不動産価格は今後どうなる?現在の推移や金利の動向を解説【FP監修】

目次
近年、日本の不動産市場は大きく変化しています。不動産価格指数は上昇傾向にあり、特に都市部では顕著な価格高騰が見られます。
この記事では、不動産価格の現在までの推移や価格が高騰している背景、今後の変動要因について解説します。不動産ローンの金利動向についても取り上げますので、不動産購入や投資の判断をする際にお役立てください。
不動産価格の推移
今後の不動産価格を予測するにあたって外せないものが、近年の価格推移です。ここでは、以下4つの項目について、それぞれの推移を解説します。
- 不動産価格指数の推移
- 土地の価格の推移
- マンションの価格の推移
- 戸建て住宅の価格の推移
ひとつずつ見ていきましょう。
不動産価格指数の推移
不動産価格指数とは、国土交通省が毎月公表している不動産価格の動向を指数化したものです。年間約30万件の取引価格情報を基に、全国・ブロック別・都市圏別等の動向を物件種類別で算出されています。
以下のとおり、住宅地、戸建て住宅、マンションのいずれも2013年頃から価格が上昇傾向にあります。

引用:国土交通省『不動産価格指数(令和6年7月・令和6年第2四半期分)』令和 6年10月31日発行
特にマンションの価格上昇が著しく、2010年の平均を基準値100とした場合に、2024年7月には200を超える指数を記録しました。都市部を中心に需要が高まっていることが背景にあげられます。
価格上昇は、不動産購入を検討している方にとって懸念材料となる一方、所有者や投資家にとっては資産価値や収益性の向上というメリットがあります。ただし、地域や物件タイプによって上昇率には差があります。
土地の価格の推移
国土交通省の「令和6年第3四半期 地価LOOKレポート」によると、調査対象の全80地区において土地価格が上昇しており、横ばいや下落した地区はありませんでした。

引用:国土交通省|令和6年第3四半期地価LOOKレポート(P2)
住宅地では22地区すべてが10期連続で価格が上昇し、緩やかな上昇傾向が続いています。商業地でも58地区すべてが3期連続で上昇する一方、一部の地域では価格の上昇傾向が落ち着きを見せる動きもあります。
マンションの価格の推移
住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査」によると、マンション価格は2012年頃から緩やかに上昇を続けてきましたが、2021年を境に急激に高騰しています。

また、同調査より融資利用者のマンション購入価格は、2013年度時点では全国の平均価格が3,862万円でしたが、2023年度には5,245万円に達し、約1.36倍となりました。
戸建て住宅の価格の推移
戸建て住宅の価格推移は、土地付き注文住宅と建売住宅で異なる傾向を示しています。
同調査より、土地付き注文住宅の価格は2013年度の全国平均3,637万円から、2023年度には4,903万円へと約1.35倍に上昇しました。一方、建売住宅の価格は2013年度の3,320万円から2023年度には3,603万円へと、約1.09倍の上昇にとどまっています。

この差は、土地価格や建築コストの違いが影響していると推測されます。注文住宅のほうが上昇率が高いのは、購入者の個別ニーズに応じた設計がされているため、さまざまな要因が考えられます。たとえば、使用する資材の価格の高低や場合によっては建築士への手数料も勘案しないといけません。一方、建売住宅は比較的土地の価格を抑えられるエリアに建設されていたり、間取りや設備・仕様も規格が決まっていることや複数戸まとめて建築したりすることによるコストの抑制などが考えられるでしょう。
不動産価格が高騰している理由
前項では、近年の不動産価格が高騰していることをお伝えしました。価格が上昇している理由として主に次の3つがあげられます。
- インフレの影響
- 円安によるインバウンドの需要回復
- 世界情勢の影響による建築費の高騰
詳しく解説していきます。
インフレの影響
不動産価格が高騰している主な理由のひとつに、インフレの影響があります。
金融緩和は、経済成長を促す目的で市場に多くのお金を供給する政策です。お金の量が増えることで物価が上昇し、通貨の価値が下がる状態をインフレといいます。
現物不動産はインフレの影響下でも資産価値を維持しやすく、投資先として選ばれることが多い資産です。不動産の需要が増えたことで、結果として価格上昇につながっています。
円安によるインバウンドの需要回復
近年の円安により、訪日外国人観光客が増加傾向にあります。日本政府観光局(JNTO)のデータによれば、2024年9月の訪日外客数は前年同月比で31.5%増加しています。観光客の増加は、都市部の商業不動産や宿泊施設の需要を押し上げ、不動産価格の上昇につながっています。
また、円安により日本の不動産が海外投資家にとって割安になり、投資先として需要が高まっていることも価格高騰の一因です。
世界情勢の影響による建築費の高騰
世界情勢の変化も、不動産価格に大きな影響を与えています。特に、ロシアによるウクライナ侵攻は、建築資材の価格上昇をもたらしました。ロシアからの原油や木材の輸入制限により、建材コストが急騰しています。
さらに、ウッドショックと呼ばれる木材価格の高騰も起こりました。コロナ禍による住宅需要の急増や、輸送コストの上昇が原因とされており、結果として不動産価格の上昇につながっているのです。今後も世界情勢が建築費や不動産価格に影響を与えると予想されます。
今後の不動産価格に影響を与える要素
現在価格が高騰している背景とは別に、今後の不動産価格に影響を与える要素として注目されているのが次の3つです。
- 日銀の金利政策
- 人口の変動
- 税制の改正
不動産価格にどのように影響するかを、それぞれ見ていきましょう。
日銀の金利政策
日銀の金利政策は、不動産市場に大きな影響を与える要素です。日銀がマイナス金利政策を解除したことで、不動産ローンの金利上昇が予想されています。借り入れによる利息負担が増えると、不動産購入のコストが増加し、需要が減少する可能性があるかもしれません。
一方で、急激な金利引き上げが実施される可能性は低いと予測されており、不動産価格への影響は限定的であるとも考えられています。
人口の変動
人口動態の変化は、不動産価格に影響を与える要素のひとつです。日本全体では人口減少が進んでいるものの、東京などの大都市圏では人口集中が続いています。この傾向により都心部の不動産価格は上昇傾向にある一方、地方では価格下落のリスクが高まっています。
さらに、若年層の移住傾向や世帯構成の変化も、不動産需要に影響を与えていると考えられるでしょう。また、建築現場での労働力不足や人件費の上昇なども、新築物件の価格に影響を与える可能性もあります。
人口動態は地域によって異なるため、不動産投資や購入を検討する際は、対象地域の人口推移や将来予測を十分に分析することが重要です。
税制の改正
住宅ローン減税をはじめとする税制の改正は、不動産市場に影響を与えるでしょう。過去の改正では、住宅ローン減税において子育て世帯に対する優遇措置が強化されました。不動産購入者の負担を軽減することで、需要を喚起する効果が期待されます。
一方で、控除率の引き下げや適用要件の厳格化も行われており、一部の購入者にとっては恩恵が少なくなるかもしれません。
また、消費税率の変更や固定資産税の評価方法の見直しなども、不動産価格に影響を与える可能性があります。
今後の不動産ローンの金利はどうなる?
不動産購入者にとって、価格の動向と同様に気になるのがローン金利の変動ではないでしょうか。ここでは、不動産ローンの固定金利、変動金利のそれぞれの動向を解説します。
固定金利
フラット35や都銀の金利の推移を見ると、2021年頃から固定金利は上昇傾向にあります。

固定金利は長期金利に影響を受けるため、今後も上昇傾向が続くと見られています。
ただし、急激に引き上げが行われる可能性は高くないと考えられます。
不動産購入を検討している方は、金利上昇前に借り入れをするのも選択肢のひとつです。
変動金利
都銀の変動金利はほぼ横ばいであるものの、わずかながら下降傾向にあります。新規顧客獲得のため、各金融機関が変動金利の引き下げをしていると考えられます。

今後も変動金利は低い状態が続くと考えられますが、マイナス金利政策の解除により、徐々に上がっていく可能性もあります。
変動金利は短期金利に連動するため、日銀の金融政策に影響されるでしょう。
まとめ
不動産価格は近年上昇しており、特に都市部では土地やマンションの価格高騰が顕著です。一方で、今後の不動産価格に影響を与える要素として、日銀の金利政策や人口動態、税制改正などに注目が集まっています。
不動産購入や投資を検討している方は、これらの要素を考慮して判断することが重要です。利便性の高さなどの条件が揃った不動産は、価格相場も上がります。
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