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相続に向けた準備にアパート経営は有効?リスクや注意点まとめ【税理士監修】

相続 不動産を活用した相続

不動産を活用した相続

税務の取扱に関する監修

マックス総合税理士法人

目次

不動産を活用した相続に向けた準備として、アパート経営が有効という話を聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。しかし、アパート経営にはメリットだけでなく、リスクも存在します。
この記事では、なぜアパート経営が相続に向けた準備になるといわれているのか、また実際のアパート経営で起こり得るリスクについて解説します。

1. アパート経営が相続に向けた準備に有効といわれる理由

一般的に、アパート経営が相続に向けた準備に有効といわれる理由は、以下のとおりです。

1-1. 土地・建物の相続税評価額は現金よりも低くなる可能性がある

※本コラムに記載された内容は、各種の事例や文献を基に一般論として述べたものです。弊社から当該物件の購入についての税務に関する何らの示唆 および確定的な見解を示すものではなく、本コラムに記載された算出方法や評価額など一切について正確性および確実性を保証するものではありません。 具体的な申告書の作成などにあたりましては、税理士などの専門家や所管の税務署などにご相談いただきますようお願いいたします。
※ 分譲マンションの相続税評価額については、「居住用の区分所有財産の評価について(国税庁)」に定められた評価方法が適用されます。
※ 一定期間の保有が条件となります。
※ 評価額は物件により異なります。

相続税の額は、相続財産の評価額によって計算されます。
相続税評価額は、財産の種類によって異なるため、例えば現金の場合はその総額がそのまま相続税評価額となりますが、土地や建物の場合、相続税評価額は路線価や固定資産税評価額で評価されるため、時価よりも低く評価される可能性があります。

1-2. 貸家建付地や賃貸物件の建物の評価額は下がる可能性がある

賃貸アパートを建てた土地は「貸家建付地」と呼ばれ、その土地に設定された借地権割合・借家権割合・賃貸割合によって、相続財産としての評価額が減額される可能性があります。
また、賃貸物件の建物の相続税課税評価額についても、土地と同じく借家権割合・賃貸割合によって減額される可能性があるため、自宅として住んでいる土地や建物よりも評価額が下がる可能性があるのです。

1-3. 金融機関からの借り入れは相続財産から控除できる

「ある程度現金はあるけれどもアパートを建設するには足りない」という場合には、金融機関からの借入をするケースが多くなります。
アパート経営のために金融機関からの借入をした場合、借入金は相続財産から控除することができます。

1-4. 定期的な賃料収入が得られる

アパート経営は、不動産を活用した相続に向けた準備になる以外にも、定期的な賃料収入が見込めるというメリットがあります。

1-5. 小規模宅地等の特例が活用できる

被相続人が賃貸事業用として人に貸していた土地は、小規模宅地等の特例の対象となります。そのため、土地活用としてアパート経営をしておけば、更地を相続するよりも相続税を下げることができる可能性があります。

2. なぜ賃貸経営の中でも、アパート経営なのか?

賃貸経営が相続に向けた準備になるのであれば、「アパートではなくマンションでもよいのでは?」と感じる方もいるでしょう。賃貸経営の中でも、アパート経営が相続に向けた準備として活用される理由は、以下の点にあります。

2-1. 郊外の土地でも一定の需要がある

マンションの場合、アクセスがよく人が集まる都心での需要が高い傾向にあります。しかし、アパートは都心に限らず郊外の土地でも一定の需要があるため、郊外に土地を保有している場合は、マンションよりもアパートを建てて賃貸経営を行うほうが、需要が見込めるケースもあるでしょう。

2-2. 小さな土地でも建設しやすい

公法上の規制でマンションが建設できない土地や、マンションを建てるには小さ過ぎる土地を相続する場合でも、狭小アパートであれば建設できる場合があります。そのため、すでに保有している土地で賃貸経営を始める場合は、アパート経営のほうが始めやすいのです。

2-3. マンションよりも低コストで保有できる

アパート経営とマンション経営の大きな違いは、建物建設にかかるコストにあります。マンションよりも低層で、エレベーターの設置が不要なアパートの場合、マンションと比べると初期費用を大幅に抑えられる分、利回りがよいといわれています。

2-4. 維持管理費や大規模修繕費を抑えられる

賃貸経営には、初期費用だけでなく建物の維持管理費や大規模修繕費もかかります。建物の維持管理費や大規模修繕費についても、低層でエレベーターの設置がされていないアパートのほうが、マンションよりもコストを抑えることができます。

3. 相続に向けた準備でいわれるアパート経営のメリットは本当か?

ここまでは、一般的に相続に向けた準備にアパート経営が有効といわれる理由について解説してきました。確かに一見すると、アパート経営は相続に向けた準備によさそうに見えます。しかし、実際、アパート経営は本当に相続に向けた準備にメリットがあるといえるのでしょうか?
ここからは、アパート経営に潜むリスクや注意点についてまとめていきます。

ケース①:長期的に安定した収入が得られるというけれど…

相続に向けた準備以外に、定期的な家賃収入が得られる点に魅力を感じてアパート経営を始める方もいらっしゃるでしょう。
しかし、アパート経営における最大のリスクは「空室」です。特に、郊外の土地に建てたアパートの場合、1度入居者が退去してしまうと、なかなか次の入居者が見つからないということもあり、空室が続いてしまうケースがあります。また、小さな土地に建てた狭小アパートの場合、空室が1部屋あるだけでも大きな収入減となってしまうため、家賃収入が得られないだけでなく、借入金の返済が滞るという事態にも陥りかねないのです。

ケース②:相続税評価額を下げられる可能性があると聞いて…

現金よりも相続税評価額を下げられる可能性があると聞いて、アパート経営を始めようと思った方もいらっしゃるでしょう。確かに、現金を相続するよりもアパートを相続するほうが、相続税評価額を引き下げられる可能性があります。
しかし、アパートを建てる場所や構造、メンテナンスの仕方によっては年々老朽化が進むため、相続までに不動産の資産価値が下がってしまうことも考えられます。

ケース③:建設にかかる初期費用は安かったけれど…

アパート経営は、マンションよりも建設にかかる初期費用を抑えられるというメリットがあります。
しかし、特に木造アパートなどはマンションよりも老朽化が早いため、資産価値を維持していくためには定期的な修繕が必要になります。また、マンションよりも早いタイミングで大規模修繕も必要となるため、初期費用を抑えられたとしても、たびたびかかる修繕費に悩まされるケースも珍しくありません。

ケース④:物件管理にこれほど手間がかかるとは…

アパート経営の場合、日々の清掃や定期的なメンテナンスのほかにも、入居者募集や退去の管理、家賃の入金管理や回収などの物件管理が必要です。また、物件管理以外に、入居者同士のトラブルの仲裁に入らなければならない場合もあり、思った以上に手間がかかると後悔する方もいるほどです。
物件の管理は不動産管理会社に委託することもできますが、その分費用がかかるため、自分でやるか管理会社に委託するかは慎重に判断しましょう。

ケース⑤:相続税評価額を下げることができたとしても…

アパート経営を始めることで、将来的にかかる相続税評価額を下げる可能性があります。しかし、アパート経営には相続税以外の税金がかかります
例えば、アパートの購入には「不動産取得税」「登録免許税」、アパート経営で家賃収入が入れば「所得税」「住民税」がかかり、また毎年「固定資産税」も支払わなければいけません。

ケース⑥:アパート経営、もう辞めたいけれど…

アパート経営は、「もう辞めたい!」と思ってもすぐに辞められるとは限りません。特に、郊外にある中古アパートの場合、買い手がなかなかつかない可能性もあるでしょう。
買い手を見つけるためには、売却価格を大幅に下げる必要が出てくるかもしれません。

4. アパート経営で知っておきたいサブリース契約の注意点

サブリース契約とは、アパート一棟をそのまま不動産管理会社に賃貸し、不動産管理会社がアパートに入居する第三者と転貸借契約を行うという方法です。

不動産管理会社にアパートを丸ごと借り上げてもらうことができるため、アパートを保有するオーナーとしてはサブリース契約期間中の家賃収入が保証されます。仮にアパートに空室が出たとしても、家賃を滞納する入居者が現れたとしても、オーナーには毎月全室分の家賃が入ってくるため、空室や滞納を気にする必要はありません。さらに物件管理の手間もかからないため、相続に向けた準備としてアパート経営を始めるにあたっては、一見すると非常に魅力的な方法に思えるのではないでしょうか。

一方で、アパート経営のサブリース契約には注意したい落とし穴もあります。

サブリース契約の場合、アパートを保有するオーナーと入居者の間に不動産管理会社が入ることになります。そのため、全室分の家賃が保証されるといっても、その保証率は80%程度が相場となるため、直接入居者に賃貸する場合よりも収益性は下がります。さらに、保証される家賃額は一定ではなく定期的な見直しが行われます。
つまり、経年劣化や周辺の家賃相場の下落、空室率などによっては、保証される家賃も下がっていく傾向にあるため、アパート経営におけるリスクを回避できるわけではないのです。

相続に向けた準備のアパート経営でサブリース契約を検討するときは、メリット・デメリットをしっかりと把握したうえで、慎重に検討する必要があります。

5. 相続に向けた準備でのアパート経営によるリスク・トラブルを回避する方法はある?

相続に向けた準備としてアパート経営を始めたいけれど、物件管理・メンテナンスの手間や空室リスク、家賃低下のリスクを考えると、なかなか一歩踏み出せないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
不動産を活用した相続に向けた準備の方法は、アパート経営だけではありません。
アパート経営のリスクや遺産分割のトラブルを回避し、かつ相続税評価額を下げる可能性のある相続への準備としては、「不動産小口化商品」を活用する方法もあります。

不動産小口化商品が相続に向けた準備として活用できる理由としては、以下の点があげられます。

  • 不動産小口化商品は相続税評価額が下がる可能性がある
  • 円滑な遺産分割が進めやすい
  • 物件管理の手間がかからない

不動産小口化商品の場合、相続税は現物不動産と同じく相続税評価額で計算されるため、相続税評価額が下がる可能性があります。また、相続に向けた準備で相続の負担以外に起こりがちな問題として、遺産分割トラブルがありますが、不動産小口化商品なら1口単位でスムーズな分割ができるため、トラブル回避につながるでしょう。
さらに、不動産物件の管理・運用は運営会社がおこなうため、面倒な物件管理の手間もかかりません。

※本コラムに記載された内容は、各種の事例や文献を基に一般論として述べたものです。弊社から当該物件の購入についての税務に関する何らの示唆 および確定的な見解を示すものではなく、本コラムに記載された算出方法や評価額など一切について正確性および確実性を保証するものではありません。 具体的な申告書の作成などにあたりましては、税理士などの専門家や所管の税務署などにご相談いただきますようお願いいたします。
※ 分譲マンションの相続税評価額については、「居住用の区分所有財産の評価について(国税庁)」に定められた評価方法が適用されます。
※ 一定期間の保有が条件となります。
※ 評価額は物件により異なります。

弊社の不動産小口化商品である「Vシェア」は、都心プライムエリアにある中規模オフィスビルを小口化し、個人でも購入しやすくした商品です。
都心にある不動産は、実勢価格と路線価の乖離が大きいことから、相続税評価を引き下げられる可能性があります。「Vシェア」は都心プライムエリアの物件なので、相続税評価額が引き下げられる可能性があります。

さらに「Vシェア」の対象となるビルは需給バランスのタイトな都心の中規模オフィスビルのため、アパート経営で懸念される「老朽化による家賃の低下」によるリスクを回避することができます。オフィスビルはアパートなどの住居用物件と比べてテナントの賃貸期間が長く、長期的に安定した賃料収入も見込めるでしょう。
もちろん、購入したオフィスビルなどの管理・運用は弊社が責任を持って行いますので、物件の維持管理のために何かをしなければいけないという手間は発生しません。

「Vシェア」は1口100万円単位・5口以上(最低口数は変更となる場合があります)から購入が可能です。遺産相続トラブルになりやすいといわれる不動産ですが、「Vシェア」なら1口単位で分けることができるため、遺産分割時のトラブル回避にもつながります。

「Vシェア」についてより詳しくご覧になりたい方は、下記ページをご参照ください。

6. 最後に

今回は、アパート経営が不動産を活用した相続に向けた準備として本当に有効か?というお話をさせていただきました。一般的に、相続に向けた準備に有効といわれるアパート経営ですが、実際にはさまざまなリスクが潜んでいます。そのため、相続に向けた準備がしたかっただけなのに…と後悔しないよう、慎重に検討する必要があるでしょう。

また、不動産を活用した相続に向けた準備の方法は、アパート経営だけではありません。アパート経営のリスクを回避したうえで、さらに遺産分割時のトラブルも回避できる相続に向けた準備の方法としては、不動産小口化商品の活用もぜひご検討ください。

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  • 本記事に記載された情報は、掲載日時点のものです。掲載されている情報は、予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
  • 本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、資産運用・投資・税制等について期待した効果が得られるかについては、各記事の分野の専門家にお問い合わせください。弊社では、何ら責任を負うものではありません。
  • 期待どおりの税務上の効果が得られない可能性があります。
  • 評価額は物件により異なります。
  • 税制改正、その他税務的取り扱いの変更により効果が変動する場合があります。
  • 相続税の圧縮効果を含めた税務の取り扱いについては、個別具体的な事情に応じて適用が異なる可能性がありますので、税理士等の専門家にご相談ください。

税務の取扱に関する監修

マックス総合税理士法人マックスソウゴウゼイリシホウジン

プロフィール
掲載記事

渋谷本社、自由が丘オフィスを拠点に、東京都心及び、城南地区の地主や資産家に対し、『民事信託も活用した相続・相続への準備、不動産の売買や贈与時の提案』といった資産税コンサルティングを手がける。
毎週末、不動産に関する税務相談会も行っており、ただの税務理論だけでなく、不動産の現場にも精通する知識と経験を備えている。
マックス総合税理士法人http://www.max-gtax.com/

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