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孫にかかる相続の負担を軽減する方法と注意点【税理士監修】

相続税

税務の取扱に関する監修

マックス総合税理士法人

目次

可愛い孫に財産を残したいという方は多いです。しかし、相続によってどれくらいの相続の負担がかかるのかは気になるところですよね。場合によっては孫が高額の相続税を負担せざるを得ない状況にもなりかねないため、孫への相続については事前にしっかりと準備しておくことが大切です。
この記事では、孫への相続でかかる相続税はいくらなのか、相続の負担を軽減する方法や相続における注意点を紹介します。孫への相続を検討されている方は、ぜひ参考になさってください。

1. 孫は相続人になれる?

孫は、民法で定められた「法定相続人」ではありません。しかし、孫は相続人になれないかといえばそうではなく、孫が相続人となるケースももちろん存在しています。
まずは、孫に財産を相続させるにはどうすればよいのか、その方法について紹介していきます。

1-1. 遺言で孫に財産を相続させると指定する

遺言で孫に財産を相続させるとして指定することで、「遺贈」により孫に財産を残すことができます。
遺贈という名前から、相続税ではなく贈与税がかかるのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、被相続人が亡くなった後に取得する財産にかかる税金はどちらも相続税となり、同じです。
遺言によって孫に財産を相続させるには、遺言書の作成が必要です。ただし、遺言書は正しく作成しなければ無効となるケースもありますので、孫に対して確実に財産を残したいという方は、公正証書遺言や弁護士などの専門家に相談しながら、しっかりと作成しておくことをおすすめします。

1-2. 孫と養子縁組をする

養子縁組をした孫は、法定相続人となります。
相続税は法定相続人の人数で基礎控除額が決まるため、孫を法定相続人とすることで基礎控除額が増え、相続財産の合計にかかる相続税額を下げることができます。
ただし、孫と養子縁組をした場合、養子縁組をした孫は相続税2割加算の対象となるため、孫にかかる相続税自体は増えてしまう可能性もあります。また、養子縁組によって増やせる法定相続人の人数には制限があり、被相続人に実子がいる場合は1人まで、被相続人に実子がいない場合は2人までと定められており、相続税負担を軽減することを目的として孫と養子縁組をした事実が認められた場合、孫を法定相続人として含めることはできなくなりますので注意が必要です。

1-3. 孫が代襲相続人となるケースも

孫が代襲相続人として法定相続人となるケースも存在します。
代襲相続とは、被相続人よりも先に法定相続人である子供(孫の親)が亡くなっている場合に、子供の代わりに孫が法定相続人となる制度のことをいいます。
代襲相続人が財産を相続する権利は、本来の法定相続人である子供(孫の親)と同等となるため、代襲相続人となった孫は、養子縁組をした孫養子とは違い、相続税2割加算の対象とはなりません。
ただし、代襲相続はあくまでも被相続人の子供(孫の親)が亡くなっている場合に、孫が相続する権利を引き継ぐというものです。子供(孫の親)が相続放棄をしていたり、連絡がつかない状況になっていたりしても、子供が健在であれば、孫は代襲相続人にはなれません。

2. 孫への相続でかかる相続税はいくら?

相続税は、正味の遺産額から基礎控除を差し引いた財産にかかるものです。計算方法はシンプルですが、遺贈や養子縁組で孫に財産を相続するときは、相続税の2割加算に注意しておきましょう。

例えば、配偶者がいない方が正味の遺産額8,000万円を1人の子供と1人の孫(養子)に2分の1ずつ相続させたいという場合、以下の計算式で課税対象の金額を算出します。

3,000万円 + (法定相続人の数 × 600万円)=【相続税の基礎控除額】

このケースでは法定相続人は2人ですので、3,000万円+1,200万円で4,200万円が相続税の基礎控除額となり、課税対象となる金額は3,800万円ということになります。
3,800万円の相続財産を子供と孫が2分の1ずつ相続する場合、まずは相続財産にかかる相続税の税率と控除額を確認しながら、相続税の総額を計算します。

① 子供

3,800万円×1/2(法定相続分)=1,900万円
1,900万円×15%-50万円=235万円

② 孫

3,800万円×1/2(法定相続分)=1,900万円
1,900万円×15%-50万円=235万円

③ 相続税の総額 ①+②=470万円

相続税の税率と控除額は、国税庁のホームページから確認することができます。

相続税の税率

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

出典:国税庁「No.4155 相続税の税率」

相続税の総額を計算したら、2分の1ずつの相続割合で按分します。孫にかかる相続税は2割加算されるため、加算分を加える必要があります。

④ 子供の相続税

470万円×50%=235万円

⑤ 孫の相続税

470万円×50%=235万円
235万円+(235万円×20%)=282万円

3. 孫にかかる相続の負担を軽減する方法

孫にかかる相続税負担を軽減するためには、生前贈与が有効です。相続税と比べると贈与税は高いのでは?と心配になる方もいらっしゃるかもしれませんが、生前贈与では贈与税の非課税枠や特例を利用することができるため、贈与税をかけずに生前贈与を行うことも可能です。

3-1. 年間110万円以下の暦年贈与を行う

贈与税には年間110万円の基礎控除があります。そのため、年間110万円以下の贈与であれば、孫に贈与税が課せられることはなく、贈与税の申告手続きも不要です。

3-2. 教育資金を贈与する

孫に対して教育資金を贈与する場合には、「教育資金の贈与非課税の特例」を利用することで、贈与税の基礎控除110万円に加え、最大1,500万円(学校や塾や習いごとなど、学校等へ直接支払われるもの以外の資金ついては最大500万円)までの贈与にかかる贈与税が非課税となります。

3-3. 住宅取得等資金を贈与する

孫に対して住宅取得資金を贈与する場合には、「住宅取得等資金の贈与の非課税の特例」を利用することで、贈与税の基礎控除110万円に加え、最大1,500万円(令和2年4月1日以後に新築等の契約締結の場合)までの贈与にかかる贈与税が非課税となります。

3-4. 結婚・子育て資金を贈与する

孫に対して結婚・子育て資金を贈与する場合には、「結婚・子育て資金の贈与非課税の特例」を利用することで、贈与税の基礎控除110万円に加え、最大1,000万円まで(結婚資金としては最大300万円まで)の贈与にかかる贈与税が非課税となります。

3-5. 不動産を贈与する

現金ではなく、同じ価値水準の不動産を生前贈与した場合、贈与税の対象となる財産評価額が下がる傾向にあります。
例えば8,000万円の現金を生前贈与するときの贈与財産の評価額は8,000万円ですが、実勢価格が8,000万円の不動産を生前贈与する場合、贈与財産の評価額は路線価や固定資産税評価額をもとに計算され、仮に7割評価となる不動産であれば贈与財産を5,600万円として贈与税の計算ができるのです。
そのため、孫に生前贈与する場合は、現金から不動産へ資産を置き換えて贈与することで、現金で贈与するよりも相続の負担を軽減することができます。

4. 孫への相続に関する注意点

孫への相続を検討する際は、孫に財産を相続することによって起こり得るトラブルや、注意点についても把握しておきましょう。
相続トラブルで多いのが、遺産分割によるものです。遺言や養子縁組により孫が相続する場合、他の相続人の相続割合が減ることになるため、不公平さから不満を訴える相続人が出てくる可能性があります。そのため、自分が亡くなった後、孫が人間関係のトラブルに巻き込まれることがないよう注意が必要です。生前贈与を行った場合でも、不満を漏らす人は出てくるかもしれませんが、生前贈与であれば孫に対して確実に財産を残すことができます。

また、生命保険の死亡保険金受取人に孫を指定する場合にも注意が必要です。祖父母が被保険者かつ契約者となって生命保険に加入し、死亡保険金の受取人を孫にした場合には、相続税の課税対象となります。
孫以外の法定相続人が生命保険の死亡保険金を受け取る場合には、「500万円×法定相続人の数」で算出される非課税枠が設けられています。しかし、孫は法定相続人ではありませんので、孫が生命保険の受取人になる場合にかかる相続税は2割加算の対象となります。

5. 最後に

今回は、孫にかかる相続税負担を軽減する方法や注意点について解説してきました。
孫にかかる相続税負担を軽減するには、非課税枠や特例を活用する、現金を不動産に換えて相続するなどの方法があります。孫にかかる負担を減らすには、ご自身に合った方法を選び、できるだけ早いタイミングからしっかりと準備を行うことが大切です。

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  • 相続税の圧縮効果を含めた税務の取り扱いについては、個別具体的な事情に応じて適用が異なる可能性がありますので、税理士等の専門家にご相談ください。

税務の取扱に関する監修

マックス総合税理士法人マックスソウゴウゼイリシホウジン

プロフィール
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渋谷本社、自由が丘オフィスを拠点に、東京都心及び、城南地区の地主や資産家に対し、『民事信託も活用した相続・相続への準備、不動産の売買や贈与時の提案』といった資産税コンサルティングを手がける。
毎週末、不動産に関する税務相談会も行っており、ただの税務理論だけでなく、不動産の現場にも精通する知識と経験を備えている。
マックス総合税理士法人http://www.max-gtax.com/

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