運用の転換期。インフレ警戒で実物資産の需要が高まる。
目次
新型コロナウイルスのパンデミックにより停滞した経済を立て直すべく、世界各国で大規模な金融緩和が実施されました。
その反動を受けた世界経済は物価上昇を続けており、アメリカは量的緩和の終了時期を2022年3月に前倒しすることを決定しました。
インフレが目の前まで迫っている現状から、インフレ時に相対的に価値の高まる実物資産へ投資する方も次第に増えることが予想されます。
そこで、本記事では実物資産の中でもダイヤモンドを例に、いかに実物資産がインフレ時に有効か、またインフレ時にどのように資産を守っていくべきかについて解説いたします。
世界各国の金融政策
新型コロナウイルスのパンデミック以前、世界各国で金利を引き下げる金融緩和が行われました。
日本国内でも、2013年から物価上昇率の目標値を2%と定め、停滞した経済を回復させるためにゼロ金利政策などの金融緩和が行われました。
金融緩和によって金利が下がることで企業や個人が資金を借りやすくなるため、経済は活発化します。
しかし、新型コロナウイルスにより停滞した経済を回復させるためのさらなる金融緩和によって、世界各国で物価上昇が発生しており、この状況が続くことで起こるインフレが危惧されています。
ダイヤモンドの価格事情
ジュエリー市場においてもコロナウイルスによる影響を受けています。パンデミックが始まった当初、実物資産であるダイヤモンドはオークション等の業者間取引イベントの開催を見合わせるなどの影響を受けました。
価値の高い実物資産として知られているダイヤモンドですが、その価格は、国際基準とされている「ラパポート・ダイヤモンド・レポート」によってある程度決められています。
実際に2020年3月の新型コロナウイルスが懸念され始めていた時期には、ダイヤモンド価格が弱含みに推移していました。4月頃には「ラパポート・ダイヤモンド・レポート」の指数が大幅に下落しています。
「ラパポート・ダイヤモンド・レポート」とは、米国のデビアス社が毎週一回発表しているダイヤモンドの相場価格を決定する基準となる指標です。
新型コロナウイルスの影響を受けたことも原因ですが、同年8月に中国にて贅沢禁止令が出されたことや、人工合成ダイヤモンドが天然ダイヤモンドの需要を上回る可能性が危惧されたこともひとつの要因として考えられます。
新型コロナウイルスの脅威は続き、ダイヤモンドへの需要は激減しました。
それでも2020年6月頃には一部のグレードにおいて「ラパポート・ダイヤモンド・レポート」の指数は回復基調にあり、12月25日に更新された「ラパポート・ダイヤモンド・レポート」では、高品質ランクのダイヤモンドを中心に指数が上昇しています。
2021年4月頃には、ほぼ横ばいの価格推移となっております。
上記からコロナ禍においてもダイヤモンドは安全資産として効果を発揮することが証明されたのではないでしょうか。
現金よりも資産分散へ
新型コロナウイルスにより、金融市場と実体経済におけるギャップが生み出されました。実体経済はまだ回復途中であるにもかかわらず、日本株式市場は大幅な上昇となり、バブルともいえるような経済状況となりました。
金融緩和によって、過剰流動性相場が作られたことにより資金が株式市場へ流れました。
金融緩和が継続される期間が延びるほど、現金の価値が今後さらに下がっていくことが危惧されます。
インフレ時における資産防衛として、現金などの流動資産だけではなく、ダイヤモンドや不動産といった実物資産を保有することも有効な手段の一つです。理由は、物価上昇が継続的に続く経済において、現金などの流動資産は価値が下落し、実物資産は価値が上昇するためです。昨今の不透明な経済において、資産形成を現金などの流動資産のみで行うことはリスクが高いといえます。
資産分散の際の注意点
米連邦準備制度理事会のパウエル議長は2021年11月までは、「新型コロナウイルスをきっかけにしたインフレは、一過性のものだ」と繰り返してきました。しかし、11月末には意見を撤回しています。
世界経済はインフレへの歩みを止めず、世界各国が米国のように金利上昇を開始するのも時間の問題かもしれません。
このような状況下においては、現金を過剰に保有するよりも実物の固定資産などに資産の一部を組み替えておき、世の中の変化に合わせて運用していくことが大切になります。
まとめ
ここまで、インフレ経済における現金などの流動資産のみを保有することの危うさについてお伝えしてきました。
新型コロナウイルスによる世界的かつ大規模な金融緩和、そしてインフレ経済と変化の大きな状況だからこそ最適な資産防衛を行う必要があります。
改めてご自身の資産における現金などの流動資産の構成比を確認し、これからの時代の変化に対応する資産体制を整えてみてはいかがでしょうか。
記事監修:Shinwa Auction株式会社