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経営者インタビュー#16
錦城護謨株式会社
代表取締役社長 太田泰造 様

目次

これまで弊社メールマガジンの人気シリーズとして全15回にわたりお届けしておりました 『経営者インタビュー「未来へ繋ぐ、わたしの羅針盤」』を、メールマガジン読者の皆様からの反響を受けまして、Vコラムとしても掲載をすることとなりました。

今後新たに実施するインタビューはもちろん、過去にメールマガジンで配信をしたインタビューについても、ご承諾いただいたものについては、再編集してVコラムとして更新をしていく予定です!

今回はVコラム版の第1回として、錦城護謨株式会社 代表取締役社長 太田泰造 様へのインタビューをお届けします。

昭和11年、ゴム材料商社として産声をあげた錦城護謨株式会社は、ゴム製品の製造・販売事業、地盤改良事業、さらには視覚障害者歩行誘導用ゴムマット製造を行う福祉事業、シリコーン素材を使った知育玩具製造を行う教育事業、そしてガラスと同等の透明度を持つシリコーンゴムでできた割れないグラス「KINJO JAPAN」の開発など、時代の変遷とともにビジネスの幅を拡張してきました。

創業86年目の老舗企業を牽引する太田泰造社長に、これまでの事業のターニングポイントや、今後への抱負を語ってもらいました。

事業を通じた社会貢献を社員にわかりやすく
技術力を生かした新ブランドでモチベーションアップ

太田社長が先代から事業を引き継いだのは2009年。「決められたレールの上を走るのは嫌」という思いから、もともとは家業を継ぐ気はなかったといいます。

「富士ゼロックスという会社でサラリーマンをしていたのですが、入社して6年後に父に呼ばれました。父への反骨心から別の道を選び、まだ何も成し遂げてなどいない、何ができるかのかも分からない…そんな自分に声をかけてもらえたことが嬉しかったのを覚えています」とその時の気持ちを素直に話してくれました。

社長就任時は、リーマンショックの直後の混乱期。

「かなり大変な時期ではありましたが、いい時よりも悪い時からスタートできたことが、結果的にはよかった。ある意味、もう上にあがるしかない状態ですから『それに向けてどうしていこうか』とシンプルに考えることができました」と当時の心境を振り返ります。

すべては「人」がベース、すべては「人」が作る。
組織改革・女性総合職登用に着手

入社した直後から組織の改革に乗り出しました。まず参考にしたのは、富士ゼロックス元取締役会長・小林陽太郎氏の「人を大事にする」という考え方です。

「富士ゼロックス入社後の研修では、営業のことだけではなく、経理やマーケティングなど、人を成長させるための知識を給料をもらいながら3ヵ月間も学ばせてもらいました。まだ売上を1円もあげていない私たちの将来に投資してくれていたわけです」

すべては「人」がベースにあり、すべては「人」が作る。人材を育成することこそ、会社にとってもプラスになるという信念に共感し、研修制度や人材育成の仕組みの構築に着手。次にこれまで少なかった「女性総合職」の採用にも挑戦しました。

「今でこそ、女性が活躍しやすい環境、といってもらえますが、私が入社した時は、事務職員が数名と、パートスタッフがいた程度。女性の総合職はいませんでした。『性別と能力は関係ない、男性と女性で区別するのは間違っているのではないか。また、女性の総合職採用が会社を変える』という確信があった私は、『会社を変えるため女性を採用したい』と当時社長だった父に伝え、私自身はまだ部長であったにもかかわらず、『何かあれば自分が責任をとる』と押し切って、女性総合職を2名採用しました。」

「それから毎年、女性総合職を採用し続け、今ではごく自然になりました。いちばんの変化としては、社外への気配りや細やかさが、格段に向上しました。会社を変えるため一緒に走ってくれたことを、本当に感謝しています」

働く意味や意義、価値を社員に示す
自社ブランド「KINJO JAPAN」誕生

創業時から積み上げてきた工場力・技術力・対応力こそが、錦城護謨株式会社最大の強み。ゴム製品をはじめとするものづくりを拡張させ、さまざまな分野への進出を続けています。その一つのチャレンジが、割れることのないシリコーン素材のグラス「KINJO JAPAN」のオリジナルブランド展開です。

「BtoB企業や、部品メーカーでは、事業を通じた社会貢献はしているものの、エンドユーザーと直接繋がっている実感がなかなか湧きません。そのために、社員の仕事に対する誇りや、やりがいが見えにくい。技術力もあり、色々なモノづくりをしていても、目の前の仕事を単調にこなすだけ、という社員の士気に悩んでいました。モチベーションが上がらないと人材定着も難しく、離職も増えてしまいます。そこで、「錦城護謨」の事業を広く世の中に知ってもらうために、自社ブランドの商品立ち上げを企画しました」

2019年に八尾市の事業者とクリエイターを結び、八尾のモノづくりの力、魅力を世界に発信する行政事業「YAOYA PROJECT」に参加したことも、新ブランド誕生のきっかけになりました。自分たちの技術力をPRしたところさまざまな分野のデザイナーから「こんなモノを作りたい!」と多数の反応が寄せられたのです。

ラグジュアリーな切子ガラス調のデザイン、その見た目からは想像できない機能性とシリコーンゴムだからこそできる多様性を兼ね備えた画期的なシリコーンゴム製グラス「KINJO JAPAN」は、八尾市が誇るトップレベルの職人と、創作意欲の高いデザイナーのコラボレーションにより、錦城護謨の新ブランドとして誕生しました。

「平成以降は、『何のために働くのか』という働く意義を、特に求めるようになった気がします。『生活するために働く』というだけでは、社員として定着させることが難しい。働く意味や意義、価値を示してあげる必要があります。そして、このような社会環境の変化に敏感に反応していくことが、経営者として大切だと思います」と、太田社長は先代のころにはない新しい取り組みを振り返り、感慨深げに語りました。

アフターコロナを見越し、種を蒔く。
今が大きなターニングポイント

社長就任から十数年、そのなかにおける「ターンニングポイント」を聞くと、太田社長の口からは「まさに、“今”です」という回答が返ってきました。

「2020年のオリンピックで景気が上がり、インバウンドが活気づくことで「プチバブル状態」になると思っていました。ところがそこにコロナが来てしまいました…。今は、アフターコロナを見越して、種を蒔いています。その1つが、先ほどのオリジナルブランド『KINJO JAPAN』の立ち上げです。2021年の上半期が、錦城護謨としての大きなターニングポイントとなったといえます」

コロナ禍の先を見据え、今のうちに次の一手を打つことは、すべての経営者に共通する課題です。そのために太田社長が参考にするのが「孫子の兵法」だといいます。

「歴史を読むことが子供のころから好きでした。どうすれば国が豊かになって、どうすれば国が亡ぶか。歴史を読んでいると、文明が進化しても人間の本質は変わっていないと感じます。そのため、これから先も人間の本質が変わらないと考えれば、まさにこれまでの歴史は、私が判断するべき答えの物差しになります。歴史は私の教科書であり、先生であり、目指すべき理想の姿です」

さらに先の事業承継については、「企業を継続させることが一番大切なこと。そのために、自分の子供が社長になることがベストであれば、その選択をしますが、能力や想いが足りないなら、そうしないほうがいいと思っています。会社が潰れてしまいますから。オーナー系企業では、オーナー家が継ぐほうが、たしかに事業承継はスムーズで、社員の納得性も高くなるかもしれませんが、その前に、継げるだけの素養と覚悟が新社長にあるのかどうか、は譲れないと考えています」と冷静に話します。

最後に今後の事業の展望について、語ってもらいました。

「ずっと苦しい中で守りの状態でしたが、ようやく攻めの風が吹いてきた、と肌で感じます。その歩みを止めることなく、加速していくために、みんなの背中をどう押してあげるか、その環境を作ることが経営者の仕事だと考えています。今後は、現在の経営課題だけではなく、AI・DXなどのデジタル化にも向き合っていく必要があります。また、人への投資だけではなく、設備や工場への投資も必要で、このサイクルを回し続けなくてはなりません。そのためには、社員とも積極的に議論を重ねながら、やるべきことに一つひとつ(丁寧に)取り組んでいきたいと思います。」

先代から引き継いだ会社の技術や伝統を守り、それをさらに新たな挑戦へとつなげていく、太田社長の事業展開は、同じような状況や課題と向き合う多くの企業のモデルケースになるといえるでしょう。

錦城護謨株式会社

http://www.kinjogomu.jp/

KINJO JAPAN

https://www.kinjojapan.com/

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