第1回
世界の都市総合力ランキング(GPCI)とは?[1/2]

世界の都市総合力ランキング

© 2017 THE MORI MEMORIAL FOUNDATION

 今日は「都市の国際競争力」ということで、私が手掛けていることの一つですが、世界の都市総合力を測っている“Global Power City Index(GPCI)”についてお話したいと思います。
これは毎年10月に発表していますので、今現在最新のものは、昨年の10月に発表した2017年版になります。
このGPCIは、一体何に使われているのかといいますと、現在、安倍政権のKPI(重要業績評価指標)の一つとして使われています。5年ほど前に第2次安倍政権が発足した当時は、“東京を3番に上げたい”としていましたが、2年前のランキングから東京は第3位になっていますのでこちらは達成しています。

 一方、東京都の方は毎回毎回これを何とか1番にしたいと言っています。
例えば、『都民ファーストでつくる「新しい東京」~2020年に向けた実行プラン~』ですとか、『都市づくりのグランドデザイン』、このなかの指標としても使われています。もちろん、1番にするためにはどうすればいいのかということは必要で、それは本講義を聞いてもらえれば分かるかと思いますが、実際はそう簡単な話ではありません。
すべてのことが実現できるわけではありませんし、同時にライバル都市も頑張っていますから1番になることは簡単ではありませんが、徐々に1番に向かって上昇していることは確かです。

 GPCIの対象は世界の44都市で、10年前に始めたときは35都市でしたが、毎年1~2都市ずつ増やしていて、昨年はドバイとブエノスアイレスを追加しています。
要するに、世界の主要都市がほぼ全部入っています。

対象44都市

対象44都市

© 2017 THE MORI MEMORIAL FOUNDATION

 なぜその都市を選んでいるのか。それには理由がありまして、すでにGPCIは有名になりましたが、実はGPCI以外にもいくつかランキングはあるわけで、なかにはやはりライバルランキングもあります。
そうしたなかで1つ目のクライテリア(判定基準)は、既存の有力な都市比較ランキングの上位10位に入っている都市を必ず入れること。2つ目のクライテリアは、国際競争力ランキング、例えば“World Economic Forum” などいくつかありますが、そのなかで上位10位に入る国の主要都市を入れること。そして最後ですが、我々のコミッティー(委員会)では成長するアジア地域を多く取り上げていて、他のランキングに比べるとアジア主要都市が数多く入っています。ということで、現在合計44都市になっています。

プロフィール

日本の人口推移(2005年-2050年)

市川宏雄(いちかわ ひろお)
明治大学名誉教授
帝京大学特任教授、中部大学客員教授

 1947年東京に生まれ育つ。早稲田大学理工学部建築学科、同修士課程、博士課程を経て、カナダ政府留学生として、ウォータールー大学大学院博士課程(専門は都市地域計画)を修了(Ph.D.)。一級建築士でもある。
 ODAのシンクタンク (財)国際開発センターなどを経て、富士総合研究所主席研究員の後、1997年明治大学政治経済学部教授(都市政策)。都市計画出身でありながら、政治学科で都市政策の講座を担当するという、日本では珍しい学際分野の実践者。2004年から2018年3月まで明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科長。2008年から2016年まで明治大学専門職大学院長、明治大学危機管理研究センター所長も務める。現在、日本自治体危機管理学会会長、森記念財団業務担当理事、町田市・未来づくり研究所所長、日本危機管理士機構理事長等、要職多数。Program Committee Member of Innovative City Forum, Steering Board 海外ではCheering Board Member of Future of Urban Development and Services Committee, World Economic Forum(ダボス会議)。

専門とする政策テーマ:
大都市政策(都心、都市圏)、次世代構想、災害と危機管理、世界都市ランキング、テレワーク