副首都・大阪から日本を動かす 100年企業戦略サミット
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2026年1月19日、ヒルトン大阪(大阪市北区)で、一般社団法人100年企業戦略研究所とボルテックスの共催によるセミナー「100年企業戦略サミット」が開催されました。
大阪・関西万博や副首都構想で、世界から注目が集まる関西経済。その未来を担う経営者たちが参加した本セミナーは、100年企業に向けた事業承継・人財戦略・財務戦略をテーマとする実践的なプログラムとなりました。
永続と成長を両立させるサステナブルな差別化
50名に限定された客席から参加者の経営者らが見つめる中、本セミナーは弊社代表取締役社長兼CEOの宮沢文彦による「主催者あいさつ」から始まりました。
100年企業を見据えた事業戦略として、宮沢は財務の安定と人財の育成が重要なポイントとなることを指摘しました。その具体的な例として、創業から四半世紀を経て売上1,000億円を突破した弊社を示し、その財務基盤は「不動産保有」によって強化された、という見解を述べました。また、人財の育成については、一定の期間、異なる職場環境を経験する「越境学習」の効用を挙げ、弊社が提供する在籍型出向サービス「Vターンシップ」を紹介しました。
「私どもが人員を削減することなくコロナ禍を乗り切ることができた最大の理由は、不動産の含み益が財務の安定に貢献したことといってよいでしょう。デフレ経済の下では“持たざる経営”がもてはやされましたが、すでに“金利のある世界”に変わりました。不確実性が高まる中、不動産保有の現実的な手段として、今後はますます区分所有オフィスが注目されると思います」
続いて、船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティングの南原繁氏により「永続」と「成長」を両立させる企業づくりをテーマとした基調講演が行われました。
経営コンサルティングの伴走支援によって、これまで700社を100億円企業へと成長させてきた南原氏は、どのような環境の下でも事業を継続する「サステナグロースカンパニー」を研究する中で、日本経済が停滞を続けた2000年以降に成長を遂げた企業に着目しました。そして、それらの企業に事業の目的を明確に掲げるという共通点を見いだしたと言います。数値化される経営計画とは異なり、理念やビジョンはあいまいになりがちですが、社会に対して自社がどのような価値を提供すべきなのか、ということが、明瞭に示されていたそうです。
さらに、100年を超える伝統を持つ老舗企業に対する調査では、その多くが“サステナブルな差別化”に成功しているという共通項を持つこともわかりました。そうした研究成果から、同氏は永続と成長を両立させるポイントとして「PMVV(パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー)」の重要性を指摘しました。
「理念や目的を通じて自社のあり方(Being)を明確化しつつ、それを精緻なやり方(Doing)でビジネスに落とし込むことが大切なのですが、直感と論理の両立が困難なように、実際にはなかなか難しい。しかし、100年企業はそれらをバランスよく両立させて、サステナブルな差別化に成功しています。それは、自社の企業文化や特徴をふまえた独自の儲け方を知っているからです。他社をまねただけの“養殖”ものではなく、いわば“天然”PMVVを掲げることが、100年企業になるための条件といえるでしょう」

不動産保有で財務面が安定し安心して働く環境が整う
次に行われたパネルディスカッションは、パネラーとして千房の中井貫二社長、榮太樓總本鋪の細田将己社長、京都プラザホテルズの清水幸雄会長の3名が登壇。100年企業戦略研究所所長の堀内勉がモデレーターを務めました。
堀内は基調講演を踏まえて、各氏にPMVVを現実のビジネスに落とし込む際の工夫や苦労を尋ねました。
これに対して、中井社長は同社の創業者である父の政嗣会長との役割分担を挙げました。人財を事業戦略の基軸と位置付けてきた同社では、刑務所出所者の雇用を通じた更生支援活動にも積極的に取り組んできました。そうした活動に象徴される同社のPMVVが従業員の共感を得て、さらに中井社長が実務的な事業戦略を担当することで、「BeingとDoingがつながってきたのではないか」と自社を分析しました。
次に発言した細田社長は、「伝統的な価値観の言語化を重視してきた」と語りました。創業以来、200年以上にわたって和菓子をつくり続けてきた同社では、あえて自社の目的が明示されることはなかったといいます。12代目の細田社長は、和菓子の魅力を世界に向けて発信するという目的を明確にしたうえで、「マーケティング的なアプローチによって新商品開発にも挑戦しました。こうした取り組みにより、新しい時代にふさわしいブランディングに成功した商品に対しては、若い世代にも支持が広がっています」と振り返りました。
続いて発言した清水会長は、自社の目的を「世の中のためになる人をつくること」と明快に設定し、そのために重視すべきテーマとして「『儲けと品性』を掲げたことが、自社の成長につながったのではないでしょうか」と語りました。一見、相反するような価値観を事業の両輪と位置付けたことで、自社を公器とみなすPMVVがビジネスに落とし込まれたわけです。
また、堀内が各パネラーの不動産戦略について尋ねると、不動産保有が本業を補完する役割を果たし得るという点で、各氏の見解が一致しました。なかでも、細田社長は祖父の代に取得した不動産物件の収益がグループ全体の財務体質の改善に貢献してきた、という具体的な実績を紹介しています。
「不動産事業の収益により財務面での安定感が高まって、安心して働くことができる環境が整ったのではないか、と思います」(細田社長)
これらの話を受け、最後に堀内が不動産戦略の重要性をあらためて指摘し、討議を締めくくりました。経営者ならではの実践的な話題提供は、参加者にさまざまな気づきをもたらし、その後、すべての登壇者を交えた懇親会を経て、本セミナーは盛況のうちに幕を閉じました。
[編集]株式会社ボルテックス コーポレートコミュニケーション部
[制作協力]株式会社東洋経済新報社
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