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経営者インタビュー#20
株式会社ロマンス小杉代表取締役社長小杉 源一郎 様

目次

これまで弊社メールマガジンにて人気シリーズとして全15回にわたりお届けしておりました 『経営者インタビュー「未来へ繋ぐ、わたしの羅針盤」』を、メールマガジン読者の皆様からの反響を受けまして、Vコラムとして掲載をすることとなりました。
完全新作のインタビューはもちろん、過去にメールマガジンで配信をしたインタビューについても、ご承諾いただいたものについては、再編集してVコラムとして更新をしていく予定です!
今回は 株式会社ロマンス小杉 代表取締役社長 小杉 源一郎 様へのインタビューをお届けします。

創業者である小杉源蔵・澄子夫妻が、戦中の上海ではじめた事業は、戦後の京都で寝具を取り扱う「小杉商事株式会社」へと発展。時代の一歩先を行く、新しいものづくりを目指した商品開発が話題となり、「ロマンスブランド」の名は寝具業界へ浸透していきました。祖父、母と受け継がれた事業を承継し、創業70年以上の老舗企業を牽引する小杉源一郎社長に、同社の強み、ものづくりにかける想い、さらにはSDGsの実現を見据えた取り組みについて話を伺いました。

笑顔の溢れる組織を目指し
人を大切にした経営を推進する

「京都には、100年以上続く企業はたくさんあります。それに比べたら、創業70年なんて『やっと小学校に入学した』というような成長段階だと思います」と控えめに話す小杉社長ですが、ロマンス小杉の歩みは、どんな老舗企業にも負けないドラマティックな出会いとチャレンジに満ちています。

日本を代表する老舗寝具メーカー・西川甚五郎商店(現・西川株式会社)で研鑽を重ね、トップセールスマンに成長した小杉源蔵氏は、結婚を機に渡った日本統治下の上海で、染料を取り扱う「小杉染工」を1942年に創業。その後、敗戦の混乱の最中に帰国し、1946年京都で個人会社「小杉商会」を設立しました。卸売登録制(戦後の衣料切符制度)が実施されていた国内市場で「絹人絹織物」「寝具類」の取扱許可を得たことで「小杉商事株式会社」へ改組。国内でのビジネスを本格的に開始しました。

寝具という取扱商品に大きな転機をもたらしたのは、祖母・澄子さんのアイデアだったと小杉社長は説明します。

「進駐軍から払い下げられた衣料品の『肩パット』が大量に余っているという情報を聞いた祖母は、これを何かに利用できないかと思案しました。ハサミで割いて中身をみたところ、あまり馴染みのない繊維が出てきたのです。手にとってみると、軽くて柔らかく、ほんのりと温かさを感じる。これをふとんの中綿として使用できないか、と考えたのです」

その繊維・ポリエステルを求めて、大手繊維メーカーへ直談判。こうしてアメリカ産ポリエステル「テトロン綿」を使用した新商品『ロマンス洋ふとん』は大ヒットを記録し、業界での確かなポジションを確保することができたそうです。

「全員が経営者」という自覚と気概で
お客様のため、会社のため、自分のために知恵を絞る

「競合の多い業界で存在感を示すには、常に新しいことに挑戦すること。創業者である祖父母は、この手法で会社を発展させてきました」という小杉社長。この言葉のとおり、常識にとらわれない発想で市場を開拓してきた歩みこそが、「ロマンスブランド」の歴史そのものだったと振り返ります。

「高度成長期、錚々たる老舗企業に追いつくため、祖母は、京都の西陣や友禅などの色鮮やかな晴れ着のデザインを手がけていた専門家に頼み込み、布団に合うデザインを開発してもらったそうです。それを繊維会社に持ち込み、オリジナルの生地を発注。これまで市場になかった斬新なデザインの布団を既製品として売り出したのです」

地味な生地を寝具店に持ち込み、中綿を詰めて打ってもらうという「オーダーメイド」が一般的だった業界の通例に、風穴を開ける画期的な商品提案。このような創業者夫婦が発揮してきたパイオニア精神は、今のロマンス小杉の強みとして、しっかりと受け継がれてきました。

また、一昔前はギフト商材として定番だった寝具。しかし現在、その市場は縮小傾向にあるため、「快眠」「未病」などの健康志向をテーマとした、新しい分野での商品開発に力を注いでいます。

「最近では、岩盤浴から発想を得て、北海道産のブラックシリカ(常温でも遠赤外線を強力に放射する天然鉱石)を粉にして生地に練りこんだ毛布など、新しい商品が話題となりました。このような新しい試みは、創業時は祖父母が主に発案していましたが、私はなるべく口を挟まず、大きな方向性だけを伝え、あとは社員に任せるというスタンスで行なっています」

若い世代の発想を活用するため、社員一人ひとりが能動的に動く組織を構築。フレキシブルな裁量を与える代わりに「全員が経営者」という自覚と気概をもって、お客様のため、会社のため、そして自分のために知恵を絞り、責任感をもって行動する社風を目指しています。

「商品開発だけでなく、営業に関してもそれは同じ。社員や部署それぞれに、いろいろな個性や文化があります。全員に同じやり方を強いるのではなく、自分なりのスタイルで、地域や世代によって異なるターゲットに合わせて対応させることが、『ロマンス小杉』の特徴であり、差別化につながると思っています」と語ってくれました。

数字には現れない社員の長所を評価すること
それが経営者の務め

2001年、32歳のときに社長に就任した小杉社長。社長業を継ごうと考えたのは、中学校2年生のときだといいます。

「祖父母にとって私は初孫で、しかも男の子。とても可愛がってもらいました。祖父は営業先へ幼い私を連れていってくれたことも多かったですし、会社の運動会などにもよく参加していました。そんな祖父母とのふれあいを通じて気がついたのは、『二人の周りには、素敵な笑顔が溢れている』ということ。祖父母に関係する人たちは、みんな明るく笑っているという印象が強かったのです。こんな環境が羨ましく、格好いいと思いました。業務の内容もわからず、笑顔に囲まれた仕事がしたい、後を継ぎたいと思ったのは、自然な流れでした」と振り返ります。

祖父の後を継ぎ、2代目に就任したのは母の總子さん。28歳で入社し、4年間母の事業を支えた小杉社長は、2000年の年末に「来年、21世紀を迎えると同時に社長になりなさい」と母から突然告げられたそうです。

「さすがに『えっ、ちょっと待って!』と母には言いましたが、結局3週間程度しか準備がない状態で3代目社長を引き継ぐことになりました」

社長になった小杉社長がまず着手したのは、それまでブランド名として浸透していた「ロマンス」を社名に取入れ「ロマンス小杉」へと変更する改革でした。

「人の誕生、入学・進学、独立、就職、結婚…というライフステージの変化のタイミングで必要とされる布団という商品を象徴した『ロマンス』という名称にすることは、同時に当社がこれまで大切にしてきたパイオニア精神を受け継ごうという決意の表れでもありました。また『小杉』には、祖父母や母が重視した『信頼』『永続的な関係』『正直さ』『人間力』という要素が込められています。この社名変更によって、先達たちの築いた伝統を継承し、発展させていきたいと考えました」

社会や経済、消費者ニーズに対応しながら、創業70年を超える企業の舵取りを担う小杉社長。その根底にあるのは、祖父母や母の周りでみた、多くの人たちの笑顔です。

「私も、祖父母や母のように、人を大切にする経営を続けていきたい。経営状況によっては厳しい選択を迫られることもあるかもしれませんが、少なくとも経営者の都合で従業員を減らすことはしてはいけない。その想いの強さには自信があります」と胸を張る小杉社長。「数字で社員の働きぶりを評価することも時に必要だが、数字には現れない長所を見つけて褒めてあげることが、経営者である私の務め」とし、笑顔溢れる組織の完成を目指しています。

「今後は SDGsを見据えた取り組みにも一層の力を注ぎたい。布団の打ち直しの推進や、羽毛布団の再利用・バイオエタノールへの転換、Tシャツなど他の衣料品へのリサイクルなど、布団メーカーとして貢献できることも多いはず」と、創業時から変わらぬパイオニアスピリッツを持って、持続可能な社会の実現に取り組んでいきたいと語りました。

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