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2023年の東京はこうなる! ~大規模開発計画から見るアフターコロナの東京~

目次

コロナ禍に見舞われながらも、東京の大規模開発はとどまることなく進み、2023年も竣工・着工するプロジェクトが目白押しです。「ウィズコロナ」から「アフターコロナ」に向けて、東京という都市はどう変化するのか? 2023年に注目される都心の開発プロジェクトはどれか? 都市研究の第一人者である明治大学名誉教授の市川宏雄氏に語っていただきました。

2023年は「ウィズコロナ」から「アフターコロナ」への転換点

 2023年という年は東京という都市にとって、長いトンネルを抜け、ようやく明るい日差しが見えてくる年になると私は考えています。東京は感染者数や死亡者数が海外に比べて桁違いに少ないにもかかわらず、経済活動も日常生活も抑制された状態が続いていました。すでにニューヨークやロンドンなど世界的な大都市がコロナ前の日常を取り戻しつつあるのを踏まえ、2023年には東京も本格的に活気を取り戻していくことでしょう。

 2023年の東京の不動産市況には、いくつかのプラス要因があります。第一に、コロナ禍でも東京の都市開発計画は着々と進められてきたこと。当初のスケジュールから遅れる例はほとんど見られず、大型の開発物件が2020年以降も次々と竣工しました。23年以降も同様で、このことは経済・ビジネスの回復を後押ししていくと期待できます。

 第二に、インバウンド(訪日外国人)の回復です。依然として日本を訪れたいという潜在的な外国人が多いことに加え、急激な円安もインバウンドには大きな追い風になります。コロナ前の水準まで戻るには少し時間がかかるかもしれませんが、入国制限の緩和などにともなって2023年にインバウンドが拡大するのは確かでしょう。

 第三に、東京の不動産に対する海外からの投資需要が相変わらず高いことです。コロナ禍にもかかわらず、都市別に見る不動産投資額のランキングで上位を占めるなど、東京の人気は続いていました。金利が低いことも海外からは魅力的で、さらに円安も海外から日本への投資を後押しします。東京の不動産需要は、日本国内だけでなく、海外からもますます高まると考えられます。

2023年の注目エリア〜圧倒的スケールの東京駅周辺に加え、虎ノ門・麻布台も要注目

 2023年に竣工・着工する開発プロジェクトの特徴や魅力について、エリア別にいくつか見てみましょう。

①東京駅周辺

 まず注目したいのが東京駅の八重洲口再開発地区「東京ミッドタウン八重洲」です。超高層複合ビル「八重洲セントラルタワー」や、その地下の国内最大級のバスターミナル「バスターミナル東京八重洲」第1期エリアなどが竣工、一部が先行開業しており、2023年春に全面開業の予定です。また東京駅北側の日本橋口方面では、再開発事業「常盤橋プロジェクト」が進行中で、高さ212メートルの常盤橋タワーは2021年6月末に竣工し、さらに高さ390メートルと日本一の超高層ビル「トーチタワー(Torch Tower)」が2023年10月に着工、2027年度竣工といいます。また、東京駅の南側に位置する有楽町の旧都庁第二・第三庁舎跡地もこれから再開発が始まる見通しです。

 さまざまなタイプの開発計画が相次いで着工・竣工することで、街の魅力が複合的に高まり、東京駅周辺エリア全体の付加価値はますます高まると考えられます。ビジネス、金融、商業、交通ターミナルなどあらゆる機能が集約する街をこれほど大規模に開発する例は、世界でも東京駅周辺ぐらいでしょう。

②虎ノ門・麻布台エリア

 もうひとつ私が注目しているのは、港区の虎ノ門・麻布台エリアの開発プロジェクトです。2014年に竣工した「虎ノ門ヒルズ 森タワー」から始まった「虎ノ門ヒルズエリア」の開発は、2023年7月に竣工する地上49階建ての「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」によって完成します。オフィス棟、住宅棟、商業棟、そしてステーションタワーと、4棟が人工地盤でつながります。東京メトロ日比谷線の虎ノ門ヒルズ駅とも一体となり、周辺一帯が「虎ノ門ヒルズ」という複合都市として機能し始めるわけです。

 一方、同じ2023年竣工予定の麻布台エリアの開発は「Modern Urban Village」というコンセプトを掲げ、緑あふれる新しい街作りを目指しています。高さ約330メートルの超高層ビルを中心に、オフィスや高級住宅はもちろん、インターナショナルスクールや高級ホテル、予防医療センターなどを誘致する計画で、明確に「外国人富裕層」をターゲットとしている点が大きな特徴です。ニューヨークやロンドンには富裕層の外国人向け居住エリアがあるのですが、東京にはこれまでありませんでした。新しいコンセプトの都市開発プロジェクトとして期待しています。

2020年代後半以降の開発プロジェクトも徐々に始動

③日比谷・内幸町エリア

 2030年代を見据えた興味深いプロジェクトとして、日比谷・内幸町エリアの「TOKYO CROSS PARK構想」があります。これは帝国ホテルから東京電力までの「駅・まち・公園一体の都市基盤整備による、まちへ開かれた街区の形成」とのコンセプトを掲げているのです。非常にユニークなのは、都心最大級の延床面積約110万㎡のプロジェクトとなる「内幸町一丁目街区」の再開発を、隣接する日比谷公園と道路上空公園でつなぐ構想です。街区のビル側からブリッジをかけて、回廊を歩いて日比谷公園に渡っていくことができる。公園の景観を眺めて楽しむだけでなく、緑豊かな空間の中で直接楽しめる公園と一体になった都市開発という提案です。第1期の完成が2030年度、全体完成は2037年度以降という長期計画ですが、2023年度には一部着工の見通しで、大きな話題を集めるのではないでしょうか。

④神宮外苑エリア

 しばらく先のものですがもうひとつご紹介したいのが、神宮外苑エリアのプロジェクトです。特徴は、一帯に国立競技場、神宮球場、秩父宮ラグビー場、東京体育館などのスポーツ施設が集積していること。老朽化が進んでいる施設もあるため、順次建て替えるとともに、新たに商業施設やホテルを建設し、緑とスポーツを楽しめる拠点として再整備していく構想です。

 なお、計画には周辺樹木の伐採と植樹が含まれており、長く親しまれてきた既存樹木の保存を開発計画に取り込めないかとの調整が続いています。そうした経過も含め、新しいタイプの都市開発として今後の動向を注目したいと考えています。

 以上見てきたように、東京の再開発プロジェクトは目白押しです。それぞれの開発を経て、東京の街の力学や商流・人流がどのように変わっていくのか、しっかり注視しておく必要があるでしょう。

お話しいただいた方

市川宏雄 様
いちかわ・ひろお
都市政策専門家

PROFILE
明治大学名誉教授、日本危機管理防災学会会長、日本テレワーク学会会長などの学術的活動に加え、文京区・中央区都市計画審議会会長、港区・渋谷区基本構想等審議会会長をはじめ国土交通省、内閣府等の政府委員を多数歴任。

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