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賃貸物件評価と有利な不動産のポイント
〜オーナーの財産構成で変わるこれからの遺産分割〜

目次

相続財産のなかで大きな割合を占める不動産ですが、オーナーの財産構成により相続発生時の遺産分割方法が変わってきます。相続人同士の関係性に悪影響を及ぼすこともあるので、賃貸物件などの不動産をどのように所有することが最適なのか、しっかりと考える必要があります。相続実務を数多く手掛けてきた税理士法人 YMG林会計代表の社員の林充之氏が、遺産分割の注意点も話しながら、今後の理想的な不動産所有について詳しく解説します。

相続の基本的な考え方

民法において「相続」は、個人が死亡した場合に、その者の有していた財産上の権利義務をその者の配偶者や子など一定の身分関係ある者に承継させる制度だと定義されています。引き継ぐ遺産は、土地、建物、預貯金のようなプラスの財産だけではありません。借金や損害賠償債務などのマイナスの財産も引き継がれます。

相続の優先順位で、配偶者は常に相続人になります。それ以外の優先順位は次のとおりです。

  1. 子(養子を含む)……子が先に死亡している場合は子の子(孫)
  2. 親(子がいない場合)……親が死亡し、祖父母がいる場合は祖父母
  3. 兄弟姉妹(子も親もいない場合)……兄弟姉妹が死亡し、その子がいる場合は甥・姪

法律で相続財産の受け取り分(法定相続分)が定められていますが、必ずしもそのとおりに財産分与する必要はありません。相続人間で争うことなく、話し合いで各自の取り分が定まった場合にはそちらを優先することができます。法定相続分の例としては、まず配偶者が1/2を相続し、残った1/2を子たちが分割して相続するようなかたちです。子2人の場合は1/2の遺産を2人で分けるので、子1人あたり1/4になります。

また、相続では相続人に法律上確保された最低限の財産「遺留分」が定められており、基本的には法定相続分の1/2の金額が設定されています。先ほどの例でいえば、配偶者と子の遺留分は、配偶者が1/4(1/2×1/2)、子1人あたり1/8(1/4×1/2)になります。遺言書を作成する際には、相続人の間で不平等が起こらないように遺留分を考慮することが大切です。遺留分についても法定相続分と同様に、必ずそのとおりに財産分与する必要はありません。話し合いで全員が納得できる場合には、そちらを優先できます。

財産構成による遺産分割の難しさ

相続税は、受け継ぐ財産の総額が基礎控除額を超えたときに支払います。つまり個々の相続金額ではなく、合計の相続金額で相続税が決まるということです。相続税の申告事績(出典:国税庁 令和元年分相続税の申告事績の概要)は令和元年において、被相続人(死亡者数)約138万人のうち約11万人となっています。また、遺産分割で審判や調停に至る“争続”は、年々増加傾向にあります。実際の審判においては、全体の32%が5回を超える話し合いを行なっており、相続問題は長期化する傾向にあります。

どれくらいの遺産額で争っているケースが多いのか見てみると、令和2年度の遺産額による事件数において5,000万円以下の事件が75%と大半を占めています。つまり、相続額が多いほど揉めるわけではありません。分けられない遺産(自宅など)しか残っていない場合に揉めることが多いのです。例えば、家族の誰かが住んでいる自宅を売らないと遺産を分割できないケースなど。相続する不動産が共有名義になっている場合も注意が必要です。

遺産の分け方のルールとしては、まず遺言書があるかどうかが重要です。遺言書がある場合はその内容に従いますが、遺言書が無い場合には、相続人全員での話し合いによって遺産を分割します。全員の合意があれば、遺言書よりも遺産分割協議での取り決めを優先することができます。

遺産がすべて預貯金であれば遺産分割のハードルは下がりますが、財産構成が不動産に偏っている場合、ほかの相続人への代償金の準備や納税資金などで、残された家族が苦労することが多くなります。また、不動産を共有で承継することもトラブルが起こりやすいので避けた方がいいと考えられます。後で入居管理、資金分配、リフォームなどの手配について相続人間で意見調整が難しくなることがあります。

不動産の相続では1人に一棟ずつ相続させるように考えることが大切です。ボルテックスの「Vシェア」はひとつの建物を1人が保有するのではなく、建物を小口化して販売しています。資産の分割がしやすく遺産分割に適しているので、あとで揉めることも少なく活用しやすいと思います。

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相続の現状分析(財産評価の方法)

相続を考える上で重要なポイントは次の4つです。

  1. 現状分析……財産評価、財産の所在確認
  2. 遺産分割……相続人の確定、遺言
  3. 評価引き下げ……相続税の引き下げ
  4. 納税資金の確保……相続税の軽減、納税資金の確保

まず財産の全体像を把握することが重要です。預貯金、有価証券、土地、建物、保険などの相続税評価額を時価で概算します。建物、土地、保険については次の算出方法で評価額を計算していきます。

建物固定資産税評価額×1.0 ※貸家の場合は0.7(地域によって異なる場合あり)
土地①固定資産税評価額×1.2
②路線価×()㎡ ※路線価は国税局のホームページを参照
③時価×70%
保険保険金−500万円×法定相続人の数 ※マイナスになる場合は0評価

相続税を計算するためには、上記の相続税評価額から基礎控除を引きます。基礎控除は次のように計算します。

基礎控除……3,000万円+600万円×法定相続人の数

参考例として、遺産総額が1億円で相続人が妻と子2人だった場合には、次のような計算方法で相続税額を概算します。

【遺産総額】1億円 【相続人】妻、子2人

課税遺産総額1億円−(3,000万円+600万円×3人)=5,200万円
妻の相続分5,200万円×1/2=2,600万円
妻の相続税2,600万円×15%−50万円=340万円
子の相続分5,200万円×1/4=1,300万円
子の相続税1,300万円×15%−50万円=145万円
相続税の総額340万円+145万円×2人=630万円

相続不動産の見直し(小規模宅地の評価減)

相続税の総額が分かったところで次にやるべきことは、相続税に大きく影響を与える不動産を改めて見直すことです。不動産がどのようなときに評価減になるのか知っておくことが重要です。まず自宅については「小規模宅地の評価減」があります。被相続人が所有する、特定居住用宅地(330㎡まで)にその妻が住み続けて、主な住宅になる場合は減額割合が80%となります。また、貸付事業用宅地(200㎡まで)の場合には、被相続人の妻や親族が後任オーナーになってその貸付事業を続けていくのであれば、減額割合が50%となります。

貸付事業用宅地については、平成30年度の税制改正により、相続開始前3年以内に新たに事業のために購入された宅地等について、小規模宅地の評価減が適用されなくなりました。ただし、3年前から貸付事業を行なっていて新たに取得した宅地については適用されます。つまり、まったく新規に貸付事業を始めた場合には制限がかかり、3年間は小規模宅地の評価減を受けられないということです。

また、賃貸不動産の購入は固定資産税の評価減になります。3年程度で固定資産税評価額は当初の60〜70%になります。すなわち現金を不動産に変えることで、30%ほどの評価減になるということです。ただし、アパートなど、貸家の中に複数の貸室がある場合、相続発生時に空室であった部屋に対応する土地・家屋部分は原則として自用地・自用家屋(減額なし)として扱われます。空室の状況にも諸事情があることから、国税庁のホームページのQ&Aに相続時における貸家評価についての賃貸割合(貸家アパートの部屋ごとの入居の割合)の算定にあたっての記載があります。

国税庁のQ&Aは通達ではないため、貸家として評価するための空室許容期間は弾力的でよいと解釈されてきました。平成20年6月12日高等裁判所判決では、1年11カ月空室で貸家評価が認められています。しかし、この状況は最近の判例で変わってきており、平成27年の判決では空室期間3カ月で貸家評価が認められないケースも出てきています。今後は空室対策(入居率アップ)が重要になるとともに、空室ができにくい駅前や都内のプライムエリアの物件を探すことも必要になってくると思います。

相続における「贈与」の活用

相続を考える上では、贈与の知識も知っておくことが大切です。贈与にもいくつか制度がありますが、代表的な「暦年贈与」について説明します。贈与は110万円まで非課税になっていますが、その年の1月1日から12月31日までの間に贈与を受けた財産の価額を合計し、贈与税の計算をすることから「暦年贈与」といわれています。

年110万以下の贈与であれば、基礎控除によって贈与税はかかりません。例えば、10年間で毎年110万円ずつ贈与していく場合、合計で1,100万円の基礎控除を受けられます。相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)と合わせて、考えていくことが重要です。贈与税がどれくらいになるのかは、次の参考例をご覧ください。

【年500万円贈与するケース】

贈与税:485,000円(実効税率9.7%) ※実効税率=税額÷移転財産額

上記の実効税率9.7%のかかる相続財産での判定は、以下のような財産を持っている方に有効です。

  • 妻・子2人……1億4,616万円超
  • 妻・子3人……1億6,135万円超
  • 子2人…………1億2,045万円超
  • 子3人…………1億5,148万円超

また、贈与には3年内贈与財産の加算と税額控除があります。相続などにより財産を取得した人が、被相続人からその相続開始前3年以内に贈与を受けた財産があるときには、その人の相続税の課税価格に贈与を受けた財産の贈与時の価額を加算します。また、その加算された贈与財産の価額に対応する贈与税の額は、加算された人の相続税の計算上控除されることになります。すなわち、亡くなってから3年前まで遡って、その間に贈与を受けた財産があるときには、それをなかったものとして、相続財産の中に取り込んで計算をするということです。

ただし、3年内贈与加算には例外があります。贈与税の配偶者控除や住宅取得資金の贈与など、特例控除の対象となる生前贈与財産については、相続税課税対象の財産には加算されないので注意が必要です。

このような贈与を利用する場合や遺産分割にも、有効と思われるのが不動産小口化商品です。実物不動産と同等の扱いで評価減による圧縮効果も期待でき、口単位で移転や贈与も可能ですので、1口ずつ贈与していくことや相続での遺産分割にも有効に活用できるのではないかと思われます。

※評価額は物件により異なります。
※期待どおりの税務上の効果が得られない可能性があります。
※税制改正、その他税務的取り扱いの変更により効果が変動する場合があります。
※相続税の圧縮効果を含めた税務の取り扱いについては、個別具体的な事情に応じて適用が異なる可能性がありますので、税理士等の専門家にご相談ください。

>不動産小口化商品「Vシェア」とは

監修者

林 充之氏

税理士法人 YMG林会計 代表社員
税理士

YMGグループ代表税理士。株式会社KAIZEN代表取締役。日本経営コーチ協会専務理事。横浜で約100名のスタッフを抱える大型会計事務所の代表で、各地で積極的に講演活動を行っており、解りやすい語り口で好評を得る。主な著書に「その時会社は動いた」(万来舎・共著)、「経営コーチ」(万来舎・共著)、「ときめき会社法」(八千代出版・共著)、月刊税理「この資産にはこの評価」他多数。

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