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不動産特定共同事業は、プロの投資家だけでなく、一般の会社員やこれから投資を始めてみたいという投資初心者にも人気の高い不動産投資の手法のひとつです。不動産特定共同事業法(不特法)の改正により、近年ますます関心が高まっています。この記事では、不動産特定共同事業とは何か、その仕組みや実際の商品について、わかりやすく解説します。
1. 不動産特定共同事業とは?
不動産特定共同事業とは、不動産共同投資契約に基づき、事業主が、複数の投資家から資金を集めて不動産売買や賃貸などの取引を行い、その収益を投資家に分配する事業のことです。少額の資金で不動産投資を始められる不動産投資の手法として、近年、一般の個人投資家からの関心が高まっています。
不動産特定共同事業法における不動産特定共同事業契約の種類としては、「匿名組合型」「任意組合型」「賃貸借型」があります。
1-1. 匿名組合型
匿名組合型とは、出資者である投資家と事業者との相互関係を定めた匿名契約に基づき、「事業者」が主体となって行う不動産事業のことです。
投資家は事業者に対して金銭出資を行うのみであることが一般的で、事業によって得た利益は、事業者から出資者に分配されます。匿名組合型は、1口数万円程度の少額の金額で始めることができ、数カ月間などの短期運用ができるという特徴があります。
1-2. 任意組合型
任意組合型とは、「出資した複数の投資家」が主体となって共同で事業を行う不動産事業のことです。
共同で行う事業から生まれた利益は、出資割合に応じて投資家に分配されます。匿名組合型とは異なり、任意組合型の場合は、金銭出資以外にも現物出資や労務出資が可能です。
現物出資の場合は現物不動産の共同保有者となることから相続へのお取り組みとして活用されることも多く、現物不動産と同じ相続税評価方法が適用されるため、相続税評価額が引き下げられる可能性があります。
任意組合型は、1口100万円程度、運用期間が10年程度など、長期運用で安定収益を生むことが目的の商品が多いのが特徴です。
1-3. 賃貸借型
賃貸借型とは、複数の投資家が共同出資をして購入した不動産について、事業者と共有持分の賃貸借契約または賃貸借の委任契約をし、「事業者」が主体となって行う不動産事業のことです。事業者は、不動産の賃貸借契約または賃貸借を委任された物件の運営管理を行い、賃料収入などの利益を投資家に分配します。
賃貸借型の不動産特定共同事業の商品は提供されている数が少ないため、一般の投資家が投資対象とするのは、匿名組合型または任意組合型がほとんどです。
不動産小口化商品比較検討の際に抑えるべきポイントについて、詳しくは下記ページをご参照ください。
2. 不動産特定共同事業の仕組み
不動産特定共同事業は、将来的に資産価値が上がる可能性が高い物件や長期的な収益の安定性が見込める優良な不動産を事業者が購入し、小口化した投資商品として複数の投資家を募ります。事業者は、複数の投資家と共に共同事業として不動産の運営管理を行い、その収益を分配します。
不動産特定共同事業は、不動産特定共同事業法に基づき、国土交通大臣または都道府県知事の認可を受けた不動産共同事業者だけが行うことができる事業です。不動産特定共同事業者は第1号事業者から第4号事業者の4つに分類されます。
【参考】不動産共同事業者(許可制)
第1号事業者 | 不動産特定共同事業契約を締結し、契約に基づいて運営される不動産取引から得られる利益等の分配を行う事業者 |
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第2号事業者 | 不動産特定共同事業契約締結の代理もしくは媒介をする事業者 |
第3号事業者 | 特例事業者(※)の委託を受け、不動産特定共同事業契約に基づいて運営される不動産取引に係る業務を行う事業者 |
第4号事業者 | 特例事業者(※)が当事者となる不動産特定共同事業契約締結の代理・媒介をする事業者 |
※ 収益・利益の配分を専ら行うことを目的とする特別目的会社(SPC)
2-1. 不動産特定共同事業法(不特法)とは
不動産特定共同事業法(以下、不特法)とは、不動産特定共同事業の健全な発展と、不動産特定共同事業者に対する適正な業務運営や投資家の利益を保護することを目的に1994年に制定され、1995年4月に施行されました。それまでは個人では手を出しづらかった不動産投資ですが、不特法により個人投資家が参加しやすくなったといえます。
しかし、不特法は投資家を守るために作られた法律であることから、参入する事業者に対する要件や規制が厳しく、参入できる事業者が限られており、中小の事業者は参入しづらいことが課題となっていました。
そこで、不動産特定共同事業のさらなる着実な発展のため、2013年、2017年、2019年と数度に渡って一部法改正が行われました。
2-2. 2013年、2017年、2019年の不特法改正のポイント
2013年の不特法改正では、特別目的会社(SPC)を活用した「特例事業」の制度が導入され、許可を受けなくても届け出のみで不動産特定共同事業の運営が可能になりました。
2017年の改正ではさらなる規制緩和が行われ、中小企業でも特例事業者としての参入が認められるなど、参入できる事業者の範囲が拡大されました。また、新しい資金調達の手法であるクラウドファンディングに対応した環境整備も行われ、一般の個人投資家でも不動産投資を行いやすくなるなど、不動産市場の活性促進につながる意義ある改正となりました。
2019年の改正は、不動産クラウドファンディングの活性化を促し、近年の空き家や空き店舗などの問題に対する解決策の一環として実施された制度の改善です。「不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドライン」の制定や不動産特定共同事業法施行規則の改正により、新たなクラウドファンディング業者の参入が進み、投資家の利益が守られたメリットの高い投資商品やサービスが増加することが期待されています。
それ以外にもプロ投資家(適格特例投資家)限定事業の創設、小規模不動産特定共同事業の創設などが行われました。
不特法の改正により、今後、不動産特定共同事業におけるますますの発展と活性化が期待されています。
「不動産特定共同事業法」についての詳細や不特法改正のポイントについて、詳しくは下記ページをご参照ください。
3. 不動産特定共同事業にはどのような商品がある?
現在の不動産特定共同事業商品としては、匿名組合型・任意組合型の不動産小口化商品やインターネットを通じて投資家を募る不動産投資型クラウドファンディングが一般的です。
3-1. 不動産小口化商品
不動産小口化商品とは、特定の不動産を1口数万から100万円程度に小口化して投資商品として販売し、不動産の賃料収入や売却益など不動産取引によって得た収益を、投資額の割合に応じて出資者に分配するという商品です。少額な資金から不動産投資を始められるというメリットがあります。また、REITと異なり現物不動産の保有者になれるものもあるため、相続へのお取り組みに活用できる金融商品としても注目を集めています。
弊社の不動産小口化商品である「Vシェア」では、個人単位ではなかなか購入しづらい都心の商業地にある中規模オフィスビルを小口化して提供しています。プロが選んだ物件への小口投資により、収益の安定性や資産価値の長期的な維持が期待できます。また、リスク軽減を目的としたポートフォリオの分散や、生前相続(生前贈与)や相続へのお取り組みとしてもご活用いただける商品です。
3-2. 不動産投資型クラウドファンディング
不特法改正により、上場企業などの大手企業も参入を表明している不動産投資型クラウドファンディングは、多くの個人投資家からも注目を集めています。
インターネットを通じて購入できる利便性があり、場合によっては大きな利益を得ることも期待できるクラウドファンディングは、数万円ほどの少額の金額から参加できる案件も多いため、複数案件への投資によるリスク分散にも適した商品といえるでしょう。
参入事業者の増加により今後もより一層の拡大が予想されます。
4. 最後に
今回は、不動産特定共同事業について解説しました。弊社の不動産小口化商品である「Vシェア」は、個人単位ではなかなか投資対象としづらい東京都心のオフィスビルを中心に、長期的に資産価値や収益の安定性を維持できる物件だけをプロの目で厳選し、1口100万円単位・5口以上(最低口数は変更となる場合があります)から提供しています。また、弊社の「Vシェア」の場合は不動産小口化商品の特性を活かしながら、都心のプライムエリアの物件を選んでいるため、相続税評価額を低く抑えることができる可能性があります。不動産小口化商品に興味をお持ちの方は、ぜひ弊社にご相談ください。
「Vシェア」について、より詳しくご覧になられたい場合は、下記ページをご参照ください。
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- 評価額は物件により異なります。
- 税制改正、その他税務的取り扱いの変更により効果が変動する場合があります。
- 相続税の圧縮効果を含めた税務の取り扱いについては、個別具体的な事情に応じて適用が異なる可能性がありますので、税理士等の専門家にご相談ください。
不動産小口化商品「Vシェア」の商品詳細、収益シミュレーション、
物件に関する資料をお送りいたします。
保有資格:ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者・1級FP技能士)、公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、終活アドバイザー(終活アドバイザー協会) 他
1961年東京都出身。早稲田大学商学部卒業後、住宅メーカーに入社。長年、顧客の相続や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当。
また、自らも在職中より投資物件購入や土地購入新築など不動産投資を始め、早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。現在は、FPオフィス ノーサイド代表としてライフプラン・住宅取得・不動産活用・相続などを中心に相談、セミナー、執筆などを行っている。
FPオフィス ノーサイド(https://fp-noside.jimdo.com/)
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