第3回
世界の都市総合力ランキング(GPCI—2017)の結果について[1/3]

トップ10都市
トップ10都市

© 2017 THE MORI MEMORIAL FOUNDATION

 さて2017年の結果になりますが、トップ10がこちらでして、ロンドンがトップで、ニューヨーク、東京、パリ、シンガポール、そしてアジアのソウル、ヨーロッパのアムステルダム、ヨーロッパのベルリン、アジアの香港、そしてオーストラリアのシドニーとなっています。
そのトップ4が有名な“世界都市トップ4シティ”でありまして、あとはアジアの主要都市と、ヨーロッパの主要都市と、シドニーと、そのような構図になっています。

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 まずロンドンですが、最近ずっと6年連続のトップになります。
「経済」における“GDP成長率”ですとか、“政治・経済・商機のリスク”が非常に高いですとか、諸々合わせて高い評価を得ています。それに加えて、「文化・交流」がダントツに良いですね(グラフのピンク色部分)。これはすでに1番になって入ますけれども、ここが強い。
これこそロンドンが最強の理由でして、いわゆる大英帝国という、世界のトップを走ってきた国の首都であるということがその理由の一つでしょう。

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 それからニューヨークが2位ですが、その強さは「経済」と「研究・開発」分野。これがトップです(グラフの紫・青色部分)。
ただし他の非常に弱い分野もあって、特に「居住」(水色部分)は、これはニューヨークに限らず東京もロンドンも一緒ですけれども、物価が高いために評価が低い。また「環境」も良くないということがあって、全体では第2位になっています。

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 そして東京になりますが、東京という都市は象徴的です。
トップの分野のものはありません。ないのですが、総合力では第3位に入る。これは非常に面白くて、日本文化に近い部分があります。全体的になんとなく頑張っていて、結果的に良くなっている。
このランキングはそれを初めて明らかにしたわけで、他のランキングで今まで東京がこれほど高いランクをつけたことはありませんでした。
その意味で、このランキングでの東京の評価を見て、他のランキングでも東京を上位に挙げるようになった。そのような効果もありました。

プロフィール

日本の人口推移(2005年-2050年)

市川宏雄(いちかわ ひろお)
明治大学名誉教授
帝京大学特任教授、中部大学客員教授

 1947年東京に生まれ育つ。早稲田大学理工学部建築学科、同修士課程、博士課程を経て、カナダ政府留学生として、ウォータールー大学大学院博士課程(専門は都市地域計画)を修了(Ph.D.)。一級建築士でもある。
 ODAのシンクタンク (財)国際開発センターなどを経て、富士総合研究所主席研究員の後、1997年明治大学政治経済学部教授(都市政策)。都市計画出身でありながら、政治学科で都市政策の講座を担当するという、日本では珍しい学際分野の実践者。2004年から2018年3月まで明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科長。2008年から2016年まで明治大学専門職大学院長、明治大学危機管理研究センター所長も務める。現在、日本自治体危機管理学会会長、森記念財団業務担当理事、町田市・未来づくり研究所所長、日本危機管理士機構理事長等、要職多数。Program Committee Member of Innovative City Forum, Steering Board 海外ではCheering Board Member of Future of Urban Development and Services Committee, World Economic Forum(ダボス会議)。

専門とする政策テーマ:
大都市政策(都心、都市圏)、次世代構想、災害と危機管理、世界都市ランキング、テレワーク