
■サマリー
● 募集価格は全区で上昇:募集平均坪単価(共益費込)は全5区で上昇し+3.3〜+18.8%。2026年8月時点で渋谷区3.37万円/坪〜新宿区2.44万円/坪。上昇率は千代田区+18.8%が最大。
● 空室率・募集在庫は4区で低下:新宿・渋谷・中央・港の4区で空室率が低下(とくに中央区-1.07pt・港区-0.96ptの低下幅が大きい)、募集在庫(募集面積)も-10.6〜-27.6%と減少。2026年8月時点で渋谷区2.16%が最も低い。
● 千代田区のみ空室率・募集在庫が増加、ただし主因は大規模ビル:千代田区は区全体の空室率+0.89pt・募集在庫+45.0%と増加したが、これは大規模ビル(空室率+2.21pt)が主因。中小規模(中型・小型・小型未満)はいずれも空室率が低下し、タイト化が続く。
● 平均上昇は「値上げ」ではない(今号でも再確認):小型オフィスの同一区画(same-store)を前年同月比で追跡すると、5区すべて中央値±0.0%。募集平均の上昇は、割安な区画から決まり相対的に高い区画が募集に加わる「入れ替え」が主因。
当社は、運営するオフィスビル情報プラットフォーム『OFFICE RESEARCH®(オフィスリサーチ)』のデータを基に、東京都心5区(新宿区・渋谷区・中央区・千代田区・港区)の中小規模オフィスについて直近12カ月(2025年9月~2026年8月)の市況を分析した「都心5区 中小規模オフィス市況レポート 2026年9月号」を公開しました。
その結果、募集中区画の平均坪単価は全5区で上昇し、空室率は4区で低下しました。千代田区のみ区全体では空室率が上昇しましたが、その主因は大規模ビルで、中小規模オフィスの需給はむしろ締まっています。
本レポートの読み方(2つの用語)
● 空室率(募集面積 ÷ 貸付総面積):貸付対象の総面積のうち、募集中として掲載されている面積の割合。本レポートの「空室率(全体)」は全規模を含む区全体の値です。
● 募集プールの入れ替え:坪単価の安い区画が成約して募集から外れ、相対的に高い区画が残る・加わることで、募集中区画の平均坪単価だけが上がる現象。募集平均の上昇には、この入れ替えの寄与が大きいことを前号および今号(第4章)の同一区画分析で確認しています(個々の値上げとは限りません)。
主要指標一覧(2026年8月時点と直近12カ月の変化)
※空室率=募集面積÷貸付総面積(全規模を含む区全体)。募集在庫=募集面積(実量)。募集平均坪単価は共益費込・単純平均。12カ月変化は2025年9月末と2026年8月末の比較。出典:OFFICE RESEARCH®(株式会社ボルテックス運営)1. 空室率の動向
図1:都心5区の空室率(%・全規模を含む区全体)推移 出典:OFFICE RESEARCH®(株式会社ボルテックス運営)2026年8月時点の空室率は渋谷区が2.16%と最も低く、新宿区2.21%、港区2.69%、中央区2.77%、千代田区2.87%。新宿・渋谷・中央・港の4区で1年前より低下し、とくに中央区(-1.07pt)・港区(-0.96pt)の低下が目立ちます。募集在庫(募集面積)も4区で-10.6〜-27.6%と減少し、需給の締まりが続いています。千代田区のみ区全体では空室率+0.89pt・募集在庫+45.0%と増えましたが、その中身は第3章のとおり大規模ビルによるものです。
2. 募集中区画の平均坪単価の動向
図2:都心5区 中小規模オフィスの募集平均坪単価(万円/坪・共益費込)推移 出典:OFFICE RESEARCH®(株式会社ボルテックス運営)募集中区画の平均坪単価(共益費込)は全5区で上昇し、2026年8月時点で渋谷区が最も高く3.37万円/坪、以下 港区3.11万円/坪、中央区3.03万円/坪、千代田区2.94万円/坪、新宿区2.44万円/坪。上昇率は千代田区+18.8%が最大で、港区+17.5%、中央区+14.9%、渋谷区+14.3%、新宿区+3.3%と続きます。ただしこの上昇は同じ部屋の一律値上げではなく、募集の顔ぶれの入れ替えによる部分が大きい点は前号および第4章のとおりです。
3.【深掘り1】千代田区の空室率上昇の正体 ― 大規模ビル発、中小規模はむしろ締まる
千代田区は区全体の空室率が1.98%→2.87%(+0.89pt)と、5区で唯一上昇しました。しかし規模別に分けると、上昇しているのは大規模ビル(基準階200坪以上)だけで、1.18%→3.39%(+2.21pt)と急伸。とくに2026年7月に1.36%→3.38%へ跳ねており、大規模ビルでまとまった空室が新規募集に出た動きとみられます。実際、千代田区の募集在庫(募集面積)はこの期間に+45.0%と大きく増えており、空室率の上昇(区全体で相対+45%)とも整合します。
図3:千代田区の規模別空室率の推移 出典:OFFICE RESEARCH®(株式会社ボルテックス運営)
表:千代田区の規模別空室率(2026年8月時点と12カ月変化)出典:OFFICE RESEARCH®(株式会社ボルテックス運営)一方、本レポートの主対象である中小規模は、中型1.96%(-0.94pt)・小型2.69%(-0.54pt)・小型未満2.00%(-0.61pt)といずれも低下。千代田区でも中小規模オフィスの需給はむしろ締まっています。区全体の空室率だけを見ると実勢を見誤りやすい局面です。
なお千代田区は募集平均坪単価の上昇率も+18.8%と5区で最大でした。相対的に高い区画が新たに募集に出たことは、平均坪単価の押し上げと大規模ビルの空室率上昇の両方と整合し、募集プールの上方シフトがうかがえます。
この大規模空室率の上昇は、特定の大型オフィス(竣工前)一棟の先行募集が主因です。千代田区内幸町で2029年3月の竣工を予定する大型再開発ビル『HIBIYA CROSSPARK(仮称)サウスタワー』(地上46階・地下3階、有楽町駅ほか徒歩1分)が、竣工に先立ち複数フロアの募集を開始したことによるもので、千代田区の大規模募集面積の増加の大半を占めます。既存テナントの退去による空室増ではなく、中小規模オフィスの需給とは連動しません。
HIBIYA CROSSPARK(仮称)サウスタワー
募集中フロアの詳細はこちら:https://japan-office.jp/tokyo/detail/1046816
4.【深掘り2】募集平均の上昇は「値上げ」か ― 同一区画で検証(前年同月比)
募集平均坪単価の上昇が「同じ部屋の値上げ」なのかを確かめるため、5区の小型オフィス(基準階20坪以上50坪未満)について、2025年8月末と2026年8月末の両方に募集が出ていた同一区画を突合しました(前年同月比)。
表:小型オフィスの同一区画(same-store)募集坪単価の変化(2025年8月末→2026年8月末) 出典:OFFICE RESEARCH®(株式会社ボルテックス運営)結果は5区すべてで中央値±0.0%。募集の「平均」は+6.3〜+26.1%上昇していますが、同じ区画で比べた募集条件はおおむね横ばいでした。平均の上昇は個々の一律値上げではなく、割安な区画から先に決まり、相対的に高い区画が新たに募集に加わる「入れ替え」による部分が大きいことを、今号のデータでも確認できます(渋谷区のみ上昇区画が約3割とやや多く、実勢の値上げの動きも一部みられます)。
■数値の読み方(3つの注記)
● 募集平均坪単価は、その月に募集中だった区画の坪単価(共益費込)の単純平均(面積の重み付けなし)。募集の顔ぶれや面積構成が変わると平均値も動きます。
● 「空室率(全体)」は全規模を含む区全体の値です。千代田区の上昇は主に大規模ビルによるもので、中小規模の空室率とは異なります(第3章参照)。
● 同一区画の突合は、両時点で募集が出ていた=12カ月の間に決まらなかった区画を対象とするため、成約まで時間を要した区画に偏る可能性があり、市場全体の実勢を完全に代表するものではありません(第4章参照)。
調査概要
● 名称:都心5区 中小規模オフィス市況レポート 2026年9月号
● 対象エリア:東京都心5区(新宿区・渋谷区・中央区・千代田区・港区)
● 対象:中小規模オフィス(本レポートでは主に中型・小型・小型未満を対象。深掘り分析は千代田区の規模別空室率、および5区・小型の同一区画比較)
● 規模区分(基準階面積):大規模=200坪以上/大型=100坪以上200坪未満/中型=50坪以上100坪未満/小型=20坪以上50坪未満/小型未満=20坪未満
● 対象期間:2025年9月~2026年8月(各月末時点)。12カ月変化は2025年9月末と2026年8月末の比較
● 賃料:募集中区画の坪単価(共益費込)の単純平均(面積による重み付けなし)。賃料相談の区画は集計から除外
● 空室率:募集面積 ÷ 貸付総面積(各月末時点)
● 募集在庫:各月末時点で募集中として掲載されている面積の合計(募集面積)。12カ月変化は2025年9月末と2026年8月末の比較
● 同一区画突合:2025年8月末と2026年8月末の両時点で募集が出ていた各区・小型(基準階20坪以上50坪未満)の区画(前年同月比)
● データ出典・分析:株式会社ボルテックスが運営する『OFFICE RESEARCH®(オフィスリサーチ)』
■『OFFICE RESEARCH®』について
『OFFICE RESEARCH®(オフィスリサーチ)』は、株式会社ボルテックスが運営するオフィスビル情報プラットフォームです。東京都内のオフィスビル・フロア情報を継続的に更新し、長期にわたる賃料・空室状況のデータを蓄積しています。本レポートは、このデータベースを基に株式会社ボルテックスが集計・分析したものです。
『OFFICE RESEARCH®(オフィスリサーチ)』へのお問い合わせ:https://www.vortex-net.com/service/officeresearch/
■都心5区でオフィスをお探しの方へ
>都心5区(新宿区・渋谷区・中央区・千代田区・港区)をはじめ、中小規模オフィスの移転・拡張を検討中の法人様は、株式会社ボルテックスが運営するオフィス賃貸仲介サイト「ジャパンオフィス検索®」をご利用ください。エリア・広さ・予算・最寄り駅から募集中のオフィスを検索でき、移転計画から内見・契約手続きまでをサポートします。
ジャパンオフィス検索:https://japan-office.jp/
千代田区の空室一覧:https://japan-office.jp/tokyo/area/c1
宅地建物取引業 国土交通大臣(3)第8509号
■商標・ご注意
「区分所有オフィス」「100年企業戦略」「OFFICE RESEARCH」「オフィスリサーチ」「ジャパンオフィス検索」「東京オフィス検索」は株式会社ボルテックスの登録商標です。
本レポートの数値は当社データベースに基づく集計値であり、対象・期間・定義を揃えていない他の調査の数値とは直接比較できません。
本レポートは情報提供を目的としたものであり、個別の物件選定・契約・投資判断について保証するものではありません。
<本レポートに関するお問い合わせ先>
株式会社ボルテックス マーケティング部 マーケティングコミュニケーション課
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