『VORTのある街』
~VORT外苑前Ⅲ 編~

Ⅰ. エリア紹介

青山通りより「聖徳記念絵画館」を望む。 2018.8.30撮影

青山通りより「聖徳記念絵画館」を望む。 2018.8.30撮影

青山通りから明治神宮外苑に続く、銀杏並木道。146本もの銀杏が300mに渡って植えられ、秋には黄金色のトンネルとなり、その美しさは数多くの映画やドラマのロケ地として有名です。
奥には神宮外苑のシンボル的存在である「聖徳記念絵画館」。館内には、明治天皇・昭憲皇太后のご聖徳を後世に語り継ぐため、旧華族から献納された絵画が展示されています。
大正15年に建設されたこの洋風庭園は、“国民の鍛練の場であり、憩いの場である”という創建の趣旨で造営され、2020年東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとして建設が進む新国立競技場のほか、神宮球場、ゴルフ練習場、アイススケート場、秩父宮ラグビー場など各種スポーツ施設が立地しています。
神宮外苑は、別名「神宮の杜」とも呼ばれ、その希少な緑の空間を惜しみなく提供しています。1984年以来、夏の風物詩として都内で自然と親しみながら生ビールを楽しむ「森のビアガーデン」や、夜空を彩る12,000発の花火と音楽の祭典である「神宮外苑花火大会」、また黄葉の時期に開催される「いちょう祭り」は季節のトピックスとして各種メディアにも取り上げられ、近年はエリア全体で約180万人を超えるにぎわいをみせています。

Ⅱ. 周辺の歴史を辿る

長青山 寶樹寺 梅窓院  2018.8.30撮影

長青山 寶樹寺 梅窓院  2018.8.30撮影

銀座線「外苑前」駅の近くに、「梅窓院」という浄土宗のお寺があります。正式名を『長青山 寶樹寺 梅窓院』と言い、その歴史は古く、寛永20年(1643)徳川秀忠の近侍として仕えた家臣、青山幸成が逝去した際、その下屋敷内に13,247坪の地を画して、側室を大檀越として建立されたものです(現在の梅窓院は三千余坪)。
以後、青山家の菩提寺としてその累代が眠ります。元々青山家は岐阜の郡上(ぐじょう)藩主。その縁から、例年6月には青山の地で「群上おどり」が盛大に行われます。
現在の青山一帯に徳川家康から土地を賜ったのが、幸成の父に当たる5代目青山忠成(1551~1613)。家康(1542~1616)とほぼ同時期を生きた人物です。
幼少から家康の小姓を務め、天正18年(1590)家康関東入国の際には、諸事の裁断を任されるほど信頼厚く、慶長6年(1601)には本多正信・内藤清成と共に関東総奉行を仰せつかり、権勢を振るいました。
当時の青山一帯は原野同然であり、青山家の敷地は広大無辺なもので、南は麻布、北は千駄ヶ谷、東は赤坂、西は原宿、渋谷まで及んでいました。これだけの広さを獲得した理由は、家康と鷹狩りに出かけたときに「馬で乗り回しただけの土地を与える」と言われて獲得した土地であったからと言われています。
しかし現在、青山家の屋敷跡は青山墓地となって庭園は存在しません。内藤家の屋敷跡が新宿御苑として残っているのとは対照的と言えるでしょう。

Ⅲ. 周辺の開発状況

「VORT外苑前Ⅲ」の周辺地図。周辺では多くの開発が進んでいる。 弊社作成

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「VORT外苑前Ⅲ」の周辺地図。周辺では多くの開発が進んでいる。 弊社作成

建設が進む新国立競技場の様子。2018.8.30撮影

建設が進む新国立競技場の様子。2018.8.30撮影

半世紀ぶりとなる東京五輪・パラリンピック開催まで2年を切り、神宮外苑では競技施設やインフラ整備が急ピッチで進んでいます。
まず東京五輪で開会式を行うメインスタジアム、新国立競技場(東京・新宿)。1500億円を投じて来秋完成する6万8000人収容の巨大施設がその威容を現しつつあります。
コンセプトは、日本の気候・風土・伝統を踏まえた「木と緑のスタジアム」で、随所に木材を活用し“日本らしさ”を演出。さらに真夏の開催に備え、施設内に風を効率良く取り込む「風の大庇」を設けるなど、暑熱対策にも力を入れています。
その西側にある東京体育館(東京・渋谷)は卓球会場となる予定で、道路上に新国立と直結する歩行者デッキを整備します。

聖徳記念絵画館の左斜め後方、フットサルコート跡地では、「(仮称)神宮外苑ホテル計画」が進行中。建築主は三井不動産で、明治神宮から土地(敷地面積4,330㎡)を借りる形で定期借地契約を交わし、建築面積1,730㎡、延床面積15,800㎡、地上13階建、高さ50mのホテルを建築します。
客室は350~400室を予定。1階はレストランを開設、外装は聖徳記念絵画館などと調和するアースカラーを基調とし、2019年6月竣工予定です。

日本体育協会・日本オリンピック委員会(JOC)新会館(仮称)建設計画

日本体育協会・日本オリンピック委員会(JOC)新会館(仮称)建設計画
2018.8.31撮影

新国立の南側、旧都営霞ケ丘アパート敷地の隣接地では、地上16階・地下2階建て、高さ72メートルの複合施設「日本青年館・日本スポーツ振興センター(JSC)本部棟」(2017年7月竣工)を筆頭に、地上14階・地下1階建て、高さ63.7メートルの「日本体育協会・日本オリンピック委員会(JOC)新会館(仮称)建設計画」(2019年4月末完了予定)≪2018年4月1日より日本体育協会は日本スポーツ協会に改称≫や、昭和39年(1964年)に旧東京オリンピックの外国報道陣のための宿舎として建てられた「外苑ハウス」(7階建て・全196戸)を取り壊し、地上22階・地下2階建て、最高高さ85.5メートルのタワーマンション「THE COURT(ザ コート)神宮外苑」に建て替える「(仮称)外苑ハウス建替え計画」(総戸数409戸)など、トリプルタワー計画が進行中です。
さらに1926年に建設された神宮球場や47年完成の秩父宮ラグビー場を、場所を入れ替えながら建て替え、新国立競技場と合わせて周辺エリアをスポーツクラスター(集積地)とする構想も進んでいます。
民間の力を活用して公園・緑地の整備を促進する「公園まちづくり制度」を活用し、新神宮球場と新ラグビー場の二つの大規模スポーツ施設の中間に、両施設と一体感のある広場を設け、パブリックビューイング(PV)や飲食店の出店イベントなどを開催できる開放的なエリアにします。
この一連の建設工事が本格的に始まるのは五輪後。神宮外苑の造成(1926年)からおよそ100年後の2020年代後半に一帯の連鎖建て替えは完了する見通しです。

Ⅳ. 周辺の開発を探る 「(仮称)北青山二丁目計画」

「南青山三丁目」交差点。正面が「(仮称)北青山二丁目計画」の現場 2018.8.30撮影

「南青山三丁目」交差点。
正面が「(仮称)北青山二丁目計画」の現場
2018.8.30撮影

三菱地所は2017年12月11日、東京都港区北青山のファッションビル「青山ベルコモンズ」(2014年3月閉館)跡地で、地上20階地下2階建ての複合商業施設の建設に着工しました。
商業施設のほか、オフィス、ホテルも入居し、新しい地域のランドマークとする計画で、2020年4月末竣工予定です。現場は青山通りと外苑西通りの交差点に面し、東京メトロ銀座線の外苑前駅至近の好立地。


「(仮称)北青山二丁目計画」建物外観イメージ 三菱地所株式会社 提供

「(仮称)北青山二丁目計画」建物外観イメージ
三菱地所株式会社 提供

この複合商業施設は鉄筋コンクリート地上20階建て延床面積約2万3,000平方メートル。1、2階に商業施設、3、4階にホテルロビーとイベントスペース、5~15階にオフィスとコワーキング施設、16~19階にホテル客室が入り、最上階20階にルーフトップレストラン&バーを設けます。
ホテルは、オリエンタルホテル神戸やウィズ ザ スタイル 福岡といった地域の特性を活かしたホテル運営で定評のある株式会社Plan・Do・Seeが東京初展開。
3階のイベントスペースでは新作発表会や展示会などトレンドやカルチャーを生み出す場を提供するほか、ルーフトップバーからは南側に位置する六本木の夜景を一望できる空間を演出します。
多様なニーズに対応するコワーキング機能と先進的な働き方を可能にするオフィス空間、そして「青山ベルコモンズ」の系譜を継ぐ商業ラインナップなどが一体となり、施設の入居者や利用者だけではなく地域のワーカーや生活者も巻き込むクリエーティブなコミュニティ形成を目指します。

Ⅴ. 周辺の開発を探る
「(仮称)北青山三丁目地区まちづくりプロジェクト」
「(仮称)北青山三丁目地区まちづくりプロジェクト民活事業」

敷地中央の既存道路より南西側。先にこちら側の開発が進んでいる。2018.8.30撮影

敷地中央の既存道路より南西側。先にこちら側の開発が進んでいる。2018.8.30撮影

東京メトロ表参道駅から歩いて数分。青山通りのすぐ裏手にある「都営青山北町アパート」の建替えが進んでいます。
同アパートは戦後初の都営住宅ともいわれ、東京府青山師範学校の跡地に1957年(昭和32年)から1968年(昭和43年)にかけて建設された、4~5階建て25棟から成る建物群(586戸)。
この老朽化したアパートを建て替え、高層・集約化し、創出した用地に質の高い民間開発を誘導しながら、青山通り沿道と一体的なまちづくりを行うのが「北青山三丁目地区まちづくりプロジェクト」です。

出展 東京都都市整備局 北青山三丁目地区まちづくりプロジェクト説明会資料

出展 東京都都市整備局 北青山三丁目地区まちづくりプロジェクト説明会資料

北東側に残る「都営青山北町アパート」 2018.8.30撮影

北東側に残る「都営青山北町アパート」 2018.8.30撮影

対象地区面積は都有地4haを含む約5.8haで、3区域に分けて段階的に整備します。「都営住宅建替事業区域(約1.0ha)」は、表参道側、善光寺に隣接する区域で、RC造20階建ての高層住宅に建て替え、約300戸を供給。バリアフリー化し、低層階に保育園、児童館を併設。屋外には児童遊園や広場を整備します。
「民活事業区域(約0.8ha)」は、都有地を約70年の定期借地により借り受け、共同出資により設立された青山共創株式会社を事業主体として、229戸の賃貸住宅、49戸のサービス付き高齢者向け住宅、店舗、認可保育所、地域交流施設などで構成される複合施設(RC造・一部S造 地上25階地下1階建・高さ約90m・延べ面積約34,800㎡)を建設します。
借地料は、1㎡当たり月額4,313円。竣工は2020年5月を予定しています。最も外苑西通りに近い「沿道一体型開発検討区域(約1.8ha)」は、民間主導による青山通り沿道との一体となったまちづくりとなるよう、ファッションやITなどのクリエイティブ産業を集積させ、商業や文化教育機能を持つ複合施設を整備し、文化・流行の発信拠点を目指すとしています。こちらは2020年東京五輪終了後、事業着工される計画です。

Ⅵ. 「VORT外苑前Ⅲ」について

VORT外苑前Ⅲ

本物件は東京メトロ銀座線「外苑前」駅から徒歩5分、外苑西通り(通称キラー通り)沿いに建つオフィス店舗ビルになります。
周辺はワタリウム美術館を代表するアート関係や、高級な家具や雑貨、美容、飲食店などハイセンスな店舗が建ち並ぶエリアです。
新国立競技場まで徒歩10分、オリンピックに向け人通りが多くなることが予想されます。
また南青山三丁目交差点では青山ベルコモンズ跡地でホテル店舗オフィスといった複合施設の再開発もあり、今後さらなる発展が見込めます。
VORT外苑前Ⅲ


VORT外苑前Ⅲ

本物件3階室内

建物は2018年2月に竣工されたばかりで、白いシンプルかつ繊細なカーテンウォールを採用。そのスタイリッシュな外観は視認性も良好です。
また開放感溢れる前面ガラスの間には特殊素材が入っており、柔らかな光を保ちつつ、美しさだけでなく環境にも配慮し、遮熱性・遮音性に優れています。
通常の複層ガラスよりも断熱性能をアップして空調エネルギーコストを抑えると共に、5dB程度の透過音をカットし、都会の喧騒を感じさせない店舗・オフィス空間を実現します。

VORT外苑前Ⅲ物件概要
VORT外苑前Ⅲ物件概要

100年企業戦略研究所の調べによれば、「神宮前」の現在の地価は、地価公示価格の平均が752万2500円/m2(2018年[平成30年])、坪単価は2486万7768円/坪であり、前年比+14.06%の上昇です。
地価調査価格(基準地価)の平均が281万0000円/m2(2017年[平成29年])、坪単価は928万9256円/坪であり、前年比+8.70%の上昇です。
なお「神宮前」の地価平均を求めるにあたり、渋谷区神宮前1~6丁目の基準点の地価から計算しています。

本物件6階より北側を望む。奥には「新国立競技場」が見える。 2018.8.30撮影