リーダーなら知っておきたい!慕われるカギは多様性への理解
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人材に恵まれない、採用しても離職率が高く経験ある従業員が育たない、という問題はしばしば耳にします。では、この問題を打開し業績を上げるためにはどうすればいいのでしょうか。
厚生労働省の調査では、従業員満足度(ES)を向上させることが、業績、生産性向上、そして人材確保に効果的であることが分かっています。具体的な対策方法や調査結果など、業績アップのカギともいえる従業員満足度について紹介します。
従業員満足度(ES)とは
従業員満足度とは、従業員の職場における待遇や働き方、人間関係などに対する満足度のことを指す。英語ではEmployee Satisfaction、略してESといい、顧客満足度(CS)の対比として使われている概念です。
元来企業では利益に直結する顧客満足度のみを重視しているケースが多かったですが、従業員が定着しない、経験のある従業員が育たないといった問題を抱える企業も少なくなかったでしょう。そこで衆目を集めるようになったのが従業員の視点になって魅力ある職場づくりをしよう、という取り組みです。
確かに従業員満足度の向上に努めても、すぐには売上高の数字に反映されないかもしれません。限られた時間と予算の中では対応が難しいと感じる企業もあるでしょう。しかし従業員にとって働きやすい環境を整えることは、従業員の意欲や業績アップを引き出すことができ、人材確保および生産性向上に大きな影響を与えるといえます。
従業員満足度向上のためのポイント
従業員満足度を向上させるには、従業員の目線に立って「どのような職場なら魅力を感じるか」「長く働きたいと思うか」を考えていく必要があります。
まず分かりやすいのが賃金や評価法の問題です。どれだけ職場に貢献しても昇進も昇給もないのでは、従業員が見切りをつけて離職してしまうのも無理はないでしょう。成果やスキルに合わせた報酬制度の導入や、定期的な人事評価による昇給・昇進など、目に見える形で従業員への評価を行う取り組みが必要です。
さらに核家族化の進行、夫婦共働きの増加などによる今日の多様な働き方への対応も考える必要があるでしょう。短時間正社員制度の導入、フレックス制やシフト制、在宅業務の採用などがその例です。休暇の取りやすさも従業員の働きやすさに影響します。業務を見直すことで無駄を省いて労働時間を削減する、年休制度を策定するといった方法が効果的でしょう。
他にも福利厚生の充実、教育研修制度の導入、昇格試験の採用など、従業員満足度向上のためにできることは多く、従業員が働くことに魅力ややりがいを見いだせる職場を整えていくことが大切です。
従業員満足度の向上は企業の業績アップにつながる?
厚生労働省による「今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業」では、「従業員満足度と顧客満足度の両方を重視する企業」と「顧客満足度のみを重視する企業」の業績を比較しました。その結果「従業員満足度と顧客満足度の両方を重視する企業」のほうが、売上営業利益率と売上高のどちらも増加傾向にあり、業績が向上しているということが分かりました。
また「魅力的な職場づくり」への取り組みを10年以上実施している企業、4年以内から実施している企業、していない企業で比較したところ、取り組みの長い企業ほど業績が向上しているという結果も出ました。人材確保の観点でも、取り組みを行っている企業の方が量(人数)・質共に確保できているということが分かっています。
従業員満足度向上への取り組みは、企業にとって人材を確保し業績をアップさせるのに大切なプロセスといえるでしょう。
従業員は大切なステークホルダー
目先の業績アップばかりにとらわれていると、つい顧客の満足度を優先して従業員満足度をおろそかにしてしまいがちです。しかし従業員は企業の評価を、さらには企業の業績をも左右する、大切なステークホルダーであるということを忘れてはならないでしょう。
従業員が職場に定着しその能力を発揮していくためにも、継続的に雇用のあり方を見直し必要な改善を加えていくことが大切です。