自社ビルの建築費用はいくらかかるのか|構造や種類別の相場について
目次
「いつかは自社ビルを建築したい」「しかし具体的な費用は見当が付かない」とお悩みではありませんか?
自社ビルの建築費用は、「坪単価×延べ床面積(坪)+諸経費」で概算が可能です。また、鉄骨造や鉄筋コンクリート造といったビルの構造や、エレベーターの有無、デザインのこだわりなどの要素によって、建築費用は大きく異なります。
本記事では、自社ビルの建築費用をおおまかに計算する方法や、相場よりも費用が高くなるケース、諸費用や構造などの基礎知識をわかりやすく解説します。
自社ビルの建築にどのくらいの費用がかかるのかを知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
自社ビルの建築にかかる費用とは
自社ビルの建築にかかる費用は、大きく分けると以下のふたつから成り立ちます。
- ビル本体の建築工事費
- その他の諸経費
建築工事費の目安は「坪単価×延べ床面積(坪)」で概算できるため、自社ビル建築に必要な金額は「坪単価×延べ床面積(坪)+諸経費」となります。
自社ビルの建築費用は算出が難しい部分もありますが、マンションの建築費用をイメージするとわかりやすいかもしれません。構造によって坪単価が変わる点などは共通しています。
政府統計ポータルサイト「e-Stat」では、用途別・都道府県別・構造別の工事予定額や床面積などの統計が掲載されています。統計調査をもとにしたデータではありますが、条件や地域によって差が出るため、あくまでも参考程度として見ておきましょう。
政府統計ポータルサイト e-Stat:https://www.e-stat.go.jp/
次章から、自社ビルの建築費用を算出する方法や坪単価の目安を詳しくお伝えしていきます。
自社ビルの建築工事費
まずは、諸経費を含まない「坪単価×延べ床面積(坪)」の建築工事費について解説します。坪単価とは、合計金額を延べ床の坪数で割ったもので、概算見積を算出する際などの目安となる単価です。実際にかかる工事費は建物構造や建設地によって大きく異なるため、諸条件により坪単価も変わります。
ビルの構造別の坪単価あたりの建築工事費単価
建物の「構造」とは、梁や柱などの骨組み部分の材料と、組み立て方のことです。ビルの構造は、おもに鉄骨造(S造)・鉄筋コンクリート造(RC造)・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の3種類に分けられます。
構造 | 特徴 |
---|---|
鉄骨造(S造) | ・鉄骨を使用した構造 ・「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」があり、柱や梁の鉄骨の厚みが6mm未満のものを軽量鉄骨造、6mm以上のものを重量鉄骨造と呼ぶ ・重量鉄骨造は防音性や耐久性に優れ、ビルや高層マンションに用いられることが多い |
鉄筋コンクリート造(RC造) | ・建物の主要な部分に鉄筋を組み、その周りにコンクリートを流し込んだ構造 ・引張力(引っ張る力)に強い鉄筋と、圧縮に強いコンクリートの強みをかけあわせることで強度が増す |
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | ・鉄骨で組んだ柱の周りに鉄筋を組み、コンクリートを施工した構造 ・鉄筋コンクリート(RC造)よりも強度が高く、より細い柱にできるため室内空間を広く取れるのがメリット |
それぞれの構造における坪単価の全国平均値は次のとおりです。なお、居住用の建築物も含む平均坪単価となっています。
構造 | 鉄骨(S造) | 鉄筋コンクリート(RC造) | 鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造) |
坪単価 | 約75万円 | 約95万円 | 約112万円 |
ビルの種類別の坪単価あたりの建築工事費単価
ビルの種類には、代表的なものとして居住用ビル・産業用ビル・オフィスビル・テナントビル・メディカルビルの5種類があります。ビルの種類と構造ごとの坪単価は次のとおりです。
鉄骨(S造) | 鉄筋コンクリート (RC造) | 鉄骨鉄筋コンクリート (SRC造) | |
---|---|---|---|
居住用ビル | 約84万円 | 約87万円 | 約88万円 |
産業用ビル | 約72万円 | 約104万円 | 約114万円 |
オフィスビル | 約110万円 | 約157万円 | 約156万円 |
テナントビル | 約57万円 | 約98万円 | 約105万円 |
メディカルビル | 約114万円 | 約117万円 | 約91万円 |
地域別の坪単価あたりの建築工事費単価
坪単価は都道府県により異なり、都市部ほど高くなる傾向にあります。たとえば、東京・大阪・神奈川・長野における坪単価は、以下の金額となっています。
| 鉄骨(S造) | 鉄筋コンクリート (RC造) | 鉄骨鉄筋コンクリート (SRC造) |
---|---|---|---|
東京都 | 約116万円 | 約124万円 | 約110万円 |
大阪府 | 約81万円 | 約85万円 | 約128万円 |
神奈川県 | 約85万円 | 約74万円 | 約67万円 |
長野県 | 約68万円 | 約99万円 | 約28万円 |
ビル建築時の諸費用
ビルを建てるためには、建物本体の工事費以外に調査費や設計費、契約に関する費用などが必要で、これらを総称して諸費用といいます。諸費用の合計額は建築費用の5~10%が目安とされており、以下のような費用があげられます。
<調査費・設計費>
- 現況測量費
- ボーリング調査費用
- 設計料
<契約・手続にかかる費用>
- 印紙代
- 水道分担金
- 所有権保存登記費用
- 抵当権設定登記費用
- 不動産取得税
- 司法書士手数料
- 火災・地震保険料
- 融資事務手数料・保証料
諸費用の項目は一律ではなく、建築会社によって設計料が建物価格に含まれている場合があるほか、水道分担金などは必要ないケースもあります。各登記費用や火災保険料などはビルの規模や価格によって異なるため、建物の見積りとあわせて概算予算を算出してもらうとよいでしょう。
自社ビルの建築費用が相場より高くなるケース
自社ビルの建築費用は、建物本体の価格と諸費用をあわせたものですが、本章で解説するようなケースでは、相場よりも費用が高くなる可能性があります。自社ビルを構想する際の参考にしてください。
1. 外装や内装にこだわるとき
建築費用にはデザイン費も含まれます。目立ちやすいビルや内装がおしゃれなビルは、顧客からの評判にもつながりやすいですが、凝ったデザインにすれば、その分費用がかかるでしょう。
また、外装材・内装材そのものの原価や施工費なども資材によって異なり、おしゃれなものや素材にこだわったものは、費用が高くなる傾向にあります。
2. エレベーターを設置するとき
エレベーターを設置すると、建築費用が高くなります。建築基準法で、高さ31mを超える建物には、エレベーター(非常用昇降機)の設置が義務づけられているため、該当する場合は設置が必要です。天井の高さにもよりますが、高さ31mは、ビルの階数にあてはめると7~10階前後と想定されます。
ビルに導入するようなエレベーターは「特注型」と呼ばれ、小型のものでも1,000万円程度の費用がかかります。
3. 特殊な設備を導入するとき
一般的なオフィスビルであれば設置するケースは少ないと考えられますが、ビル内に入浴施設を作るなど、特殊な設備を導入する場合は建築費用が高くなります。
4. 解体する必要があるとき
自社ビルを建築する土地にすでに建物がある場合は、解体を行う必要があります。その分費用は高くなり、工期も伸びるので、それらを見込んで計画を立てましょう。重機が入りにくい場所にある建物の解体や、内装にアスベストが使用されているケースでは、解体費用がさらに高額になります。
自社ビルの建設は信頼できる会社へ相談する
自社ビルの建築費用は、「坪単価×延べ床面積(坪)+諸経費」で概算できます。しかし、構造や地域によって坪単価は大きく異なり、デザインなどの要件次第で建築費用は変わります。
おすすめの方法は、見積もりをとって詳細を確認することです。相見積もりをとるのもよいでしょう。自社ビルは、会社の資産となる大切なものなので、信頼できる会社へ相談することが大切です。
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