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バスターミナル開業で高まる
東京・八重洲エリアの可能性

目次

2022年9月17日、東京・八重洲に「バスターミナル東京八重洲」がオープンします。日本最大級となるバスターミナルで、これまで東京駅周辺の路上に点在していた高速バスの停留場所が集約される予定です。これによって交通インフラや八重洲の街はどう変わるのでしょうか。日本のバス事業に詳しい高速バスマーケティング研究所代表の成定竜一氏に伺いました。

日本最大級のバスターミナルが八重洲に誕生

 “日本の玄関口”と呼ばれる東京駅の八重洲口再開発地区に、バスターミナル東京八重洲が誕生します。これによって八重洲の可能性がさらに高まるでしょう。

 バスターミナルの開業を含む再開発によって、交通結束機能の強化や商業施設・街環境の充実が見込まれています。また、今回の第1期エリア開業の発表に先駆け「バスターミナル東京八重洲」の名称も明らかにされました。同地区には「東京ミッドタウン八重洲」の開業も決定しており、「八重洲」という街のブランド価値をさらに高めていこうという熱意を感じます。

 バスターミナル東京八重洲が開業するのは、都市再生特別地区に指定されている八重洲一丁目東B地区、八重洲二丁目北地区、八重洲二丁目中地区と、東京駅向かいに隣接する3地区の地下空間です。2028年度に全面開業を迎える予定で、20もの乗降場を持つ日本最大級のターミナルになります。今回は約1/3に当たる八重洲二丁目北地区(東京ミッドタウン八重洲)の第1期エリアが先行して開業することになりました。

 前提としてバス業界の動向をお話しすると、都市間を結ぶ高速バスは全国で1日に約1万4000便が運行され、年間ののべ利用者数は約1億人と、国内線の飛行機利用者をわずかに上回る規模を誇ります。コロナ禍によってほかの交通インフラ同様に大きく落ち込んでしまいましたが、現在の運行数は8割近くまで回復し、主要インフラとしての存在は失われていません。特に東京駅周辺は、近隣の主要都市へ向かう高速バスから航続距離の長い夜行バスまで、国内屈指の運行本数を数える場所。それも割安旅行を楽しむ若者の旅行者や大型商業店舗への買い物客のほか、千葉北西部や北関東から通勤で利用するビジネスパーソンも多く、多彩な利用客がいることも特徴です。

 JR系列の高速バスは東京駅の八重洲南口に整備された「JR高速バスターミナル」から発着していますが、そのほかのバス会社は周辺の路上に停留所を設けていました。バス会社や路線ごとに複数の停留所があるため場所がわかりにくく、また待合客によって歩道が混雑するなど、問題も生じていました。2001年頃より東京都や中央区らの間でバスターミナル建設の検討が行われていたようで、2014年から有識者会議が設けられ、ターミナルの新設が決定しました。

 現在、国土交通省が全国8カ所に集約型の公共交通ターミナルを設ける「バスタプロジェクト」を推進しているほか、民間も含めると全国で多数のバスターミナル新設のプロジェクトが進捗しています。バスターミナル東京八重洲は、バスターミナル整備、運営というビジネス領域の先駆けという意味でも注目されています。

八重洲が買い物客であふれるエリアに

 バスターミナル東京八重洲設立による八重洲エリアのメリットの一つは、周辺環境の向上です。バスの到着を待って何十人もの利用客が歩道にあふれる時間帯・路線がありますし、雨が降って傘を差す状況になれば、一層混雑していました。また、停留所が路上にあるために周辺道路が渋滞する要因にも。バスターミナルが地下空間に整備されることによって歩道・路上の混雑が解消され、人やクルマがよりスムーズに流れるようになります。このほか、再開発地区では大型駐輪場/駐車場や屋内/地下広場の新設、周辺道路幅の拡張が予定されており、心地よく過ごせる空間が創出されます。また、多くの人を呼び込む商業地としての期待も高まっています。

 また、バスターミナル東京八重洲内にはチケットカウンターやコンビニ、トイレ、授乳室、コインロッカーなどの設備が設けられます。多くの店舗が並ぶ八重洲地下街からアクセスできますし、東京ミッドタウン八重洲はオフィスのほか4フロアにわたる商業ゾーンや高級ホテル、小学校、子育て支援施設で構成され、さまざまな人や情報、モノ・コトが集まるスポットになります。

 東京駅といえば丸の内仲通りも人気ですが、ややハイエンドで高所得者層向けというイメージでした。八重洲の場合、多彩な客層が利用するバスターミナルができることで出店される商業施設も多様になると考えられ、「平日の街」イメージを払拭し土日を含め多くの買い物客が集まるエリアになるのではないでしょうか。周辺環境の整備によって日本橋や京橋方面への回遊性も高まり、商業活動はますます盛り上がると思われます。

バスツアーの開発で新たなチャンスも

 さらに、バスターミナル東京八重洲の誕生によって、新たなビジネスチャンスも生まれると予想しています。全面開業時には規模に余力が生まれることから、バス事業者間で公正な競争が促され、新たにバスサービスが開発される可能性があるのです。

 特に注目したいのが、外国人をターゲットにした日本文化体験サービスなど、個人客向け「着地型ツアー」の拡充です。これまで、外国人観光客は団体ツアー中心に伸長してきましたが、近年は旅慣れてFIT(個人自由旅行)が増えています。「現地でツアーに参加してみたい」という突発的なニーズも生まれていますが、現地参加型の着地型ツアーの品ぞろえが不十分でした。バスターミナル東京八重洲にはチケットカウンターもありますからその場でツアーを申し込みやすく、土地勘に不慣れな人にとって乗車場所もわかりやすい。魅力的なバスツアーが誕生すれば、さらに八重洲エリアのブランド力は高まるでしょう。

 すべてのメリットを味わうには全体の開発が終了する2028年以降まで待つ必要がありますが、バスターミナル東京八重洲第1期エリアの先行開業だけでも、新たな八重洲エリアのポテンシャルの一端を感じられるはずです。東京の街で、八重洲が最先端エリア。ここからさまざまなチャンスが生まれると思います。

お話しいただいた方

成定竜一 様

なりさだ・りゅういち

高速バスマーケティング研究所株式会社 代表

1972年兵庫県生まれ、1997年早稲田大学商学部卒。高級都市ホテルチェーン勤務を経て、2006年に楽天バスサービス株式会社に入社し、楽天トラベル「高速バス予約」サービスの事業責任者に。2011年2月、同社取締役を退任し、高速バスマーケティング研究所を設立。

大学生時代に私鉄系バス事業者の高速バスターミナルでアルバイトをしたことがきっかけで高速バス愛好家となり、 友人と一緒に全国の高速バスを乗り歩きつつ各路線の利益最大化策を議論することが趣味となる。

国土交通省「バス事業のあり方検討会」(2010年度)委員、同「『高速・貸切バスの安全・安心回復プラン』フォローアップ会議」(2012~13年度)委員、国土交通省/観光庁「国内観光の振興・国際観光の拡大に向けた高速バス・LCC等の利用促進協議会」(2016年度~)構成員などを務める。新聞、テレビ等でのコメント多数。

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