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ファシリティマネジメントのメリットや具体例、施設管理との違いを解説

目次

企業や団体が保有する施設・設備などを経営視点で戦略的に管理・活用するファシリティマネジメント(FM)は、企業の収益性向上や働き方改革といった多方面の課題解決に寄与する手法として、近年注目されています。

本記事では、ファシリティマネジメントの定義や対象、従来の施設管理との違いを明確にし、その効果とメリットを具体例とともに解説します。

ファシリティマネジメント(FM)とは?

はじめに、ファシリティマネジメントの定義や管理の対象とする資産、ファシリティマネジメントが注目されている背景について把握しておきましょう。

ファシリティマネジメントの定義

ファシリティとは、土地・建物・設備・備品などの固定資産を指します。ファシリティマネジメントは、企業や組織が保有する固定資産と、それを取り巻く環境を、経営戦略的な視点から総合的に管理・活用する活動です。

ファシリティマネジメントは、単なる施設の維持管理にとどまらず、4つの経営基盤(人事、財務、情報システム、ファシリティマネジメント)を支える重要な役割をもっています。

ファシリティマネジメントの対象

ファシリティマネジメントの対象は、企業や団体が保有または使用する、あらゆる施設とその環境です。具体的には、以下のような施設があげられます。

  • オフィス
  • 工場
  • 商業施設
  • 医療施設
  • 学校・研究施設
  • 物流施設
  • データセンター

また、建物以外にも、設備やインフラ、さらにはそこで働く人々もファシリティマネジメントの対象に含まれます。

  • 空調・照明
  • 電気・給排水
  • 土地・構築物
  • 什器(じゅうき)・備品
  • 情報システム

ファシリティマネジメントが注目されている背景

ファシリティマネジメントが注目される背景には、複合的な要因があります。たとえば、昨今の経済状況から建設資金の調達が難しくなり、既存建物を有効活用する必要性が生じていることも要因のひとつです。施設を維持するコストは増大し続けており、経営に影響を与えています。

また、労働力不足や働き方改革により、従業員の働く環境の質が重視されるようになりました。さらに、環境問題への意識の高まりから、企業には省エネルギーなどの環境対策が求められています。

これらの社会的・経済的な状況に対応するため、企業は保有する施設や環境を最適化する重要性を認識するようになりました。

ファシリティマネジメントとほかの管理手法との違い

ファシリティマネジメントは、従来の施設管理やビルマネジメント、プロパティマネジメントとは異なる概念です。それぞれとの違いを解説します。

従来の施設管理・ビルマネジメント(BM)との違い

ビルマネジメント(BM)と呼ばれる従来の施設管理は、主に建物の維持や修繕、警備など、物理的な状態を良好に保つことに重点を置いていました。

これに対し、ファシリティマネジメントは物理的な管理だけでなく、経営戦略の視点から施設や環境の最適化を図ります。具体的には、施設のライフサイクルコスト(※)の最小化、従業員の生産性向上、企業イメージ向上など、経営目標の達成に貢献することを目指すのがファシリティマネジメントです。

  • 商品や設備を購入してから廃棄するまでの全期間にかかる費用のことを指します。購入費用だけでなく、維持費や修理費を含めた総合的な視点で費用を考える概念です。

従来の施設管理・BMが「建物を守る」ことに主眼を置いているのに対し、ファシリティマネジメントは「建物を使って経営を良くする」といえます。

プロパティマネジメント(PM)との違い

プロパティマネジメント(PM)とは、主に不動産オーナーの委託を受け、賃貸不動産の運営・管理をおこなうことを指します。具体的には、入居者募集、賃貸借契約管理、家賃回収、建物メンテナンスなどが主な業務です。

一方、ファシリティマネジメントは、企業や団体が自ら保有・使用する施設や環境を、経営戦略から管理することです。

ファシリティマネジメントの効果とメリット

ファシリティマネジメントを適切に実施することで、企業は以下のような効果とメリットを得ることができます。

  • 施設管理のコスト削減
  • 資産価値の維持・向上
  • 従業員満足度や生産性の向上
  • 環境負荷の軽減やSDGsなどの社会貢献

施設管理のコスト削減

ファシリティマネジメントをおこなうことで、施設管理コストが削減可能です。

たとえば建物の維持・保全計画の策定、エネルギー効率の改善、設備の適切な更新、スペースの有効活用など、さまざまな取り組みによって維持費を抑えられる可能性があります。また、施設管理業務のアウトソーシングや、ITを活用した効率的な管理体制の構築などもコスト削減につながる場合があります。

施設の維持費を削減できれば、経営資源をより戦略的に使うことができるでしょう。

資産価値の維持・向上

ファシリティマネジメントは、企業が保有する不動産の資産価値の維持・向上にも貢献します。建物の定期的な点検や診断、計画的な修繕などを実施することで劣化を防ぎ、長寿命化を図れます。

さらに、施設の美観維持や安全性確保など、利用者の視点に立った改善策を講じることで施設の魅力を高め、テナントの誘致や賃料収入の増加にもつなげられます。

従業員満足度や生産性の向上

ファシリティマネジメントでは、オフィス環境の最適化や快適な休憩スペースの設置、安全で衛生的な職場環境の整備など、従業員が働きやすい環境づくりを重視します。たとえば、空調や照明の管理のほか、使いやすいオフィス家具の導入などの取り組みが考えられます。

さまざまな取り組みにより、従業員のモチベーション向上、ストレス軽減、健康増進が図られ、結果として生産性の向上にもつながります。

環境負荷の軽減やSDGsなどの社会貢献

省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用、リサイクルの推進など、環境に配慮した施設運営をおこなうことで、環境負荷の軽減やSDGsへの貢献などが可能です。

LED照明への切り替えや太陽光発電システムの導入、節水型トイレの採用、ゴミの分別徹底など、さまざまな取り組みがCO2排出量削減や資源の有効活用につながります。

ファシリティマネジメントの仕事内容

ファシリティマネジメントでは、主に施設や設備等に関連し以下のような仕事を行います。

  • 建物の運営管理業務(例:清掃、警備、設備のメンテナンス、敷地の管理)
  • 従業員支援に関する取り組み
  • 緊急事態や災害への対応と予防策
  • 持続可能性を考慮した計画立案
  • プロジェクト管理や予算の策定
  • 不動産管理や空間の活用計画
  • 事業の継続性を確保するための計画設計

これらの具体例を次の章で見ていきましょう。

ファシリティマネジメントの具体例

ファシリティマネジメントの具体的な取り組みをおこなうことで、企業や組織の課題解決につながります。ここでは、代表的な例を紹介します。

  • 施設・設備の定期的なメンテナンス
  • オフィスの移転・レイアウト変更
  • 省エネ化の促進
  • 防災・セキュリティの強化

施設・設備の定期的なメンテナンス

施設・設備の定期的なメンテナンスは、ファシリティマネジメントの基本的な取り組みのひとつです。

建物や設備は時間の経過とともに劣化し、故障や不具合のリスクが高まります。しかし、定期的な点検や清掃、部品交換、修理などを実施することで性能を維持し、長寿命化を図ることができます。

また、定期的なメンテナンスにより、突発的な故障や事故を未然に防ぐことが可能になります。資産価値の維持だけでなく従業員の安全確保になり、企業の安定的な運営につながるでしょう。

オフィスの移転・レイアウト変更

オフィスの移転やレイアウト変更は、組織変更や働き方の変化などにともない必要となる取り組みです。単なる場所の移動や模様替えではなく、経営戦略の視点から従業員の生産性向上、コミュニケーションの活性化、企業イメージの向上などを目的としておこないます。

移転やレイアウト変更に必要な業務には、新しいオフィスの選定やレイアウト設計、内装や什器備品の選定、引越し作業の計画・実施など、多岐にわたります。

適切な移転やレイアウト変更は、従業員のモチベーション向上につながり、企業が成長する可能性も期待できます。

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省エネ化の促進

省エネ化の促進は、光熱費削減や環境負荷の軽減の観点から、重要な取り組みです。照明のLED化や高効率空調設備への更新、断熱の改修、太陽光発電システムの導入など、さまざまな省エネ対策が実施されています。

さらに近年は、ファシリティマネジメントにおいてIoTやAIの導入などDXが進んでいます。たとえば、建物内に設置したセンサーで温度や湿度、人の動きなどをリアルタイムに収集・可視化することで空調や照明を自動制御するといった取り組みが見られます。

防災・セキュリティの強化

防災・セキュリティの強化は、従業員の安全確保だけでなく、事業継続や情報漏洩防止の観点からも不可欠です。耐震診断や補強、火災報知器・消火設備の設置、避難経路の確保など、災害発生時の被害を最小限に抑えるための対策を講じます。

また、設備を導入するだけでなく、従業員への教育・訓練、マニュアルの策定なども実施も必要です。

ファシリティマネジメントのレベル

ファシリティマネジメントは、関与する範囲や意思決定のレベルによって、以下の3つに分類されます。

  • 経営レベル
  • 管理レベル
  • 日常業務レベル

経営レベル

経営レベルでは企業の経営戦略と連携し、中長期的な視点から施設や環境に関する重要な意思決定をおこないます。たとえば、以下の計画策定などがあげられます。

  • 施設投資計画の策定
  • 不動産ポートフォリオの最適化
  • 施設に関するリスクマネジメント
  • 環境経営戦略の策定

経営レベルにおいては、ファシリティマネジメントは単なる維持費削減の手段ではなく、企業の持続的な成長を支える重要な戦略となります。

管理レベル

管理レベルのファシリティマネジメントは、経営レベルで決定された方針や戦略に基づき、具体的な計画を策定・実行する役割を担います。具体的には、以下の業務があげられます。

  • 年間施設管理計画の策定
  • 予算管理・契約管理
  • 業者の選定
  • プロジェクトマネジメント

管理レベルでは、効率的な管理体制の構築やアウトソーシングの活用など、より専門的な知識やスキルが求められます。

日常業務レベル

日常業務レベルでは、管理レベルで策定された計画に基づき、日々の施設運営、維持管理業務を遂行します。以下のように、多岐にわたる業務があります。

  • 建物の清掃
  • 設備の点検・修繕
  • 警備
  • 受付・電話・メール対応

日常業務レベルでは、トラブル発生時の対応など臨機応変な対応力も求められます。また、施設利用者と直に接する機会も多いため、利用者の満足度を高めるうえで重要な役割です。

まとめ

ファシリティマネジメントは、企業や組織が保有する施設や環境を、経営戦略の視点から総合的に管理・活用する活動です。単なる施設の維持管理にとどまらず、資産価値向上や従業員満足度向上など、多くのメリットがあります。

自社ビルを保有している場合は、不要なスペースを貸し出すことによって本業と連動しない賃料収入が期待できます。また、売却可能な資産を保有することは、有事の際でも資金化ができるため、事業の継続力を高めることにもつながります。

安定的に収益を得られる可能性があり、また万一の際にも売却しやすい不動産は、下記の3つの条件を満たしていることが望ましいです。

  1. 都心の商業地に位置するオフィスビルである
  2. 駅からのアクセスに優れている
  3. 清潔感や充実した設備を持つ

これらの条件を持つ物件は、テナント需要が高く空室リスクが低い傾向にあり、安定した収益が期待できる可能性があります。しかし、こうした物件は取得コストが大きくなりやすく、特定の層しか取得できないことが課題でした。

そこでボルテックスでは、より多くのお客様にご取得いただけるよう、一棟のオフィスビルを1フロア(物件によっては1部屋)に区切って販売する「区分所有オフィス」を展開しています。この仕組みにより、これまでは参入できなかったお客様にも商業地のオフィスビルを保有することが可能になります。

※オフィスビルは一般的にテナント需要が高いとされますが、市場環境や経済状況によって空室リスクや収益の変動が生じる可能性があります。投資の際には、これらのリスクを十分に考慮してください。

不動産賃貸業をお考えの際はぜひ「区分所有オフィス」をご検討ください。

区分所有オフィスとは

ボルテックスでは「100年続く企業を1社でも多く」を理念に掲げ、不動産賃貸業を活用した事業戦略支援を行っています。ぜひお問い合わせください。

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監修者

仲肥 雅浩なかひ まさひろ

GLリアルティ株式会社 代表取締役/(公社)東京都不動産鑑定士協会 業務推進委員会委員 不動産鑑定士、宅地建物取引士

業界有数の大手鑑定機関において、多種多様な評価を担当した実績を有する。現在は、不動産調査・仲介業務を加え、不動産流通業務の総合コンサルティング会社を経営するほか、不動産鑑定士試験合格者が受ける研修機関において、指導鑑定士の立場で後進の指導にあたっている。2018年・2019年には、税務大学校にて知的財産権評価の講師を担当。

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