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これから不動産投資を始めてみたいという方が必ず知っておかなければならないのは「税金」についてです。収入面だけを見て不動産投資を始めてしまったものの、後から色々なところに税金が課せられることを知り、計算が狂ってしまった…となっては本末転倒です。不動産投資においてどのような税金がかかるのかということについて解説していきます。
1. 不動産投資に関する税金の種類と支払うタイミング
不動産投資にはどのような税金が課せられるのでしょうか。税金が発生するタイミングとともに解説していきます。
1-1. 不動産投資物件の取得時に課せられる税金
最初に課せられる税金は、不動産を取得する際に発生します。
まずは「登録免許税」です。登録免許税とは、不動産を取得したということを国に届け出し、登記する際に課される税金です。「固定資産税評価額×税率」により算出されるのですが、税率は取得する不動産の種類や、取得の仕方により異なります。(参考までに、税率はおおよそ0.1%〜2%の間程度です。)
また、「印紙税」も発生します。不動産の売買契約書に印紙を貼ることが義務付けられています。印紙税額は購入金額によって以下のように決まっています。括弧内の金額は平成26年から令和4年3月31日の期間中の売買契約書に設けられている軽減措置後の金額です。
不動産の購入金額 | 印紙税額(軽減措置後の金額) |
---|---|
100万円〜500万円以下 | 2,000円(1,000円) |
500万円〜1千万円以下 | 10,000円(5,000円) |
1千万円〜5千万円以下 | 20,000円(10,000円) |
5千万円〜1億円以下 | 60,000円(30,000円) |
1億円〜5億円以下 | 100,000円(60,000円) |
不動産取得時に課せられる「不動産取得税」は、不動産取得後、約半年後に都道府県事務所等から送付される納税通知書により支払う必要があります。不動産取得税とは、不動産(土地・建物)を購入し、取得した際に発生する税金です。“購入”ではなく“相続”で不動産を取得した場合には不動産取得税は課されません。課される金額は、「固定資産税評価額(宅地は固定資産税評価額×1/2)×3%」により算出された金額となります。固定資産税評価額は不動産の登記後に各市区町村により近隣の相場などに基づき評価されて決まります。
1-2.不動産の運用時に課せられる税金
不動産の運用時に課せられる税金で負担の大きなもののひとつが「所得税」です。不動産収入(家賃収入)から必要経費分を差し引いた額が不動産所得になり、他の所得と合算し課税対象となります。所得税の税率は、以下のとおりです。
課税される所得金額 | 所得税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円〜330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円〜695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円〜900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円〜1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円〜4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円〜 | 45% | 4,796,000円 |
例えば不動産所得以外の課税所得が500万円の人が不動産投資を行い、その年の不動産所得が100万円であった場合、その不動産所得100万円に対する所得税は、100万円×20%(課税所得が500万円+100万円の600万円で上記表より20%)で所得税は20万円ということになります。
所得税に続いて負担の大きな税金が「住民税」です。住民税も所得額に応じて算出されます。市町村民税の6%と道府県民税の4%の合計10%の税金が課されます。
三つ目の税金が「固定資産税」です。固定資産税の課税額は「固定資産税評価額×1.4%」と定められていますが、市区町村によって異なる税率が定められているところもあります。
最後の税金が「都市計画税」です。都市計画税とは、市街化区域に土地や建物を所有する方に課される税金で、その課税額は「固定資産税課税標準額×0.3%」によって算出されます。
1-3. 不動産売却時に課せられる税金
不動産を売却する際にも税金が発生します。それは「所得税等」「住民税」です。売却によって得られた利益に対しても、所得税・住民税が課せられることとなります。また、不動産の売買契約書に印紙を貼ることが義務付けられているため、取得時と同じく「印紙税」も発生します。
税金が課せられるタイミング | 税金の種類 | 税金の金額 |
---|---|---|
不動産取得時 | 登録免許税 | 固定資産税評価額×税率 |
印紙税 | 不動産の購入金額に応じて | |
不動産取得税 | 固定資産税評価額×3% | |
不動産運用時 | 所得税等 | 所得額に応じて |
住民税 | 課税所得×10% | |
固定資産税 | 固定資産税評価額×1.4% | |
都市計画税 | 固定資産税評価額×0.3% | |
不動産売却時 | 所得税等 | 5年以下:課税所得×30.63% 5年超:課税所得×15.315% ※ 特例による軽減税率除く |
住民税 | 5年以下:課税所得×9% 5年超:課税所得×5% |
|
印紙税 | 不動産の売却金額に応じて |
※ 5年以下・超は、売却年の1月1日で判断する。
2. 家賃収入(不動産収入)の確定申告はいくらから必要?
続いて、不動産投資をしていく上で考えなければならない点が、確定申告についてです。
2-1. 家賃収入の確定申告は必要なのか?
不動産投資で家賃収入が得られるようになったときに、いくらから確定申告が必要になるのでしょうか。答えは年間の不動産所得が20万円を超えた場合です。厳密に解説しますと、本業の給与所得以外の所得合計が年間20万円を超えると確定申告しなければなりません。
※ ただし住民税については、20万円未満であっても申告が必要になります。
2-2. 家賃収入の確定申告で経費計上できるものとは?
では不動産収入を計算する際の必要経費として経費計上できる項目にはどのようなものがあるのでしょうか。
まず挙げられるものが「減価償却費」です。不動産は建物と土地で構成されていますが、建物については日々劣化し価値が減少するものと考えられています。そのため、建物の購入金額については、その建物の耐用年数に応じて毎年一定金額を減価償却費として経費計上することができます。
続いて挙げられるのが「修繕費」です。不動産、特に建物は年数が経つことで必ず劣化が生じます。それを修繕して使用に問題のない状態に保つための経費が修繕費です。
「税金」も必要経費のひとつです。不動産購入時の不動産取得税や、固定資産税、都市計画税、印紙代などの税金は必要経費として計上することができます。また、不動産投資とともに火災保険や地震保険に加入されるかと思いますが、その「保険料」も必要経費として計上することができます。不動産を購入する際にローンを組んだ場合、毎月利子込みの返済をしていくことになるかと思いますが、そのローンにかかる利子分については、必要経費として計上することができます。
最後に「業務委託料」です。不動産としてマンションなどを購入し、賃貸運用する多くの方が不動産管理会社に清掃などの管理を依頼します。また、不動産に関する登記や確定申告を行政書士、税理士に依頼する場合にも費用が発生しますが、これらは業務委託料として経費計上ができます。
3. 不動産投資で相続に向けた準備ができる?
不動産投資は本来そこから得られる家賃収入に一番のメリットがあります。
ただ、一方で相続税という面においても、財産の評価額が低く抑えることができる可能性があります。不動産の相続であれば国が定めた路線価に基づき不動産評価額が決定する可能性がありますが、その額は実勢価格よりも低くなる傾向があります。
相続や生前贈与をお考えの方に相続に向けた準備としてご活用いただけるのが弊社の「Vシェア」です。「Vシェア」とは、個人では購入することが難しい都心エリアの商業地にあるオフィスビルを弊社が小口化し、1口100万円単位・5口以上(最低口数は変更となる場合があります)から不動産の小口購入を実現した商品です。資産運用として多くの方にご利用いただいていることはもちろん、1口単位で複数の相続人へ贈与することができるため、生前相続(生前贈与)方法として、また評価額が低く抑えることができる可能性がある方法としてご活用いただける商品です。
≫ ボルテックスが考える資産運用支援とは4.最後に
今回は不動産投資に関わる様々な税金について解説してきました。ゆくゆくは相続(贈与)することまで考えた不動産投資をお考えの方に、オーダーメイドで細かく設計することができるようにと「Vシェア」は開発されました。より詳細に「Vシェア」についてご覧になられたい方は、下記ページをご参照ください。
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渋谷本社、自由が丘オフィスを拠点に、東京都心及び、城南地区の地主や資産家に対し、『民事信託も活用した相続・相続への準備、不動産の売買や贈与時の提案』といった資産税コンサルティングを手がける。
毎週末、不動産に関する税務相談会も行っており、ただの税務理論だけでなく、不動産の現場にも精通する知識と経験を備えている。
マックス総合税理士法人(http://www.max-gtax.com/)
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