中古ビルを購入する際の注意点とは|居住用や新築物件と比較したリスクを説明
目次
自社ビルを購入する際は、新築よりも中古物件の方がコストを抑えられる可能性があります。同じ予算で、利便性が高い場所やより広い面積のオフィスを保有できるかもしれません。
しかし築年数が経過するほど建物や設備の老朽化も進むため、修繕状況によっては購入後に想定外の出費を迫られる可能性があります。トラブルを回避するには、計画どおりにメンテナンスされてきたか否かや今後の修繕計画などの確認も必要です。
この記事では、中古ビルを購入する際の注意点と事前にチェックすべきポイントを解説します。今後の自社ビル購入のためにお役立てください。
中古ビルを購入する際の注意点
ビルや設備の劣化は年数とともに進行しますが、これまでの使用状況や修繕の実施状況によっても傷み具合は異なります。
そのため購入にかかるコストのほか、修繕にかかる費用も計算しておくことが必要です。
修繕計画と修繕状況を確認する
ビルでは一般的に、中期・長期の修繕計画に基づいて、大規模な修繕工事や設備の更新・交換が行われます。マンションのような12~15年前後という大規模修繕工事の周期の目安がないため、建物によって実施周期は異なります。
そのため、これまでに修繕工事が行われた時期や工事内容のチェックが必要です。十分な修繕工事が行われていなければ、建物の劣化が想定以上に進んでいる可能性もあるでしょう。
自社ビルの購入後は、修繕に備えた積立金を自社で用意していく必要があるため、今後の修繕計画を確認し、数年以内にかかる費用を想定します。
中古ビルを内見するときの注意点
新築物件は契約前に内見できない場合もありますが、中古ビルはビルオーナーと入居中のテナントの同意があれば内見が可能です。現地を訪れることで、内装や設備の傷み具合のほか、室内の雰囲気など図面からはわからない情報が得られるので、内見は依頼した方がよいでしょう。
この章では、中古ビルの内見時に注意した方がよいポイントを解説します。
ロケーション
まずは立地を確認しましょう。近隣の金融機関や郵便局、公的機関や主要な取引先との距離は、業務の効率を考えるうえで重要な項目です。
周辺にある飲食店・商業施設の内容や位置も、従業員の働きやすさやライフワークバランスの観点から調べておくことをおすすめします。
建物の条件・スペック
まず建物の外観の印象をチェックします。清潔感のあるビルは、自社の従業員およびビル訪問者に好印象を与えます。ビル周辺の管理や清掃がきちんと行われているか、確認しましょう。
スペック面ではエレベーターの台数を乗用と人荷用にわけてチェックするほか、建物内部の柱や梁の位置が図面と一致しているか、劣化の状況なども確認するとよいでしょう。
また災害などの発生時の避難経路を調べておき、消化器やスプリンクラーの消火設備なども図面どおりに設置されているか確認します。
通信環境や通信速度は実際に手元の端末などでテストを行うのが効果的です。トイレや水回り、建物内の清掃やゴミ出し方法なども確認しておくと移転後がスムーズです。
セキュリティ
複数のテナントが入居する一定規模以上のビルでは、各フロアに入退室の管理機能が備わっている場合があります。
企業の情報漏えいを防ぐためにも、セキュリティが配慮されているかチェックしましょう。備え付けの防犯カメラの台数や位置、録画データの管理方法などは、一般的にビル管理会社が把握しています。
テナント
入居しているテナントがある場合、旧オーナーと締結した賃貸借契約は、一般的に引き継がれます。契約期間や原状回復義務がどちらにあるかなどを確認します。
競合他社の近くへの移転を避けたい場合は、テナントだけでなく、近隣のビルの入居企業もチェックしましょう。社名板の表示やビルの袖看板で確認できます。
中古ビルの購入で考慮すべきコスト
賃料がキャッシュアウトし続ける賃貸オフィスと異なり、ビルそのものが資産になる点は自社ビルを保有するメリットです。
ただし中古ビルの購入には初期費用がかかります。また、ビル管理費や修繕積立金などのほか、税金なども含めて維持費がかかる点は注意が必要です。
ビル管理費
建物の維持管理や清掃、警備などのビルマネジメント業務は、一般的に専門のビル管理会社に委託します。
さらにビルの一部をテナントに貸し出す場合には、プロパティマネジメント業務も必要です。テナントとの契約締結や日々の対応など、ソフト面での運営代行を担います。
建物の大きさによりますが100m2以上のビルで、日常的なメンテナンス業務に大規模設備の清掃や消火設備の点検などを加えると、月15~35万円程度かかるでしょう。
固定資産税・都市計画税
自社ビルを購入した際には、不動産取得税、登録免許税、印紙税などの税金がかかります。
一方で、毎年課税される税金は固定資産税や都市計画税です。1月1日時点で固定資産課税台帳に所有者として登録されている個人・法人に対し課税され、購入した初年度は売主との間で按分します。
- 固定資産税=固定資産税評価額×1.4%
固定資産税の評価額は、売主から引き渡された「固定資産税課税明細書」に記載されているほか、固定資産税台帳を閲覧すると確認できます。
市街化区域にある不動産については、固定資産税と同様、1月1日時点で固定資産課税台帳に登録されている所有者に都市計画税が課税されます。
- 都市計画税=固定資産税評価額×0.3%
なお減価償却に必要な年数を過ぎていても、事業用に使うビルには固定資産税がかかります。
修繕積立金
マンションでは毎月定額の修繕積立金を居住者が負担しますが、自社ビルではオーナー自身がビルの修繕費用を用意する必要があります。
建物の規模や築年数によって異なりますが、ビルで大規模修繕工事を行うには塗装や防水工事、設備の更新などで2,000~3,000万円程度かかる場合もあります。
修繕積立金の考え方については「自社ビルの修繕積立金はどの程度準備する?費用や工事について解説」で詳細を解説しています。
予算をおさえるなら区分所有という選択肢もある
自社ビルを購入する際は、利便性が高い場所で、可能な限り広いオフィスを確保したいと考えるのではないでしょうか。しかしアクセスのよさと広さの両方を追求すると、購入価格の相場も上がります。
そこで自社ビルを一棟保有する以外の選択肢として、区分所有という方法が知られています。ボルテックスの「区分所有オフィス®」は、立地のよい都心のオフィスを1フロアから保有できます。同じエリアでビル一棟を購入する場合に比べ、大幅にコストダウンできる点が大きなメリットです。
「区分所有オフィス」なら、購入後の維持管理や修繕への備えも安心です。区分所有オフィスの管理組合を組成する際に、修繕積立金として数千万円をボルテックスより組み入れするため、保有直後のオーナー様に突発的なコストが発生するリスクを回避します。
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