目次
本記事に掲載された情報は、2020/09/16時点のものです。掲載されている情報は、予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
相続には、一次相続と二次相続があります。遺族にできるだけ相続の負担をかけたくないとお考えの方は、一次相続だけでなく、二次相続についてもしっかりと把握しておくことが大切です。この記事では、二次相続とは何か、一次相続との違いや準備の方法について解説します。
1. 二次相続とは?
二次相続とは、両親のどちらか一方が亡くなって1度目の相続が発生した後、残されたもう一方の親も亡くなったという状況で発生する2度目の相続のことをいいます。
例えば、両親のうち父親が先に亡くなったという場合、父親が被相続人となって母親と子供に財産を相続するのが「一次相続」、その後、母親の財産を子供だけに相続する2回目の相続が「二次相続」となります。
2. 一次相続と二次相続ではどのような違いがある?
一次相続と二次相続では、相続税の計算においていくつかの違いが出てきます。ここでは、家族構成が両親と子供1人の場合を例に、一次相続と二次相続の違いを解説していきます。
2-1. 相続人の人数
一次相続と二次相続では、相続人の人数に違いがあります。
両親と子供1人の場合、一次相続における相続人の人数は「配偶者」「子供」の2人、二次相続における相続人の人数は「子供」1人となります。
2-2. 基礎控除の額
相続税における基礎控除の額は、法定相続人の人数によって変わります。
相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されるため、上記例の場合、一次相続における基礎控除の額は「3,000万円+600万円×2人(配偶者・子供)」で4,200万円、二次相続における基礎控除の額は「3,000万円+600万円×1人(子供)」で3,600万円となります。
2-3. 生命保険の死亡保険金にかかる非課税控除
生命保険の死亡保険金にかかる相続税には非課税控除枠があり、その非課税控除額は「500万円×法定相続人の数」で計算されます。
上記例の場合、一次相続における非課税控除額は「500万円×2人(配偶者・子供)」で1,000万円、二次相続における非課税控除額は「500万円×1人(子供)」で500万円となります。
2-4. 配偶者控除
相続税の配偶者控除とは、配偶者のみに適用される基礎控除のことです。
配偶者と子供が相続人となる一次相続では、配偶者控除を適用することができます。しかし、二次相続では子供1人が相続人となるため、配偶者控除を適用することができません。
2-5. 小規模宅地等の特例
一次相続と二次相続では、小規模宅地等の特例を適用できるかどうかにも違いがあります。
小規模宅地の特例とは、死亡した被相続人が居住用や事業用として利用していた土地の評価額を、一定の要件を満たした場合に減額することができるという特例のことです。
小規模宅地等の特例のメイン対象地である『被相続人が居住していた自宅』については、配偶者が相続人である一次相続では、配偶者がその自宅を相続するだけで小規模宅地の特例を適用することができます。しかし、二次相続では子供のみが相続人となるため、相続する子供が同居していたかどうか、申告期限まで保有しているか、など一定の要件を満たさないと小規模宅地等の特例が受けられないことになります。
2-6. 相次相続控除
相次相続控除とは、10年以内に両親が相次いで亡くなった場合など、連続して相続が発生した場合に受けられる控除です。そのため一次相続で配偶者に相続税が課税され、その後10年以内に二次相続が発生した場合には、二次相続で適用することができます。
3. 二次相続は一次相続より相続の負担が増える!
一次相続と二次相続では適用できる控除の額や特例に違いがあることから、二次相続のほうが一次相続よりも相続の負担が増えることになります。そこで、一次相続と二次相続で、かせられる相続税額が具体的にどのくらい変わるのか、早見表で確認してみましょう。
相続税の純資産価額(※) | 相続税の額 | |
---|---|---|
一次相続(配偶者と子供1人が50%ずつ相続)の場合 | 二次相続(子供1人が100%相続)の場合 | |
4,000万円 | 0円 | 40万円 |
6,000万円 | 90万円 | 310万円 |
8,000万円 | 235万円 | 680万円 |
1億円 | 385万円 | 1,220万円 |
3億円 | 3,460万円 | 9,180万円 |
5億円 | 7,605万円 | 1億9,000万円 |
- 相続税の純資産価額:相続した財産から債務や葬儀費用を差し引いた額
このように、相続税の純資産価額で比較をした場合、二次相続は一次相続と比べて、相続の負担がかなり大きくなります。そのため、相続へのお取り組みにおいては、二次相続への事前の準備がとても重要になるのです。
≫ ボルテックスが考える資産運用支援とは4. 二次相続は事前のお取り組みが重要!
相続へのお取り組みにおいては、二次相続に対する事前の準備がとても重要になります。しかし、具体的にどのような相続へのお取り組みをすればよいのか分からないという方も多いでしょう。ここからは、二次相続へのお取り組みとして事前に行うべき準備についてご説明します。
≫ 相続・生前贈与でお悩みの方はこちら4-1. 一次相続で財産の分配を調整する
相続税の二次相続へのお取り組みとしては、一次相続の時点で配偶者と子供への財産の分配を調整し、一次相続で配偶者へ相続する財産の額を減らすという方法があげられます。
特に将来的な価値の上昇が見込める不動産や有価証券は、一次相続時に配偶者ではなく子供に相続するとよいでしょう。このような財産を一次相続で配偶者に相続すると、二次相続の時点で相続税の対象となる財産の額が増えることになり、課せられる相続税額が増えてしまいます。
4-2. 一次相続で自宅は子供が相続する(同居の場合)
一次相続の時点において、子供が実家である自宅に同居している場合には、小規模宅地の特例を適用することができます。そのため、あえて配偶者ではなく子供に相続させるという方法も検討されることがあります。
4-3. 相次相続控除を活用する
10年以内に両親が相次いで亡くなってしまった場合には、相次相続控除が活用できる可能性があります。連続する相続では、相次相続控除を利用することで、相続の負担を低くすることができる可能性があります。相次相続控除について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
4-4. 生前贈与を活用する
二次相続への準備としては、生前贈与も有効です。
生前贈与とは、将来的な相続の対象となる財産を、生きている間に贈与するというものです。生きている間に財産を贈与することで、相続時の保有財産を減らし、将来的に相続人が負担すべき相続税評価額を低く抑えることができる可能性があります。
一般的に、相続税よりも贈与税の方が税率は高くなりますが、生前贈与には様々な特例が存在します。
5. 最後に
今回は、相続へのお取り組みにおいて重要な二次相続について解説してきました。二次相続は、事前にしっかりと準備をしておかなければ、一次相続以上に相続人への相続の負担が増えることになります。相続がいつ始まるかは予測できないため、トラブルを避けるためにも早めの準備が重要です。特に生前贈与を活用した二次相続へのお取り組みは、できるだけ早いうちから準備を始めることが大切です。
二次相続へのお取り組みとして行う生前贈与におすすめなのが、弊社の不動産小口化商品である「Vシェア」です。「Vシェア」は、都心の中規模オフィスビルを小口化しており、500万円(1口100万円、5口以上)から購入が可能で、個人でも資産運用として購入しやすくした商品です。
さらに、現物不動産と同様に贈与税や相続税の対象となる財産評価額を低く抑えられる可能性があります。
※本コラムに記載された内容は、各種の事例や文献を基に一般論として述べたものです。弊社から当該物件の購入についての税務に関する何らの示唆
および確定的な見解を示すものではなく、本コラムに記載された算出方法や評価額など一切について正確性および確実性を保証するものではありません。
具体的な申告書の作成などにあたりましては、税理士などの専門家や所管の税務署などにご相談いただきますようお願いいたします。
※ 分譲マンションの相続税評価額については、「居住用の区分所有財産の評価について(国税庁)」に定められた評価方法が適用されます。
※ 一定期間の保有が条件となります。
※ 評価額は物件により異なります。
「Vシェア」についてより詳しくご覧になられたい方は、下記ページをご参照ください。
- 本記事に記載された情報は、掲載日時点のものです。掲載されている情報は、予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
- 本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、資産運用・投資・税制等について期待した効果が得られるかについては、各記事の分野の専門家にお問い合わせください。弊社では、何ら責任を負うものではありません。
- 期待どおりの税務上の効果が得られない可能性があります。
- 評価額は物件により異なります。
- 税制改正、その他税務的取り扱いの変更により効果が変動する場合があります。
- 相続税の圧縮効果を含めた税務の取り扱いについては、個別具体的な事情に応じて適用が異なる可能性がありますので、税理士等の専門家にご相談ください。
渋谷本社、自由が丘オフィスを拠点に、東京都心及び、城南地区の地主や資産家に対し、『民事信託も活用した相続・相続への準備、不動産の売買や贈与時の提案』といった資産税コンサルティングを手がける。
毎週末、不動産に関する税務相談会も行っており、ただの税務理論だけでなく、不動産の現場にも精通する知識と経験を備えている。
マックス総合税理士法人(http://www.max-gtax.com/)
相続の記事一覧に戻る