3行サマリー
● 空き面積が減少:募集中の空き面積(募集在庫)が全5区で減少(-6.1〜-18.7%)。これにともない空室率(募集面積÷貸付総面積)も全5区で低下し、2.00〜2.37%(1年で-0.16〜-0.56pt)。
● 募集価格の平均が上昇:募集平均坪単価(共益費込)は全5区で上昇し+6.2〜+15.9%。2026年7月時点で渋谷区3.28万円/坪〜新宿区2.36万円/坪。
● 上昇の要因(渋谷区・小型で深掘り):同じ部屋65件を追跡すると変化は中央値0.0%(据え置きが最多)。ただし渋谷区では約3割の区画で実際に募集賃料が上昇し、新規に出た区画は退出区画より約18%高い。割安区画の入れ替えと一部の実勢上昇が重なった結果とみられる。
当社は、運営するオフィスビル情報プラットフォーム『OFFICE RESEARCH®(オフィスリサーチ)』に蓄積されたデータを基に、東京都心5区(新宿区・渋谷区・中央区・千代田区・港区)の中小規模オフィス市況を分析した「都心5区 中小規模オフィス市況レポート 2026年8月号」を公開しました。本レポートは、当社が今後継続的に発信していく都心オフィス市況分析シリーズの第1号となります。
直近12か月(2025年8月〜2026年7月)を対象とした分析の結果、対象5区すべてで募集在庫(募集中の空き面積の合計)が減少し、これにともない空室率(募集面積÷貸付総面積)も低下しました。募集中区画の平均坪単価は上昇していますが、同じ部屋で比べた募集条件はおおむね横ばいで、平均の上昇は個々の値上げではなく、割安な区画から順に成約し募集の顔ぶれが入れ替わったことによるものとみられます。とくに賃料水準が最も高い渋谷区で、募集の動きが顕著です。
本レポートの読み方
● 募集在庫と空室率の関係:募集在庫は「募集中の空き面積の合計(実量)」、空室率は「募集面積 ÷ 貸付総面積(比率)」で、いずれも同じ『募集中の面積』を基にした指標です。今回はこの募集面積が減ったことで、募集在庫の減少と空室率の低下が同時に起きています。
● 募集プールの入れ替え:坪単価の安い区画が成約して募集から外れ、相対的に高い区画が残る・加わることで、募集中区画の平均坪単価だけが押し上げられる現象。個々の部屋の値上げではなく、また区画面積の大小による差を示すものでもありません。
主要指標一覧(2026年7月時点と直近12カ月の変化)
※空室率=募集面積÷貸付総面積。低い順に表示。12カ月変化は2025年8月末と2026年7月末の比較で、期間中は月ごとに増減があり一貫して低下し続けたことを示すものではありません。募集平均坪単価は共益費込・単純平均(面積による重み付けなし)。出典:OFFICE RESEARCH®(株式会社ボルテックス運営)
1. 空室率と募集在庫の動向
図1:都心5区 中小規模オフィスの空室率(%)推移 出典:OFFICE RESEARCH®(株式会社ボルテックス運営)募集在庫(募集中の空き面積の合計)は全5区で減少し、これにともない空室率(募集面積÷貸付総面積)も低下しました。2026年7月時点の空室率は新宿区が2.00%と最も低く、渋谷区・中央区2.24%、港区2.34%、千代田区2.37%で、いずれも1年前より低下しています。借りられる区画の総量が減る一方で需要が続き、企業が選べる候補が絞られやすい状況です。区別の数値は前掲「主要指標一覧」を参照してください。
2. 募集中区画の平均坪単価の動向
図2:都心5区 中小規模オフィスの募集平均坪単価(万円/坪・共益費込)推移 出典:OFFICE RESEARCH®(株式会社ボルテックス運営)募集中区画の平均坪単価(共益費込)は全5区で上昇し、2026年7月時点で渋谷区が最も高く3.28万円/坪、以下 港区2.95万円/坪、中央区2.82万円/坪、千代田区2.61万円/坪、新宿区2.36万円/坪。ただしこの上昇は同じ部屋の値上げではなく、募集中区画の顔ぶれが入れ替わったことによる部分が大きい点に留意が必要です。
※募集平均坪単価は、その月に募集中だった区画の坪単価(共益費込)の単純平均(面積の重み付けなし)。募集の顔ぶれや面積構成が変わると平均値も動きます。
3.【深掘り】平均上昇の要因― 渋谷区・小型で「同じ区画」を追跡
平均坪単価の上昇が「同じ区画の値上げ」なのか「募集中区画の入れ替え」なのかを確かめるため、都心5区で最も賃料水準が高く在庫の減少も大きい渋谷区の小型オフィス(基準階20坪以上50坪未満)について、2025年8月末と2026年7月末の両方に募集が出ていた同一区画65件を突合しました。
※本節のみ細かい対比のため円/坪で表記。同一区画65件の変化は中央値0.0%で、最も多いのは据え置き(28件・43%)。ただし渋谷区では他エリアと異なり、約3割(20件)の区画で募集賃料が上昇し(平均+4.0%)、実勢の値上げの動きもみられます。加えて、新たに募集に出た区画は退出した区画より約18%高く(25,487円/坪→30,023円/坪)、割安区画の成約による募集区画の入れ替えも同時に進んでいます。
つまり渋谷区・小型では、「割安な区画から成約が進む入れ替え」に「一部の実勢上昇」が重なって、募集平均が押し上げられています。都心5区の中でも動きが大きく、価格を優先して探す場合は、候補として検討できる区画が短期間で入れ替わる可能性があります。
【補足】数値について
● 「募集から外れた」区画には、成約以外の理由(募集停止、建替え・リノベーション、オーナー都合による取り下げなど)で募集を終えたものが含まれる可能性があり、すべてが成約とは限りません。
● 同一区画65件は、両時点で募集が出ていた=12カ月の間に決まらなかった区画です。成約まで時間を要した区画に偏るため、市場全体の実勢を完全に代表するものではありません。
● 募集平均坪単価は面積で重み付けをしない単純平均のため、募集中の区画の面積構成が変わることでも平均値は動きます。
調査概要
● 名称:都心5区 中小規模オフィス市況レポート 2026年8月号
● 対象エリア:東京都心5区(新宿区・渋谷区・中央区・千代田区・港区)
● 対象:中小規模オフィス(本レポートでは主に中型・小型・小型未満を対象。深掘り分析は渋谷区・小型)
● 規模区分(基準階面積):大規模=200坪以上/大型=100坪以上200坪未満/中型=50坪以上100坪未満/小型=20坪以上50坪未満/小型未満=20坪未満
● 対象期間:2025年8月~2026年7月(各月末時点)。12カ月変化は2025年8月末と2026年7月末の比較
● 賃料:募集中区画の坪単価(共益費込)の単純平均(面積による重み付けなし)。賃料相談の区画は集計から除外
● 空室率:募集面積 ÷ 貸付総面積(各月末時点。貸付対象の総面積に占める、募集中として掲載されている面積の割合)
● 募集在庫(募集面積):各月末時点で募集中として掲載されている区画の面積合計
● 同一区画突合:2025年8月末と2026年7月末の両時点で募集が出ていた渋谷区・小型の区画65件
● データ出典・分析:株式会社ボルテックスが運営する『OFFICE RESEARCH®(オフィスリサーチ)』
ご注意事項
本レポートの数値は当社データベースに基づく集計値であり、対象・期間・定義を揃えていない他の調査の数値とは直接比較できません。
本レポートは情報提供を目的としたものであり、個別の物件選定・契約・投資判断について保証するものではありません。
『OFFICE RESEARCH®』について
『OFFICE RESEARCH®(オフィスリサーチ)』は、当社が運営するオフィスビル情報プラットフォームです。東京都内のオフィスビル・フロア情報を継続的に更新し、長期にわたる賃料・空室状況のデータを蓄積しています。本レポートは、このデータベースを基に当社が集計・分析したものです。
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