日本の“ど真ん中”から経済を変える!
VUCA時代に成長する経営の新常識

目次
2025年1月28日に、ヒルトン名古屋(愛知県名古屋市)で中日新聞社主催の財務戦略セミナー「VUCA時代に成長する経営の新常識」が開催されました。金利上昇やインフレが続く先行き不透明な時代において、地域経済や企業を成長させるにはどのような財務戦略が有効なのか。第1部で財務管理体制構築の専門家である株式会社船井総合研究所の石田武裕氏が、持続的成長のために選択すべき投資と資金調達戦略を提案。第2部では弊社代表取締役社長兼CEOの宮沢文彦が不動産を活用した財務戦略について講演しました。
不動産保有戦略は新規事業参入の最適解

複雑に変化し将来の予測が困難なVUCAの時代において、中堅中小企業は「サステナグロースカンパニー」を目指すことが重要です──。第1部に登壇した船井総合研究所の石田武裕氏は、そう話し始めました。
「サステナグロースカンパニーは、『サステナブル(持続的)』と『グロース(成長)』を掛け合わせた造語。当社では先行き不透明な時代でも力強く成長し続けられるサステナグロースカンパニーを数多く輩出することを使命としています。コロナ禍を境に、中堅中小企業の経営者の方からいただくご相談の内容が変化しました。コロナ禍以前は『売り上げを伸ばしたい』『会社をスケールアップしたい』という要望が大きかったのですが、最近は『既存事業の成長鈍化』や『人材不足』『新規事業の開発』など経営全般にわたっている。企業の抱える課題が多様化する中で持続的に成長していくには、適切な組織規模のもと、事業変革のタイミングで自社の特性と時流に合った事業を選び、実行することが重要です」
そして、そのためには「中長期の経営計画・パーパス/ビジョン」「経営システム・変革戦略(IPO/M&A/HD化)」「人財採用・育成戦略」「財務・投資&資金調達戦略」「新規事業開発戦略」が必要だと石田氏は提言。特に新規事業への参入は不可欠だといいます。
「サステナグロースカンパニーの目標の1つと掲げるのが『100億企業』です。全国で売り上げ100億円を超える企業の割合は1%であり、大都市圏以外の地域であれば強い影響力を持つことができる。100億円を目指すには新規事業で業績を伸ばすことが重要ですが、異業種を立ち上げるとなると市場調査から計画策定、人材採用、資金調達まで時間もコストもかかります。そうした障壁が少なく、参入しやすいのが不動産投資ビジネスです」
中でも家賃収入のある保有型ビジネスであれば、人材採用が不要で有事の際も安定した収益が得られるうえ、節税対策にもなると石田氏。実際、コロナ禍で本業の利益が落ち込む中、所有する不動産の賃料収入で利益を確保した大手企業が少なくなかったといいます。
「創業100年を超える長寿企業の多くが貸事務所業や不動産投資をしています。資金力を高められれば、不動産保有戦略は新規事業参入の最適解といえます」
能動的な情報開示が金融機関からの融資獲得のカギ
ここで課題となるのが資金力です。石田氏は金融機関から事業の将来性の評価を受けて融資を得ることで、自己資金の拠出を最小限に抑えた投資が可能と話します。
「そのために必要なのが『自社主導の能動的な情報開示』です。例えば、私が担当したある不動産会社は2,000戸のアパート管理をしていましたが、オーナーの1人が相続を機に2棟130戸を売却することにしました。第三者に売却されると管理収入が大幅に減少してしまいます。そこでその不動産会社は2棟の取得を決意。年商を超える資金の調達が必須でしたが、決算説明時に取引銀行3行に対して詳細なビジネスモデルや収益モデルを提示して当該物件取得の必要性を詳細に説明しました」
その結果、3行の協調融資で年商の1.5倍となる約6億円の資金を調達。無事に物件を取得できたといいます。
「金融機関の担当者からは成長企業を支援したいという声をよく聞きますが、投資額が大きくなるほど審査は厳しくなるもの。だから、支援するには顧客企業のことを把握しなければなりませんが、1人で何十社も抱えている担当者は個々の詳細まで調べる時間がないのが実情です。つまり、企業が融資を得るためには、自らが対話と書面の双方で、自社の強みやビジネスモデル、事業計画の情報を開示していくことが重要なのです」
石田氏は、今後も多くの企業が持続的に成長していけるよう財務支援に力を入れていくと結んでいます。
永続的な供給が困難なものほど資産価値が維持できる

第2部では、宮沢が「希少性を資産に変える未来を拓く財務戦略」をテーマに講演しました。弊社では、「1社でも多くの100年企業を創出する」という想いのもとで「100年企業戦略」を掲げ、お客様の企業価値と事業継続性の向上に努めています。
「100年企業戦略の中核となるのが『リスクに備えた強い財務戦略』です。VUCA時代のリスク管理で最も大切なのは『本業に連動しない収益が得られ、かつ売却可能な資産を持つこと』であり、その手段として貸事務所業が挙げられます。大手調査機関のデータによると、創業100年を超える企業で最も多い業種は貸事務所業です。それも、創業時から貸事務所業をしているのではなく、本業の傍らに始めたにもかかわらず、月日を経るうちに主業になったというケースが多い。それだけ貸事務所業の事業継続性は突出しているといえます」
かつて、不動産は現金や国債に比べて安全性が低いといわれてきました。しかし、バブル崩壊やリーマン・ショックの際に現金や国債が大量に発行された結果、需給バランスが崩れて逆転したと宮沢は話します。
「株式数も国際的に見るとどんどん増加しています。そのような状況下では永続的な供給が困難なもの、つまり希少性の高い資産ほど価値が維持できます。それが不動産であり、特に東京都心部の商業地は価値が高い。住宅地で囲まれているため拡大が難しく、供給に限りがあるからです。ただ、大手デベロッパーによる大規模再開発でビルの大型化が進んだ結果、10億円以下の小規模ビルは価値が下がり淘汰されています。つまり、需給バランスや市場競争における賃料変動が小さい都心の中規模以上のオフィスビルが希少性の高い資産といえます」
規模、立地、グレードが端的に表される希少性の指標の1つが賃料坪単価です。実際、東京都心5区(港区、千代田区、中央区、渋谷区、新宿区)の地価公示価格は2001年の約2.3倍に上昇し、オフィスの賃料はビルの規模が大きいほど坪単価も上昇率が高くなっています。
しかし、中規模ビルでも価格は数十億を下りません。そこで物件を一棟で仕入れ、フロアまたは部屋ごとに分譲したのが弊社の「区分所有オフィス」です。『VORT』ブランドとして展開する区分所有オフィスの物件は、2024年12月末現在で199棟に上ります。また、銀座の『GINZA SIX』のような従来は不動産投資のプロしか購入できないハイグレードビルのオフィスを小口化して投資を可能にした「Vシェア」や、2024年に長野県の軽井沢町に竣工した共同所有ヴィラなど、弊社の事業を紹介したうえで、宮沢は次のように述べています。
「近年、東京都心部の不動産は価格上昇のスピードが加速しています。トランプ政権の経済政策によって株価や為替に大きな影響が出ると予測される中、不動産を持つ者と持たない者とでは資産における差が大きく開く可能性が非常に高い。企業防衛という視点からも、不動産投資を検討していただければと思います」
[編集]株式会社ボルテックス コーポレートコミュニケーション部
[制作協力]株式会社東洋経済新報社
- 本記事に記載された情報は、掲載日時点のものです。掲載されている情報は、予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
- 本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、資産運用・投資・税制等について期待した効果が得られるかについては、各記事の分野の専門家にお問い合わせください。弊社では、何ら責任を負うものではありません。