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経営者インタビュー
株式会社赤尾
代表取締役 赤尾 隆 様

目次

これまで弊社メールマガジンにて人気シリーズとして全15回にわたりお届けしておりました 『経営者インタビュー「未来へ繋ぐ、わたしの羅針盤」』を、メールマガジン読者の皆様からの反響を受けまして、Vコラムとして掲載をすることとなりました。
完全新作のインタビューはもちろん、過去にメールマガジンで配信をしたインタビューについても、ご承諾いただいたものについては、再編集してVコラムとして更新をしていく予定です!
今回は 株式会社赤尾 代表取締役 赤尾 隆 様へのインタビューをお届けします。

明治30年創業以来、消防ホースを基盤とした消防・防災用品の専門販売業者として、多様化する災害対処する消防隊員に、「安全」と「安心」を提供してきた株式会社赤尾。「安全の歴史は赤尾の歴史」をコンセプトに、大阪で社会の安全と安心を守る事業を展開する老舗企業の5代目・赤尾隆社長に話を伺いました。

消防・防災関連商品を柱に、コロナ禍でも売上を拡大

消防機関への販売をメインの業務とする株式会社赤尾。ここ数年のコロナ禍による影響について、「2020年3月頃から、通年の売れ筋商品である消防用のホースなどに買い控えがあり、厳しい状況になりました。一方で救急関係の商材はマスクから始まり、感染防護服など全般的に順調でした。コロナ禍でさらに別の災害が起きたら困るだろうと考え、救助場所・避難場所への防災用品の販売を厚くしたため、結果的には前期よりプラスを記録することができました」

「コロナの感染予防で注目された陰圧式の救急車を取り扱っており、国内でも高いシェアを誇っています。消防向け商品一本に頼らず、多角的に商品を展開していたことが大きかったと思います」

救急・防災に関する商材は、今回のパンデミックに限らず、例えば震災などの影響で需要が変動することはあるといいます。

「震災や台風などが起きた直後ではなく、半年後・1年後に新しい救助用品や防災用品の需要が増えることがあります。また、保存食などはどうしても賞味期限が切れてしまいますので、定期的な買い替え需要があります」

ユーザーの声を聴き、ニーズに応える商品開発

消防職員や消防団員、また防災関連品を必要とする役所関係のお客様に対し、少しでも役に立つ商品を提供したいという思いで新商品の開発にあたる赤尾社長。「メーカーが売りたいものが売れる時代ではない、消費の最前線にいるユーザーのニーズを発掘し、商品を提供することが仕事」と、現場の声を営業担当者が的確に把握し、それを社内共有して商品開発に繋げています。

また「この地域ではこういうものが必要とされている」「こういう需要が高まっている」といった、専門業者であるが故に得られる情報を、国内全域に発信する活動も積極的に展開。コロナ禍で各地域の消防職員・団員、役所の情報共有が遅れている中で、最新情報を紹介するこのサービスは、お客様から好評だそうです。

「お客様が欲しているものを素早く提供する体制を整えること。それが当社のモットーです。小さな企業ですから、フットワークの軽さ、スピード感は常に意識しています。ユーザーの声・情報を聴きながらしっかり商品を開発していく。それに尽きると思います。新商品ができたら、まずはユーザーの所に持っていきますが、最初から『これはいい』と評価されることはまずありません。『こういう用途に使えるものはないか』『もっとこんな機能がほしい』など意見をもらい改善を繰り返していくのです。こうすることで自分達の専門領域をとにかく深く掘っていく。それが私たちの一番の戦略です」

また、専門領域の深堀りと同時に、その幅を広げていく活動も大切であるとする赤尾社長。

「父の代のとき、緊急車両の販売に取り組んだものの、どうしてもその後のメンテナンス・保守がうまくできず、一度諦めたことがありました。その後、当時常務だった私がもう一度やってみようと提案。緊急車両は簡単に買い替えが効かないため、丁寧にメンテナンスする必要があり難易度が高い商材なのですが、メーカーの協力を得ながら事業として成長させることができました」

「消防」「救急」「防災」といった基本軸は守ったうえで、その周辺の領域にも可能性を見い出す。常にお客様に寄り添い、お客様に必要とされる企業であり続けることでたどり着いた、赤尾社長の確かな経営手法といえます。

「為さねば成らぬ何事も」挑戦することの大切さを教育

学校卒業後は別の会社で経験を積み、4年後、父が社長を務める会社に入社した赤尾社長。その14年後に、株式会社赤尾の5代目社長に就任しました。

「社長を引き継いだときは、会長になった父が健在でしたが、1年も経たずして亡くなってしまいました。その際に苦労したのが自社株の移行です。今思えば、資産相続について、前もってしっかりと準備しておくべきでした。親が元気なときにそういう話はなかなかしづらいもの。これは同族企業に共通のテーマではないかと思います」

社長就任後も、事業の危機ともいえる難局を乗り越えてきました。

「長くお付き合いしているメーカーの消防用ホースが、消防法により検定を受けなければならないが、検定受験時の不正が発覚し、販売できなくなったことがありました。当時売上の25~30%を占める主力商品でしたので、非常に厳しい状況に。周囲からは「メーカーや主力商品を変更するべきでは」とも言われましたが、これまで信頼関係を築いてきたメーカーと私たちは一蓮托生という思いで信頼回復のために奔走し、4、5年かけて販売再開までこぎつけました」

そんな苦難を乗り越え、安定的な企業として存続するには「人材育成、社員教育」が鍵と赤尾社長は語ります。

「皆がやる気を出してくれるような環境を築けば、ユーザーから『赤尾があってよかった』といっていただける会社にすることができます。そんな思いを持ちながらものづくりができる人材を育てていきたいと考えています」

あわせて、財務体質の強化にも余念がありません。「もし一定期間仕事がとれなくなっても、社員が路頭に迷わないような基礎はできつつあると思っています」と話してくれました。

最後に赤尾社長が尊敬する経営者、影響うけた格言を聞きました。

「考え方の参考にしているのは、上杉鷹山の『為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり』という言葉です。『チャレンジした結果、失敗してしまうことは仕方ない。成らないのは、何にもしないからだ』と、社員には常日頃指導し、とにかく挑戦することの大切さを伝えるようにしています。失敗しても、それが成長の土台となり、いつか成功につながると信じています」

お客様、社員、そして安全な社会の形成のため、赤尾社長の挑戦も続いていきます。

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