第11回
分野別ランキング―東京と主要都市の比較・分析[6/6]

国際線直行便就航都市数
国際線直行便就航都市数

© 2017 THE MORI MEMORIAL FOUNDATION

 「国際線直行便就航都市数」ですが、東京はロンドンの3分の1、パリの半分ほどになります。
ニューヨークはアメリカですから飛行機の本数は非常に多いですが、そのほとんどが国内線なわけです。つまり国際線となると数は多くはありません。
またアジアのなかでは、東京の国際線直行便の就航都市数は決して多くはないということが分かります。

国内・国際線旅客数
国内・国際線旅客数

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 そして「国内・国際線旅客数」ですが、今回から国内線・国際線の両方を含めて考察していますので、グラフの伸びも変化していて、東京もニューヨークも旅客数が大幅に増えています。

都心から国際空港までのアクセス時間
都心から国際空港までのアクセス時間

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 もう1つ有力なポイントが、「都心から国際空港までのアクセス時間」です。
これは時間だけではなく、それに加えて東京の場合は成田と羽田、各々の飛行場の発着便数に比重をかけています。ですから羽田の国際線が増えるに従って、だんだんと都心から国際空港までの距離が近くなっていきますから、データ(分)が下がってきます。
さらに国際線が羽田に増えれば、もっとこれが変わってきます。
いま想定されるのは、2028年に東京駅と羽田空港が直結する予定ですから、さらに大幅にデータが下がるということです。
その意味では、ここが日本にとって弱点でしたから、空港アクセスについては非常に良い方向に向かっていると言えます。仮にJRの羽田新線がつながると、東京駅から羽田空港までわずか18分ですから、世界で最も早く都心に繋がる国際空港になります。
未使用の貨物線を使い、羽田空港までトンネルを掘ることで、世界屈指の空港になるというわけです。

 さらに羽田空港の発着本数を上げるため、来年2019年から東京上空に飛行機が飛びます。
いま説明会を行っていて結構な問題になっていますが、いま現在は東京上空を飛ばないことでかなり空路を狭くしているのを、飛ばすことで2割くらい本数を増やします。
なぜ増やすかというと、オリンピック開催に間に合わせるためです。それが第1ステップ。第2ステップは第5滑走路です。これを造ればもう少し飛躍的に存在感が高まり、圧倒的なアジアのハブ空港になります。
都心に最も近いハブ空港ということで、羽田の力は抜群に高まります。もちろん東京にとっても悪いことではありません。ただし、第5滑走路ができるのはおそらく2030年以降になると言われていますから、今後の展開を注視する必要があるでしょう。

通勤・通学の利便性
通勤・通学の利便性

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 「通勤・通学の利便性」です。
これは地下鉄網の発達や乗り継ぎの良さなどで高い評価を得ている一方で、通勤時間が長かったり混雑したりする部分が、東京の弱いところになります。

プロフィール

日本の人口推移(2005年-2050年)

市川宏雄(いちかわ ひろお)
明治大学名誉教授
帝京大学特任教授、中部大学客員教授

 1947年東京に生まれ育つ。早稲田大学理工学部建築学科、同修士課程、博士課程を経て、カナダ政府留学生として、ウォータールー大学大学院博士課程(専門は都市地域計画)を修了(Ph.D.)。一級建築士でもある。
 ODAのシンクタンク (財)国際開発センターなどを経て、富士総合研究所主席研究員の後、1997年明治大学政治経済学部教授(都市政策)。都市計画出身でありながら、政治学科で都市政策の講座を担当するという、日本では珍しい学際分野の実践者。2004年から2018年3月まで明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科長。2008年から2016年まで明治大学専門職大学院長、明治大学危機管理研究センター所長も務める。現在、日本自治体危機管理学会会長、森記念財団業務担当理事、町田市・未来づくり研究所所長、日本危機管理士機構理事長等、要職多数。Program Committee Member of Innovative City Forum, Steering Board 海外ではCheering Board Member of Future of Urban Development and Services Committee, World Economic Forum(ダボス会議)。

専門とする政策テーマ:
大都市政策(都心、都市圏)、次世代構想、災害と危機管理、世界都市ランキング、テレワーク