店舗物件の探し方|優良物件を選ぶコツと見るべきポイントを解説
目次
飲食店やアパレルショップなどの小売店は、出店地が売り上げを大きく左右します。商圏を事前に調査し、集客が見込めるエリアを選定しましょう。
出店地が決まったら、店舗物件を探します。店舗物件の探し方は賃貸住宅に似た部分もありますが、店舗物件ならではのポイントを押さえておくことが大切です。
この記事では、店舗物件の探し方と事前準備についてわかりやすく解説します。優良物件を見つけるコツもあわせて見ていきましょう。
店舗物件を探す3つの方法
店舗物件は、どのように探せばよいのでしょうか。賃貸・売買に共通する代表的な3つの方法を解説します。
インターネットで探す
インターネットで店舗物件を探すメリットは、隙間時間を利用して好きなタイミングで実施できることです。また、居住地から遠い物件でも簡単に検索が可能です。
さらに、メルマガやサイトの会員登録によって、掲載されている物件以外の情報を入手できることもあります。
インターネットは気軽に物件を探せますが、その分ライバルが多いので競争率が高くなる傾向があります。
不動産仲介会社で探す
地元の不動産会社などで店舗を探す方法もあります。実際に不動産会社を訪れて、担当者と相談しながら物件を探します。
地元に根付いている会社であれば、立地や、人通り・アクセスといった周辺環境についてアドバイスを受けられるでしょう。
担当者と良好な関係を築き、連絡先を伝えておけば、物件を公開する前に連絡をもらうことも期待できます。賃貸だけでなく、店舗物件の売買を扱っている不動産会社にも相談するとよいでしょう。
現地で探す
店舗を開きたいと思っている土地を訪問して物件を探すことも可能です。
実際に現地を視察することで、不動産会社やインターネットに出回る前の店舗を見つけられる可能性があります。例えば、閉店前のセールを行っている店舗や、インターネットには掲載されていない空き物件は、まだ市場に出回っていない掘り出し物の物件かもしれません。
実際の人通りや人気店舗の傾向などを把握できるのもメリットです。
店舗物件を探す前にするべき準備
ここでは、店舗物件を探す前にするべき準備について解説します。事前に、ある程度条件を固めておくことで、効率よく理想の物件を探せます。
店舗のコンセプトを決める
店舗を開く際は、次のようなコンセプトを大まかに決めておきましょう。
- 開店時期
- ターゲットとなる顧客層
- メインの商品、サービス
- 店舗の形態(例:飲食店であればイートインかテイクアウトか)
- 営業時間帯
特に、ターゲットとなる顧客層は、立地を決める際の重要なポイントです。企業に勤めている人をターゲットにするのであれば、メインの候補地がオフィス街になります。卸売業を営んでいる小売店が立ち並ぶ下町エリアも候補になるでしょう。
立地を決めたら、開店時期から逆算して間に合うように店舗探しを始めましょう。店舗の開業までには早くて3カ月、場合によっては半年から1年ほどかかることもあります。
事業計画と資金計画を立てる
店舗のコンセプトが決まったら、事業計画と資金計画を立てます。開店後に見込まれる収益によって資金計画が変わるため、なるべく現実的な収支計画を立てることが大切です。
また、店舗物件を借りる際には、保証金・家賃・仲介手数料といった初期費用がかかります。1年分程度の費用が必要となる可能性もあるので、資金計画に組み込んでおきましょう。
内装や外装にこだわると、その分だけ費用が増えていきます。開店後のチラシ配布やホームページ制作などの広告宣伝費も考慮します。
候補地の周辺調査を入念にしておく
資金計画がある程度まとまったら、立地の検討に移ります。複数の候補地をピックアップし、実際に現地を訪れて状況を確認しましょう。
インターネットでも情報収集は可能ですが、現地を訪れることで初めてわかることもあります。また、昼の時間帯と夜の時間帯では周辺の雰囲気が異なるため、時間帯をずらしての現地確認も欠かせません。「昼間は賑やかだが、夜は人通りが少なく防犯上の不安がある」などの問題点が見つかる可能性があります。
自店舗の営業時間帯だけでなく、それ以外の時間帯も視察しておくと、その土地の特徴をより正確に把握できます。
周辺店舗の状況や集客状況、類似の商品やサービスを提供している店舗の情報など、自店舗に影響がありそうな要素もあわせて確認しておきましょう。
優良物件を見つけるコツ
ここでは、優良物件を見つけるコツを解説します。
不動産会社やオーナーと良好な関係を築く
インターネットや不動産会社の店舗に掲載されている物件は競争率が高い傾向にあり、なかでも優良物件は「未公開物件」に多く、掲載される前に入居者が決まることもあります。未公開物件とは、不動産会社が売主から直接売却を依頼された物件のことで、不動産会社のみが情報を持っています。
一般に出回らない物件の情報を得るためには、不動産業者や、複数の物件を保有している大家さんと良好な関係性を築くのが有効です。
周辺住民の話を聞く
候補地の周辺に知人や友人が居住しているなら、意見を聞いてみるのもひとつの方法です。実際の人通りや、近所で人気がある店舗、その土地に居住している人の年齢層や趣向といった肌感覚的な情報が得られるでしょう。
また、飲食店の出店を考えている場合は、外食をする機会が多い独身世帯がメインのエリアなのか、それとも、テイクアウト需要が多い家族世帯がメインのエリアなのかといった情報も重要です。
知人や友人が店舗の閉店情報などを知っている場合もあるので、情報を先取りできる可能性もあります。
工事業者の意見を聞く
内装・外装業者のなかには、原状回復工事を請け負っているところもあり、工事業者の意見が閉店を予定している店舗を知るきっかけになることもあります。稀なケースですが、原状回復工事を行う前の店舗を居抜き店舗として引き継ぐ交渉ができるかもしれません。
工事業者は店舗の開店時・閉店時に作業することが多いので、「〇〇周辺は入れ替わりが激しい」などの情報を得ることも期待できます。「居抜きを狙える」「出店は避けた方がよさそうだ」などの判断基準になるでしょう。
条件を絞りすぎない
立地や築年数、賃貸か購入かなど条件を絞りすぎると、なかなか希望の物件が見つからない場合があります。優先順位を決めて探すことで、最終的に納得のいく物件を見つけられる可能性が高まります。
店舗物件を探す際の注意点
最後に、店舗物件を探す際の注意点を見ていきましょう。
立地や物件によっては店舗に使えない
店舗の用途・種類によっては、用途地域の制限によって営業できないことがあります。用途地域とは、住居・商業・工業など、大枠としての土地の利用目的を定めたもので、「近隣商業地域」「第一種住居地域」など、13種類に分けられています。希望のエリアがあっても出店できない可能性があるので、事前に確認しておきましょう。
また、大家さんや店舗のオーナーが、「飲食店NG」「夜間営業は禁止」などの制限をかけていることもあります。 店舗が消防設備や建築基準法に準拠しているかどうかもチェックしましょう。特に消防法には注意が必要です。
前店舗の影響を受ける可能性がある
前に入居していた店舗に悪い評判があった場合、似たような営業形態の店舗は、その影響を受けてしまう可能性もあります。
立地がよく、人通りが多い場所であっても、周辺エリアに居住している人には以前の店舗の記憶があるため、ビジネスがなかなか軌道に乗らないこともあるでしょう。
店舗物件を探す際に、不動産会社やオーナーを通じて、以前入居していた店舗の情報を聞いてみるのもおすすめの方法です。
原状回復がトラブルに発展する可能性がある
賃貸物件の場合は、退去時に原状回復するのが基本です。例え居抜き店舗で入居費用を安く抑えられたとしても、退去時には解体を迫られる可能性もあるので注意しましょう。
居抜きの場合は、どこまで原状回復を行うかを入居前にオーナーと相談しておくことが大切です。また、居抜きでそのままになっている設備や什器は、オーナーが飲食店を呼び込むために設置した設備かもしれません。その場合は退去時に返却を求められるため、原状回復の度合いとあわせて確認しておきましょう。
店舗物件探しは事前準備が大切
理想の店舗物件探しは、綿密な事前準備から始まります。店舗のコンセプトを決定し、事業計画や資金計画を立てたうえで候補地を探しましょう。予算や希望条件によっては、賃貸だけでなく購入も選択肢のひとつとなります。
優良物件を見つけるには、不動産会社や複数の店舗を持っているオーナーと繋がりをつくる手段が有効です。実際に候補地を訪れることで現地の様子がよくわかるだけでなく、不動産会社や店舗オーナーと繋がりができることもあるので、現地視察は積極的に行いましょう。