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価値のある資産は長期に渡って価値を保ち続ける
イギリス王室に伝わる貴重な宝石

目次

 2022年9月、イギリスの女王エリザベス2世の国葬がロンドンのウェストミンスター寺院で執り行われました。日本でもテレビ中継されたため、ご覧になった方も多いと思われますが、葬儀のセレモニーでひと際目を惹いたのが、女王の棺の上に置かれた「大英帝国王冠」。数々の宝石が埋め込まれた煌びやかな王冠は王権の象徴であるのはもちろんですが、一方でイギリスが歩んできた歴史を今に伝える貴重な文化財という側面も持っています。そこで今回は、王冠に散りばめられた宝石にまつわる伝説やエピソードから、イギリスの歴史、宝石の持つ意味を紹介したいと思います。

王冠の宝石に秘められたイギリスの歴史

 大英帝国王冠と聞くと、大英帝国の時代から現在までひとつの王冠が代々継承されてきたと思われがちですが、実際には補修やリメイクが繰り返されており、エリザベス女王の葬儀の際に棺の上に置かれていた王冠も、エリザベス女王の父ジョージ6世の戴冠式の際(1937年)に新調されたものです。この王冠は、金のフレームにダイヤモンド2868個、サファイア17個、エメラルド11個、真珠273粒、ルビー5個など、貴重な宝石が数多く散りばめられているのが特徴で、飾られた宝石のなかにはイギリス王室の歴史のなかで重要な意味を持つ石がいくつか含まれています。

 そのひとつが、イギリスの植民地支配の歴史を象徴する、巨大なダイヤモンド「カリナンⅡ(317.4カラット)」です。このダイヤは、エドワード7世の66歳の誕生日を記念して、1907年にイギリスの植民地トランスヴァール政府(現南アフリカ共和国トランスヴァール州)から献上された世界最大のダイヤの原石(通称カリナン・3106カラット)を分割、カットしたもの。カットを依頼されたオランダのアッシャー社の技師が、原石を割るために刃を入れた瞬間、プレッシャーのあまり失神。さらに、ふたつにきれいに割れたのを見て再び失神したという逸話が今も語り継がれています。

 カリナンⅡの上部にセットされた「黒太子のルビー」と呼ばれる140カラットのレッド・スピネルも王室にゆかりの深い宝石です。1415年のアジャンクールの戦いでイギリスがフランス軍を打ち破った際、ヘンリー5世の兜に飾られていた石で、戦いで兜は破壊されてしまったものの宝石と本人は無事だったことから、その後600年以上に渡ってイギリスの守護石として、王侯たちの間で大切に受け継がれてきました。
また、冠の頂点の十字の中央には「聖エドワードのサファイア」と呼ばれる石がセットされていますが、これは迫害に屈することなく信仰を貫いた善なるものの象徴・エドワード懺悔王の指輪(または飾り冠)に使われていた石といわれています。

呪われた伝説のダイヤモンド「コ・イ・ヌール」

 大英帝国王冠ではありませんが、エリザベス女王の母親であるエリザベス皇太后の王冠に飾られている「コ・イ・ヌール」と呼ばれる世界最古のダイヤモンド(105カラット)も、数々の伝説やエピソードに彩られた謎の宝石として有名です。このダイヤはもともとインドに伝わっていたもので、その名はインドの神話や伝説のなかにたびたび登場してくるのですが、採掘時期や発見された場所ははっきりしません。南インドのカーカティーヤ朝の王が仏像(シヴァ神)の第3の眼として寺に寄贈したところ盗難に遭い、その後は、インド、ペルシア、アフガニスタンなどさまざまな王侯のもとを流転。最終的にはインド帝国を支配した大英帝国の女帝ヴィクトリア女王に献上されたと伝えられています。コ・イ・ヌールとは「光の山」を意味し、19世紀末に南アフリカで大粒のダイヤが次々に発見されるまでは、世界最大のダイヤモンドとされていたようです。

 数多くの君主たちを争いに巻き込み、暗殺や拷問といった悲劇を引き起こす原因ともなったコ・イ・ヌールには、「男性が所有すると破滅する」という不吉な言い伝えがあります。そのためイギリスに渡ったコ・イ・ヌールは、王ではなく、王妃の間に代々受け継がれてきました。とはいえ、先日亡くなったエリザベス女王は、宝石の血塗られた過去の歴史を気にしてか、コ・イ・ヌールの王冠を被ることは生涯一度もなかったといわれています。

 ちなみにコ・イ・ヌールを巡っての所有権争いは、現在も続いていて、インドがイギリスから独立して以降、インド政府はたびたびコ・イ・ヌールの返還をイギリスに求めてはいるものの、イギリスは未だ要求を拒否し続けているようです。

宝石の価値は金額だけでは測れない

 コ・イ・ヌールをインドに返すべきかの議論はさておき、こうした歴史や伝説を秘めた宝石が、何百年もの間、さまざまな人々の手を経ながら、時代や場所を超えて受け継がれてきたことには驚かされます。イギリスでは王冠に用いられている宝石は個人資産ではなく、国有財産と定義され、王室といえども勝手に売買することはできないため、資産価値についてはなんともいえませんが、その歴史的価値は永遠といってもいいでしょう。

 宝石をはじめ、形のある現物資産を次の世代に継承していくことは、資産を守ることにつながるだけでなく、国家や企業、あるいは家族の思いや歴史を、次世代に伝えるという意味も持っています。それはイギリスに限ったことではなく、日本の皇室にも由緒あるモノを代々受け継ぐという伝統が見られます。たとえば天皇家に伝わる三種の神器(鏡・剣・勾玉)もそうですし、明治以降は、宝冠などの装飾品も皇室に代々受け継がれています。2019年5月、天皇の即位の儀式の際、皇后(雅子妃)は、プラチナの上に1000個ものダイヤがあしらわれたティアラを身に付けていましたが、これは明治天皇の皇后・昭憲皇太后がドイツに発注したもので、雅子皇后で五代目の継承者になるそうです。

 イギリス王室や日本の皇室のように高価な宝石類が散りばめられた装飾品を次世代に残すのは無理だとしても、ダイヤの指輪ひとつでもそこにドラマがあれば、意味のある資産となるはずです。おじいちゃんが一緒に苦労してきたおばあちゃんのために感謝の気持ちを込めてプレゼントしたダイヤの指輪が、子ども、さらには孫、ひ孫の代へと、愛の証として受け継がれていく……考えただけでも素敵ですよね。とくにダイヤの場合は、国際的な価値基準が定められているため、換金性が高く、どうしても資金が必要になったときは、次の世代を支える力にもなってくれるはずです。事業継承や資産防衛を考えている経営者の方は、ダイヤモンドを投資の選択肢のひとつとして考えてみてはいかがでしょう。

記事監修:Shinwa Auction株式会社

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