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生前贈与で2,500万円までの贈与税を非課税にする方法【税理士監修】

生前贈与

税務の取扱に関する監修

マックス総合税理士法人

目次

「2,500万円までの生前贈与なら贈与税が非課税になる」という話を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。2,500万円までの贈与税が非課税になる生前贈与の方法は「相続時精算課税制度」というもので、一見メリットが高いように見えますがデメリットもあるため、制度の仕組みを正しく理解しておくことが大切です。
この記事では、生前贈与で2,500万円までの贈与税が非課税になる相続時精算課税制度について、メリットやデメリット、注意点を紹介します。

1. 生前贈与で2,500万円までの贈与税が非課税になる?

まずは、生前贈与で2,500万円までの贈与税が非課税になる相続時精算課税制度とは何か、その仕組みを理解しておきましょう。

1-1. 相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子供や孫に対して行う生前贈与について、2,500万円を限度として贈与税を非課税にするという制度のことです。

通常の方法で2,500万円を生前贈与する場合、贈与を受けた人(子供や孫)には810.5万円の贈与税がかかります。しかし、相続時精算課税制度を利用することで2,500万円までが非課税となるため、贈与税を支払うことなく財産を受け取ることができます。
ただし、相続時精算課税制度を利用した場合、贈与者である父母または祖父母が亡くなった後で始まる相続では、相続発生時点の相続財産に加えて相続時精算課税制度を利用してすでに受け取った贈与財産(贈与時の時価)も、相続税の課税対象として計算されます。
つまり、2,500万円にかかる税金に関して、課税させるタイミングを将来に引き伸ばせる制度だと考えると分かりやすいかもしれません。

1-2. 相続時精算課税制度と暦年贈与を比較

生前贈与における贈与税の課税方法には、相続時精算課税制度のほかに暦年課税(暦年贈与)があります。暦年課税とは、1月1日から12月31日の1年間で譲り受けた財産の合計金額が110万円以下であれば贈与税が非課税になるという制度です。

2つの課税方法はどちらかを選ぶ必要があり、相続時精算課税制度で2,500万円を非課税にした後、暦年贈与で110万円を非課税にするということはできません。そのため、2つの課税方法の違いや特徴をしっかりと理解し、どちらの制度のメリットが高いのかを判断することが大切です。

相続時精算課税制度 暦年課税(暦年贈与)
適用要件 60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対して財産を贈与する場合のみ(年齢は贈与年の1月1日で判断) 特になし
親子間、親族間以外にも、第三者からの贈与にも適用できる
非課税限度額 贈与者1人につき2,500万円まで 受贈者1人につき、1年間で110万円まで
贈与税の計算 (譲り受けた財産の合計金額-特別控除2,500万円)×一律20% (1年間で譲り受けた財産の合計金額-基礎控除110万円)×税率(10%~55%)
  • 速算表を参照
申告手続き 贈与税が0円(非課税枠内)でも申告が必要 贈与税が0円(非課税枠内)の場合は申告不要
相続時の加算 譲り受けた財産を贈与時の時価で相続財産に加算する 相続時の加算はなし
  • ただし、受贈者が相続人等の場合、相続開始3年以内に譲り受けた財産は、相続財産に加算する
メリット 価値の上昇が見込める住宅や土地などの財産を贈与することで、相続税の財産の評価額を低く抑えることができる可能性がある 贈与した財産は相続税の課税対象とならないため、生前に贈与することで相続財産が減り、相続税の財産の評価額を低く抑えることができる可能性がある
デメリット 住宅や土地などの財産を贈与する場合、不動産取得税や登録免許税など、贈与税以外の税金がかかる 非課税枠が小さい

2. 生前贈与で2,500万円までの贈与税を非課税にするメリット

相続時精算課税制度を利用して生前贈与を行うメリットが高い人は、将来的に価値の上昇が見込める住宅や土地などの財産を持っている人です。
相続時精算課税制度を利用する場合、生前贈与した財産は贈与時の時価で相続財産として加算されるため、確実に値上がりが見込める不動産などの高額な財産を生前贈与しておくと、相続税の財産の評価額を低く抑えることができる可能性が見込めます

また、相続時精算課税制度は贈与する財産の種類や回数に制限はなく、2,500万円までであれば何度でも贈与を行うことができるため、すでに暦年課税の基礎控除額110万円を超える贈与をしてしまったという人についても、相続時精算課税制度を利用することで、贈与税がかからなくなるというメリットがあります。
ただし、一度相続時精算課税制度を選択すると、その後暦年課税に戻すことはできませんので注意が必要です。

3. 生前贈与で2,500万円までの贈与税を非課税にするデメリット

生前贈与によって支払わなければならない税金は、贈与税だけではありません。例えば、住宅や土地などの不動産を贈与する場合には、登録免許税や不動産取得税など、贈与税以外の税金がかかります。
相続時にかかる登録免許税は固定資産税評価額の0.4%ですが、生前贈与時にかかる登録免許税は固定資産税評価額の2%と、相続時よりも高額になります。さらに、相続において不動産取得税はかかりませんが、生前贈与の場合は固定資産税評価額の1.5~4%の不動産取得税がかかります

このように、2,500万円までの生前贈与が非課税になる相続時精算課税制度は、一見メリットの高い制度のように見えますが、デメリットも存在します。また、一度選択すると元に戻すことはできないため、相続時精算課税制度を利用する場合はしっかりと検討することが大切です。

4. 相続時精算課税制度を利用するときの注意点

相続時精算課税制度を利用するときは、以下の点にも注意しておきましょう。

4-1. 少額の贈与でも贈与税申告が必要

相続時精算課税制度を利用する場合、生前贈与した財産の価額にかかわらず、少額の贈与であっても確定申告が必要になります。贈与税の申告書と相続時精算課税制度選択届出書を作成し、管轄の税務署に提出しましょう。
確定申告をするのは財産を受け取った人(子供や孫)です。手続き自体はそれほど難しくありませんが注意しておきたい点がいくつかありますので、制度を利用して2,500万円の生前贈与を非課税にする場合は、以下の記事も参考にしてください。

4-2. 相続時には生前贈与の分も相続税の課税対象となる

前述のとおり、相続時精算課税制度を利用すると2,500万円までの生前贈与を非課税で行うことができますが、将来相続が始まったときには、その分が相続税の課税対象として加算されます。
しかし、相続税には基礎控除額があるため、将来的に相続する予定の財産と生前贈与で受け取る財産を合計しても、相続税の基礎控除以下に収まる場合には、相続税を払う必要はありません。

4-3. 相続時に小規模宅地の特例は利用できない

相続時精算課税制度を利用して2,500万円までの土地を生前贈与する場合、生前贈与にかかる贈与税は非課税となりますが、相続時に小規模宅地等の特例が利用できなくなるため注意が必要です。

小規模宅地等の特例とは、被相続人が住んでいた土地や事業・賃貸用として使っていた土地を相続する場合に、一定の要件を満たすことで相続税の課税評価額が50%から最大80%減額できるという制度のことです。
小規模宅地等の特例が利用できるのは、相続や遺贈によって取得した土地に限られています。そのため、生前贈与によって取得した土地は、小規模宅地等の特例の対象外となってしまうのです。

5. 最後に

今回は、生前贈与で2,500万円までの贈与税を非課税にする方法として、相続時精算課税制度の仕組みや注意点を紹介してきました。
相続時精算課税制度を利用して2,500万円までの生前贈与にかかる贈与税を非課税にしたとしても、将来的な相続では、生前贈与した分の財産は相続財産にプラスする形で相続税の課税対象となるため、2,500万円にかかる税金がすべて非課税にできるというわけではありません。
しかし、生前贈与した財産は贈与時の時価で相続財産として加算されるため、確実に値上がりが見込める不動産などの高額な財産を生前贈与しておくと、相続へのお取り組みにつながります。

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※本コラムに記載された内容は、各種の事例や文献を基に一般論として述べたものです。弊社から当該物件の購入についての税務に関する何らの示唆 および確定的な見解を示すものではなく、本コラムに記載された算出方法や評価額など一切について正確性および確実性を保証するものではありません。 具体的な申告書の作成などにあたりましては、税理士などの専門家や所管の税務署などにご相談いただきますようお願いいたします。
※ 分譲マンションの相続税評価額については、「居住用の区分所有財産の評価について(国税庁)」に定められた評価方法が適用されます。
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税務の取扱に関する監修

マックス総合税理士法人マックスソウゴウゼイリシホウジン

プロフィール
掲載記事

渋谷本社、自由が丘オフィスを拠点に、東京都心及び、城南地区の地主や資産家に対し、『民事信託も活用した相続・相続への準備、不動産の売買や贈与時の提案』といった資産税コンサルティングを手がける。
毎週末、不動産に関する税務相談会も行っており、ただの税務理論だけでなく、不動産の現場にも精通する知識と経験を備えている。
マックス総合税理士法人http://www.max-gtax.com/

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