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本記事に掲載された情報は、2024/11/21時点のものです。掲載されている情報は、予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
生前贈与では、取得した財産のすべてに贈与税がかかるわけではありません。贈与税が非課税になるケースを把握しておきましょう。この記事では、具体的にどんな時に贈与税が非課税になるのか、贈与税がかからないケースについて解説します。
1. 贈与税とは
贈与税とは、個人(生きている人)から無償で財産を受け取った際にかかる税金のことで、贈与税は原則、財産を受け取った人(受贈者)が支払うものです。しかし、個人から財産を受け取ったら必ず贈与税がかかるというわけではなく、贈与税がかからないケースも存在します。
そこで、まずは生前贈与や贈与税の基本知識として、贈与税がかからないケースや基礎控除、税率について把握しておきましょう。
1-1. 生活費や教育費には贈与税がかからない
夫婦間や親子間において、通常の日常生活に必要な生活費や学費を受け渡したとしても、贈与税はかかりません。扶養義務のある者が、家族を養うために支払ったお金に対して贈与税を課税するのは不適切だと考えられているからです。ただし、生活費として受け取ったお金を使わずに貯金したり、株式や不動産への投資資金として使ったりした場合には、贈与税が課せられます。
1-2. 贈与税の基礎控除で年間110万までが非課税
贈与税の基礎控除額(誰でも無条件で差し引くことができる一定の額)は、年間110万円です。そのため、1月1日~12月31日の1年間で贈与した財産の総額が、贈与税の基礎控除110万円までなら贈与税はかかりません。
また、1月1日〜12月31日の1年間に贈与した財産の合計額をもとに、贈与税の計算を行うことを「暦年贈与」といい、110万円以下の暦年贈与であれば贈与税が非課税となり、かつ相続時の財産を減らすことができるため、相続へのお取り組みとして多く活用されています。
メリット |
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デメリット |
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注意点 |
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必要な手続き |
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1-3. 贈与税の税率を相続税と比較
生前贈与の基本知識として、贈与税の税率ついても知っておくと役立ちます。
生前贈与を検討する場合に気になるのが「贈与税と相続税、どちらの税率が高いのか?」というものではないでしょうか。
そこで、贈与税と相続税の税率を比較してみましょう。
贈与税 | 相続税 | ||
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基礎控除110万円を引いた贈与額 | 税率 | 法定相続分に応じた取得金額 | 税率 |
200万円以下 | 10% | 1,000万円以下 | 10% |
400万円以下 | 15% | 3,000万円以下 | 15% |
600万円以下 | 20% | 5,000万円以下 | 20% |
1,000万円以下 | 30% | 1億円 | 30% |
1,500万円以下 | 40% | 2億円 | 40% |
3,000万円以下 | 45% | 3億円 | 45% |
4,500万円以下 | 50% | 6億円以下 | 50% |
4,500万円超 | 55% | 6億円超 | 55% |
- 贈与税率は、直系尊属(父母・祖父母)から20歳以上の子や孫などへ贈与の場合の税率となります。
贈与税と相続税をこのように比較をしてみると、「相続税より贈与税のほうが高いのでは?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、生前贈与は少額ずつ分割することで基礎控除内に収めることができるため、贈与税がかからない非課税枠内で行えるケースも少なくないのです。
また、特定の財産のみを指定して贈与することや、親族以外の第三者や法人にも贈与することができるなど、贈与者の意思を反映して財産を分与できるというメリットもあります。
贈与税は、贈与者と受贈者の関係によっても税率が異なるため、詳しくは国税庁HPの速算表などを確認しながら計算しましょう。
2. 贈与税が非課税になる条件は?6つのケース
続いては、贈与税が非課税になるのはどんな時なのか、6つのケース別に条件や非課税枠を紹介します。メリット・デメリットや注意点、手続き方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
2-1. 子や孫へ住宅取得等資金を贈与する
親子間または祖父母から孫に対して住宅取得にかかる資金を贈与する場合には、一定の要件を満たすことで、贈与税が非課税となる特例が活用できます。
この特例の非課税枠を活用することで、贈与税の基礎控除110万円に加え、住宅の種類により異なりますが、最大1,000万円までの贈与にかかる贈与税が非課税となります。
適用条件 ※ 概要のみ抜粋 |
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非課税枠 |
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メリット |
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デメリット |
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注意点 |
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必要な手続き |
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2-2. 子や孫へ教育資金を贈与する
親子間または祖父母から孫に対して教育資金を一括贈与する場合には、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度を活用できます。
この特例の非課税枠を活用することで、贈与税の基礎控除110万円に加え、最大1,500万円(学校や塾や習い事など、学校等へ直接支払われるもの以外の資金については最大500万円)までの贈与にかかる贈与税が非課税となります。
適用条件 ※ 概要のみ抜粋 |
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非課税枠 |
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メリット |
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デメリット |
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注意点 |
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必要な手続き |
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2-3. 子や孫へ結婚・子育て資金を贈与する
親子間または祖父母から孫に対して結婚・子育て資金を一括贈与する場合には、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度を活用できます。
この特例の非課税枠を活用することで、贈与税の基礎控除110万円に加え、最大1,000万円まで(結婚資金としては最大300万円まで)の贈与にかかる贈与税が非課税となります。
適用条件 ※ 概要のみ抜粋 |
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非課税枠 |
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メリット |
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デメリット |
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注意点 |
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必要な手続き |
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2-4. 子や孫への贈与を相続時精算課税制度で一時的に非課税にする
親子間または祖父母から孫に対する贈与では、相続時精算課税制度も活用でき、この制度の非課税枠を活用することで最大2,500万円の贈与にかかる贈与税が非課税となります。
ただし、相続時精算課税制度は、生前に受け取った財産にかかる贈与税を一時的に非課税とする制度なため、相続時には相続財産として加算され、相続税の課税対象となります。
贈与された財産は相続時ではなく贈与時の時価で評価されるため、例えば不動産を生前贈与する場合など、相続時において贈与時よりも財産の価値が上がっていれば、相続税の納税金額が下がる可能性があります。
ただし、相続時精算課税制度を一度選択すると、その後は暦年贈与(贈与税の基礎控除110万円までを非課税で贈与できる課税方法)が使えなくなりますので注意しましょう。
2024年1月から、特別控除の2500万円とは別に年110万円まで基礎控除が認められました。そのため、年110万円以下の贈与であれば贈与税がかからず、かつ、累計2500万円の特別控除に含める必要がありません。さらに、年110万円以下の贈与については贈与税申告が不要で、その贈与財産は相続財産に加算する必要がなくなります。
適用条件 ※ 概要のみ抜粋 |
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非課税枠 |
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メリット |
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デメリット |
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注意点 |
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必要な手続き |
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2-5. 配偶者に居住用不動産(または取得資金)を贈与する
夫婦の間で居住用の不動産または居住用不動産を取得するための資金を贈与する場合には、配偶者控除の特例を活用できます。この特例の非課税枠を活用することで、贈与税の基礎控除110万円に加え、最大2,000万円までの贈与にかかる贈与税が非課税となります。
適用条件 ※ 概要のみ抜粋 |
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非課税枠 |
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メリット |
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デメリット |
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注意点 |
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必要な手続き |
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2-6. 障がい者へ生活費や医療費を贈与する
障がい者への贈与では、その生活費や医療費などに充てるために、一定の信託契約に基づいて資金を贈与することで、贈与税が非課税となります。これを、「特定障害者に対する贈与税の非課税」といいます。
特別障害者である特定障害者へは最大6,000万円まで、特別障害者以外の特定障害者へは、3,000万円までの贈与にかかる贈与税が非課税となります。
適用条件 ※ 概要のみ抜粋 |
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非課税枠 |
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メリット |
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デメリット |
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注意点 |
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必要な手続き |
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3. 贈与税の非課税枠以外の方法
ここまでは生前贈与で活用できる贈与税の控除や特例について、それぞれの非課税枠を紹介してきましたが、生前贈与にかかる贈与税へのお取り組みとしては、贈与税の非課税枠以外にも、生命保険や不動産を活用する方法があります。
3-1. 子や孫への暦年贈与に生命保険を活用する
生命保険などの保険を契約する場合、契約者と被保険者が親、子供が受取人とするケースが一般的ですが、契約者と被保険者、受取人の関係次第では、贈与税が非課税となります。贈与税がかからない保険契約は、契約者が子供、被保険者が親、受取人が子供のケースです。親から子供に暦年贈与の範囲内(1年間に110万円以下)で保険料と同額の現金を生前贈与し、子供はその現金で保険料を支払うことで、贈与税は非課税となります。ただし、生命保険金の受取時には、その金額によって所得税が課せられることもあります。
メリット | - |
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デメリット |
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注意点 |
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必要な手続き |
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3-2. 生前贈与に不動産を活用する
生前贈与では、現金よりも不動産を贈与する方が、メリットを得ることができる場合もあります。その理由は、不動産を贈与することで、贈与税計算のもととなる課税価格が「不動産評価額」となるためです。不動産評価額は一般的な不動産市場価格(実勢価格)を下回る可能性があります。
現金を不動産に変えて贈与することで、受贈者にかかる贈与税の評価額が引き下がる可能性があります。
※本コラムに記載された内容は、各種の事例や文献を基に一般論として述べたものです。弊社から当該物件の購入についての税務に関する何らの示唆
および確定的な見解を示すものではなく、本コラムに記載された算出方法や評価額など一切について正確性および確実性を保証するものではありません。
具体的な申告書の作成などにあたりましては、税理士などの専門家や所管の税務署などにご相談いただきますようお願いいたします。
※ 分譲マンションの相続税評価額については、「居住用の区分所有財産の評価について(国税庁)」に定められた評価方法が適用されます。
※ 一定期間の保有が条件となります。
※ 評価額は物件により異なります。
さらに、生前贈与の対象となる財産のなかでも贈与税の納税額が高額になりやすい不動産は、配偶者控除の特例や住宅取得等資金の特例、相続時精算課税制度など、様々な贈与税の非課税特例制度を活用することが可能性です。
しかし、不動産を購入するには多額の資金が必要となります。また、仮に1億円の現金を使って1億円の不動産を購入し、特例や制度を活用できたとしても、複数の子供や孫に分けて譲ることは難しいという問題も発生します。
4. 生前贈与で非課税枠を利用する上での注意点
生前贈与では、さまざまな控除や特例を活用することで、贈与税が非課税となります。しかし、控除や特例の非課税枠を利用するうえでは、いくつか注意しておかなければならないポイントもあります。
そこで続いては、生前贈与で贈与税の非課税枠を利用する際の注意点を紹介します。
4-1. 贈与税が0円でも贈与税申告が必要な場合がある
贈与税の非課税特例を利用することで、贈与税が0円になるケースも多くあります。贈与税が0円になると「非課税枠内に収まったから贈与税申告も不要」と考える方が多いのですが、実は贈与税が0円でも申告手続きが必要なケースは存在します。
贈与税が0円でも贈与税申告が必要なケースは以下のとおりです。
- 相続時精算課税制度を利用する
- 住宅取得資等資金に係る贈与税の非課税の特例を利用する
- 配偶者控除の特例を利用する
「暦年贈与」「教育資金の一括贈与」「結婚・子育て資金の一括贈与」については、贈与税が0円であれば贈与税申告の手続きは不要です。
4-2. 相続開始前7年以内の生前贈与には贈与税がかかる
暦年贈与など贈与税の非課税枠を利用してこまめに生前贈与をしていた贈与者が亡くなってしまった場合、死亡日以降は相続が始まることになります。相続税には、生前贈与加算という規定があり、相続開始前7年以内に相続人に贈与した財産があるときは、その贈与財産価額が相続税の課税価格に加算されることになります。
※令和6年1月1日以降の贈与から相続発生前7年以内に受けた贈与財産が加算対象となりました。
もちろん、贈与を受けて贈与税を支払っていた場合には支払った贈与税分は相続税から控除されますが、非課税枠内で贈与を受けた場合には、例え年間110万円以下の贈与であっても相続税の課税対象となります。
ただし、住宅取得等資金にかかる贈与税の非課税特例や配偶者控除の特例など、生前贈与加算の対象外となる特例もあります。
4-3. 定期贈与とみなされると贈与税がかかる
贈与税の非課税枠を利用して年間110万円以下の暦年贈与を行う場合、後になって税務署から定期贈与だとみなされてしまうと、高額な贈与税を課せられてしまうため、注意が必要です。
定期贈与とみなされないためには、贈与の都度、必ず贈与契約書を締結するようにしましょう。また、暦年贈与を行った事実を明確にするためにも財産は現金で渡すのではなく銀行振込で行い、通帳に記録を残しておくことが大切です。
5. 最後に
生前贈与では、すべての贈与に贈与税がかかるわけではありません。贈与税が非課税になるケースを把握しておくことで、贈与税がかからない非課税枠内での生前贈与で相続財産を減らすことができます。
弊社の不動産小口化商品「Vシェア」は、生前贈与にも適した商品として、多くのお客様にご活用いただいております。「Vシェア」について、より詳細に知りたいという方は、下記ページをご参照ください。
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大学卒業後は、英会話教材を飛び込み営業により訪問販売しておりましたが、一生働ける仕事をしたいと思い税理士を目指しました。
不動産投資に特化した税理士事務所で働きながら、沢山の収益物件について税務と投資の面で多くの知識を得られたことを活かし、自分でも不動産投資を始めました。
現在では5棟の物件を保有しつつ、不動産投資家さんの気持ちがわかる税理士になるよう日々勉強し、色々な情報を集めています。
不動産投資専門の叶税理士法人(https://tax.kanae-office.com/)
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