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アフターコロナ、オフィスのあるべき姿とは?

目次

新型コロナウイルスによるパンデミックは、世界の人々の日常や将来のビジョンに大きな変化をもたらしました。とりわけテレワークの普及は、多くのビジネスパーソンの働き方を劇的に変え、ポストコロナを見据えたこれからの社会のスタンダードにも影響を及ぼすことでしょう。本コラムでは都市政策の専門家である明治大学の市川名誉教授が、これからのオフィスのあり方やテレワークの方向性を解説。企業のレジリエンスを高めるオフィス作りを考えるヒントを提供してくれます。

ウィズコロナ/ポストコロナ 働き方に対する考えの変化

ロンドン、パリ、ニューヨーク、サンフランシスコ、シンガポール、東京の5都市各1,000人に対し、新型コロナウイルス感染症の流行によるライフスタイルや働き方に関するアンケート調査を森記念財団都市戦略研究所が実施したところ、どの都市においても回答者の9割以上が「パンデミックにより、ライフスタイルに一定の影響を受けた」と答えました。

働く場所については、パンデミック以前は15%(シンガポール)〜24%(ニューヨーク・東京)程度だった「自宅」という回答が、パンデミックの最中ではロンドン、ニューヨーク、シンガポールで40%以上に上昇。東京は30%にとどまったものの「将来的には自宅での就業を希望する」という数字は42%に達しました。

「居住地を移動する可能性は?」の問いに対しては、東京で約23%、ニューヨークで約40%と、どの都市でも一定の層がその可能性を示唆する結果となりました。しかし「居住地を変える場合、どの場所に移動する可能性があるか」と問われると、「都市から離れた場所」と答えた人が多かったパリ、「同じ都市の郊外」と答えた人が多かった東京、「都心」と答えた人が多かったニューヨークという具合に、国によって求める移転先が異なるという結果が出ました。

「テレワークに満足しているか」という質問では、ニューヨーク、パリで約半数が「満足・とても満足」と答えているのに対し、東京はその回答が35%にとどまり、「テレワークで生産性は向上したか」という質問でも東京がニューヨーク、パリに比べて低い数字となるなど、テレワークの定着度合いと満足度の相関関係をうかがわせる内容となりました。

国内で行われた同研究所の調査に目を移すと、「会社や学校に通勤・通学している」という層は、パンデミック前とパンデミック後の比較では、東京都心部の在住者で大幅に減っていることが判明。つまり自宅などにとどまりテレワークをする人が増えたことを示した結果が得られています。

これは東京以外の大都市や横浜など東京近隣の都市と比較して顕著であり、東京都心部で働く労働者に「情報通信業」「学術、専門・技術サービス業」など、テレワークをしやすい業種に従事する人の割合が高いことと関連していると考えられています。

コロナ禍でのテレワークの進展

パンデミック以前より、さまざまな側面からテレワークの直接的な効果について考察されていました。しかしこれまでテレワークはおもに「ワーク・ライフ・バランスの実現」を目的とし、家族と過ごす時間や自己啓発などの時間の増加が大きな意義とされていました。あまり普及しない状況でしいたがパンデミックにより「非常時でも事業を継続するための手段(事業継続性の確保/BCP)」という必要性に迫られ、一気に普及した感があります。 しかし、ポストコロナを見据えた働き方の意識にまで目を向けると、「テレワークになって仕事の効率性は下がった」とする意見も多く(66.2%/日本生産性本部資料)、日本より一足先にテレワークが普及し始めたアメリカの調査で「これからもテレワークで働きたいか」という問いに「オフィスワークがいい」「1、2日のみテレワーク」と答えた割合が高かったことからも、今後はテレワークの環境や質にもこだわった導入が求められるという現実も浮き彫りになってきました。

ポストコロナ テレワークはどこまで広がるか

テレワークの実施場所は、「自宅(在宅勤務)」「サテライトオフィス(シェアオフィス)」「モバイルワーク(カフェやファミレスなど)」に大きく分類できます。国土交通省による調査では、コロナ禍を境に自宅でのテレワークが急増しており、1日の平均仕事時間も6.7時間と、サテライトオフィスの5.0時間、モバイルワークの2.4時間を上回る結果が出ました。

しかし港区、千代田区、中央区、渋谷区、新宿区など東京のオフィス地域でコワーキングスペースは急増しており、この傾向は今後郊外の拠点都市にもある程度広がることが予想されることから、結果として在宅でのテレワークの割合が低下することが考えられます。

日本はテレワークがしやすいとされる専門職の割合が欧米より低く、テレワークには不向きとされるサービス・販売従事者が多いという特徴があることから、もともとテレワークが普及しづらい土壌がありました。このため、現在進行中の東京中心部での大規模開発工事により、サテライトオフィスや住居用の床面積が増えるだけでなく、世界レベルのコワーキングスペースが誕生することで、テレワークを取り巻く環境がさらに大きく変貌することが期待されています。

コロナ禍での東京の人口動態

東京、ロンドン、パリと世界の大都市では、都市圏に「ヒト・モノ・カネ」が集中しています。日本では、政府が東京への一極集中を分散させる方針を打ち出しているものの、大きな街に人的、物的、経済的な資源が集中するのは世界の常識であり、この傾向は今後も続くとみられています。

総務省の住民基本台帳人口移動報告を基に、東京圏への転入者を調査してみると、その中心は10代、20代の若者世代であり、大学などへの進学や就職がひとつのきっかけとなって、東京での新生活を始める人の割合が高いことが推測されます。

コロナ禍に見舞われた2019年から2021年までの東京都の人口動態は、約1,400万人でほぼ横ばい状態。中でも東京23区の中心部の区では、外国人が多く居住している港区や新宿区を除いて人口は増えており、今後のコロナ収束や外国との交流再開の状況次第で、都心回帰の動きが加速することも予想されます。

さらに近圏の3県(埼玉、千葉、神奈川)まで視野を広げると、東京の中心から半径30km圏内への人口移動が起きていますが、結局、東京を職場とする人たちを中心とした大都市志向は、コロナの時代を経てもなお、大きく変化することはなかったといえます。

確かにコロナショックを受け、密集した都心を離れ、地方に移住しようと考える人が出てきたことも事実です。しかし移住という高いハードルを越す前に、例えば東京と千葉や伊豆に住まいを持つ「デュアルライフ」や、期間を決めて地方に滞在しながら、仕事と休暇を両立する「ワーケーション」という働き方を選択する人が増えると予想されます。新型コロナウイルス感染症は、都市から地方へと人々が移るきっかけとなりうるものです。しかし、現実には東京という大都市に住む価値や、社会資本の整った地域からは簡単に出ていくことができないという意識が存在する限り、東京一極集中が是正・緩和される絶対的な理由は見つからない、つまりこの傾向が続くということは想像に難くありません。

ポストコロナでオフィスはどうなる

テレワークの定着と働く場所の変化にともない、オフィススペースの形態は多様化しています。しかし東京商工会議所が2020年9月に行ったアンケート調査によると、「事業者の移転や縮小・拡大等を検討しているか」との問いに対し、約84%の事業者が「現状維持」と答えており、ワークスペースに関する大きな変革が、今すぐに起こることはなさそうです。

しかしメインオフィスとなるワークスペース内の環境整備は、働き方改革の波とともに進むことが予想されます。そのひとつが、フリーアドレスオフィスの導入です。これには「社内コミュニケーションが活性化する」「スペースコストの削減になる」といったメリットが期待できますが、他方で「他人の使った机を使いたくない」という、パンデミックが席巻する現在ならではの心理的なハードルも存在します。これを払拭するためには、滅菌・殺菌がしやすいオフィス環境の整備が不可欠であり、普及に向けた大きな課題となることは間違いありません。

東京の都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)のオフィス空室率に目を移してみましょう。2021年9月の段階で、新築ビルでは増加、既存ビルでは横ばい、全体では小幅な上昇が続いています。同時期のオフィス賃料は4カ月連続で下落。大阪、名古屋でも似たような状況になっています。

しかし、オフィスの貸室面積から空室面積を引いた「需要面積」の予測では、東京と福岡で回復傾向がみられ、この2都市に札幌、仙台、横浜、名古屋、大阪を加えた大都市の合計前年比は2021年から右肩上がりになるであろうという予測も発表されています。楽観視はできないものの、コロナ禍の収束と、それにともなう経済の回復、インバウンド需要の復活など、明るい材料を総合して考えると、それが現実となる日も近いかもしれません。

東京の地価・不動産

東京23区の公示地価平均価格は、過去10年間上昇し続けてきました。しかしコロナショックに見舞われた2020年を境に下落。「下がることはない」と思われた東京の不動産神話は崩れたかのように思われました。

しかし依然として、不動産への投資活動が活発な都市として、東京は世界の名だたる都市と比較しても好調をキープしていますし、これまでの歴史を振り返ってみても、人口の流入や地価は、経済の復調に呼応するかのように再び上昇することを繰り返しています。一時的に勢いが低下したとしても、東京にはすぐに輝きを取り戻すだけの強さがあるのです。

そのタイミングの鍵を握るのは、世界経済の回復。今年終盤から来年にかけて、先進国の経済がコロナショックから立ち直ることができれば、東京の不動産市況は再び盛り返すはずです。

>世界に注目される東京不動産とは

監修者

市川 宏雄氏

明治大学名誉教授、日本危機管理防災学会会長、日本テレワーク学会会長などの学術的活動に加え、文京区・中央区都市計画審議会会長、港区・渋谷区基本構想等審議会会長をはじめ国土交通省、内閣府等の政府委員を多数歴任。

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