフィスを拠点に、東京都心及び、城南地区の地主や資産家に対し、『民事信託も活用した相続・相続への準備、不動産の売買や贈与時の提案』といった資産税コンサルティングを手がける。
毎週末、不動産に関する税務相談会も行っており、ただの税務理論だけでなく、不動産の現場にも精通する知識と経験を備えている。
マックス総合税理士法人(http://www.max-gtax.com/)
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