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長寿企業になるため、またあり続けるために必要なこと

事業を継承していくために

無形資産の承継、それは企業精神=心の承継と言い換えることができます。そして、この心のバトンを確実に次世代へと手渡せた法人だけが長寿企業へと成長できる──多くの事例がそのことを物語っています。たとえば、100年以上続く老舗には家憲や家訓といったものがあり、経営者として持つべきビジョンやミッション、創業家として失ってはならない精神などについて明快にこれらを伝えています。代々の経営者はこの教えを守り、精進しますが、ひとたび目先の利益追求にのみ走ることがあれば、家業を支えてきた心の軸足を失い、やがて没落への道をたどります。これが心のバトンを受け継ぐことが難しい理由です。こちらのページでは心のバトンを受け継ぐためになすべきと思われる点を挙げさせていただきます。

長期的な視点、 未来への「ビジョン」を定める

経営者として長期的なビジョンを持ち、また役割を明確に理解することが重要です。それを後世に伝えるための指針が、「企業理念」「行動規範」などに当たります。創業者の想いや価値観、そしてエピソードなどが長寿企業には必ず存在し、企業理念や行動規範にはそれらが色濃く反映されているものです。そして、そのような企業では、その先にあるビジョンが明確に存在します。

人材を考えた 「企業風土」を形成する

企業理念や行動規範は従業員の行動に現れます。企業は従業員なくして長期的な繁栄はありえず、顧客満足を得ることもできません。利益優先ではなく、将来的な事業の継続というビジョンを明確に持ち、達成するために一貫した方針を継続する力が長寿企業には必要です。また、老舗企業が倒産する理由には、人材が大きく関わっていることも忘れてはいけません。「後継者がいるのか」「後継者が社内外から信頼を得ているか」「後継者へスムーズに事業を継承できるか」――、100年企業を創るためには、二代、三代先まで考えた人材育成が求められています。それを可能にする企業風土を追い求めることが、企業の長期的な繁栄につながるのです。

事業を継承するための 「コミットメント」を得る

ビジョンを達成するための「企業理念」「行動規範」があり、事業を存続させる後継者がいたとしても、実際にそれが将来的に引き継がれていくかはわかりません。「継承者は本当に想いを引き継いでくれるのか」「多くの従業員が賛同してくれるのか」「後継者と従業員の間で摩擦が発生しないか」――。しっかりと後継者を見極め、また経営幹部陣との関係性を理解したうえで、双方からコミットメントを得ることが重要です。

ブレない軸足が時代の 変化に負けない体質をつくる

代々続く家訓や企業理念は決して古臭い観念で後世の人間を縛り付けるものではありません。むしろ時代がどう変化しようとも、経営者が自らの基本的な立ち位置を見失わないための指針といってよいでしょう。この指針があるからこそ、つまり軸足がしっかり固定されているからこそ、事業の思い切った刷新や改善も可能になり、これが次の100年に向けた原動力になります。仮にその軸足を失えば、結局は目先の利益にとらわれ、自社が本来目指すべき道から外れることになります。日本の長寿企業、とりわけ100年超の歴史を誇る老舗企業が今あるのは、企業の「心」とも言うべきこのブレない軸足を堅持してきたからにほかなりません。