本プロジェクトは、ボルテックスが出資するSPCが事業主、リノベるが企画・設計・施工、FFE(家具・什器・備品)を担当。「yugen kyoto shijo」の運営は株式会社フィーノホテルズ(ポラリス・ホールディングスグループ)が、「soyo-ne kyoto sanjo」と「soyo-ka kyoto sanjo」の運営はKeeyls株式会社が担当します。

yugen kyoto shijoのエントランスと客室(撮影:kdotphoto)
【プロジェクトの背景】
本プロジェクトの建物は、2019年末から2020年というコロナ禍初期にホテルとして建設されたものの、渡航制限や外出自粛による旅行需要の冷え込みにより開業に至らず、約5年間「塩漬け」となっていた遊休不動産でした。2025年にボルテックスが出資するファンドが3棟を一括取得し、リノベると、想定ADR(平均客室単価)を実現するためのマーケティングや商品企画をスタートしました。
京都市のインバウンド需要はコロナ禍前を大きく上回り、2024年の外国人宿泊客数(実数)はコロナ禍前(2018年比)の約1.8倍となる過去最高を記録し、現在も伸長しています。(※1,※2)市場では、高級ホテルの開業も相次ぎ、平均単価が上昇傾向にある一方で民泊事業(住宅宿泊事業)も過去最多(※3, ※4)になるなど、京都の宿泊市場は多様化・細分化が進んでいます。
こうした市場状況を受け、ボルテックスとリノベるは、インバウンド層に高まる泊食分離(素泊まり)のニーズや、長期滞在・グループ滞在の需要に着目し、民泊のような自由な滞在体験と、ホテルの快適な滞在体験を両立する、「暮らすように」滞在し、上質な素材や静かで落ち着ける空間、そして文化的な体験を重視する「スモールラグジュアリー」なホテルを目指しました。「上質な空間で、まるで自宅のように自由に、気兼ねなく滞在したい」というニーズに対応します。
建物においては、未使用のまま保存されていた既存の内装や設備の状態が良好であったため、これらを最大限活用。ホテルの顔となるロビーなどの共用部や、ゲストの滞在価値を左右する専有部のFFEに投資を集中させ、アッパーアップスケールのADR設定を実現しました。実際、開業直後から予約の大半を海外からのお客さまが占め、高稼働を実現しています。
また、ホテル宿泊者や海外のお客さまだけでなく、地元の方々も気軽に立ち寄れるカフェやレストランを1階に設け、新たな交流拠点を創出しています。
本プロジェクトを通じて、ボルテックスとリノベるは、京都での滞在価値を最大化するとともに、まちとひとに新たな交流を生み出します。2社は、今後もまちの新しい価値になり得る多様なアセットの活用・収益化を推進し、「資産が健全に循環する社会の実現」を推進してまいります。
【プロジェクトの特徴】
コンセプト:「時をかさね、時をこえた『きょう』の魅力にであう」
京都らしさと現代的な要素をミックスし、上品ながらも気取りのない空間にすることで、訪れる人が落ち着いた時間を過ごし、「余白」にラグジュアリーを感じられる宿泊施設を目指しました。
■共用部:京都の景観と調和する「顔」づくり
全棟で、ホテルの第一印象を決定づけるロビーやサインを新設しました。「yugen kyoto shijo」では、エントランスや植栽など、外構部のデザインを刷新し、京都の歴史的な街並みに馴染みつつ、現代的な上質さを感じさせるデザインを施しました。

yugen kyoto shijoの外観 Before/外観After/エントランスと植栽

yugen kyoto shijo、soyo-ne kyoto sanjo、soyo-ka kyoto sanjoのエントランスロビー
■全客室でFFEを新設。暮らすような居心地のよさを演出
リノベるがFFEまでワンストップで担当。個人向け住宅リノベーションで培ったスタイリング力と商品ラインナップを活かし、全客室のFFEを新設しました。既存の和の内装イメージを活かしつつ、ホテルグレードのモダンな家具を選定。同時に、ホームユース(家庭用)の家具として、日本の名作椅子「ニーチェアエックス」や日本発のグローバル家具ブランド「ARIAKE」などを取り入れ、上質ながらも日本文化の中で「暮らすような」居心地の良さを感じていただける空間にコーディネートしました。また、グループ滞在も見据え、ソファーベッドやベッドなどを多めに設えました。

yugen kyoto shijoの客室

soyo-ne kyoto sanjoの客室

soyo-ka kyoto sanjoの客室
■サイン計画:ホテルの品を高めるグローバルなデザイン
全棟でサインを新設。グローバル水準に合わせてデザインされたサインを施工し、統一感を持たせつつ、優雅な空間を演出します。

グラフィックデザインはPRIME BRANDING DESIGNが担当
■一部客室のアップデート:特別な体験価値の創出
「soyo-ka kyoto sanjo」の客室(全8室)は、特別なバリューアップを実施しました。4室は浴室をアップグレードし、上質な滞在体験を提供できるようにしました。4室は浴室横のスペースに「枯山水」を新設し、京都の美意識を深く体験できる空間になりました。

アップグレードした浴室/スペースを生かした枯山水
■テナント部分のリノベーションで、まちに開くホテルに
1階のテナント部分は、ビジター利用も可能なカフェやレストランにリノベーションしました。
宿泊者専用とせず、ビジターも気軽に立ち寄れるカフェやレストランとすることで、まちに開かれたホテルとしての役割も持たせました。

ビストロ「Arbrin」/soyo-ne kyoto sanjo エントランス

サンドイッチ&ジェラート「ViTO」内/soyo-ka kyoto sanjo エントランス/低温熟成ヒレかつ専門店「風響」内
【物件概要】
■yugen kyoto shijo
所在地:〒600-8057 京都市下京区麩屋町通高辻下る鍵屋町218
交通:阪急京都線「京都河原町駅」から徒歩約6分・地下鉄烏丸線「四条駅」徒歩約9分
構造規模:鉄骨造 地下1階/地上5階
敷地面積:1195.6㎡(361.7坪)
延床面積:4897.9㎡(1481.6坪)
平均客室面積:42.1㎡(12.7坪)
竣工年:2020年12月(築5年)※新耐震基準
リノベーション竣工年:2025年12月
リノベーション内容:共用部(ロビー、外構、植栽、サイン、未成箇所)専有部、FFE
総客室数:58部屋
運営会社:株式会社フィーノホテルズ(ポラリス・ホールディングス)
テナント:Arbrin[アルブラン](運営:株式会社Augurizm)
公式WEB:https://yugen-kyoto-shijo.com/
■soyo-ne kyoto sanjo
所在地:〒604-8085 京都市中京区麩屋町通三条上る下白山町296
交通:京都市営地下鉄東西線「京都市役所前駅」から徒歩約8分・阪急京都線「京都河原町駅」徒歩約9分
構造規模:鉄骨造 地上5階
敷地面積:235.9㎡(71.4坪)
延床面積:892.3㎡(269.9坪)
平均客室面積:49.9㎡(15.1坪)
竣工年:2020年10月(築5年)※新耐震基準
リノベーション竣工年:2025年10月
リノベーション内容:共用部(ロビー、サイン)専有部、FFE
総客室数:8部屋
運営会社:Keeyls株式会社
テナント:ViTO[ヴィト](運営:株式会社Augurizm)
公式WEB:https://soyo-ne-kyoto-sanjo.com/
■soyo-ka kyoto sanjo
所在地:〒604-8118京都市中京区堺町通三条下る道祐町135
交通:京都市営地下鉄「烏丸御池駅」徒歩約5分・阪急京都線「烏丸駅」徒歩約8分
構造規模:鉄骨造 地上5階
敷地面積:282.3㎡(85.4坪)
延床面積:1062.5㎡(321.4坪)
平均客室面積:69.8㎡(22.1坪)
竣工年:2019年10月(築6年)※新耐震基準
リノベーション竣工年:2025年10月
リノベーション内容:共用部(ロビー、サイン)専有部、FFE
総客室数:8部屋
運営会社:Keeyls株式会社
テナント:風響-kazenone-(運営:株式会社Augurizm)
公式WEB:https://soyo-ka-kyoto-sanjo.com/
※各ホテルの特徴は以下プレスリリースをご覧ください。
・ポラリス・ホールディングス株式会社『侘び寂びの趣が息づく、京都・四条の和モダンラグジュアリーホテル「yugen kyoto shijo」2025年9月29日(月)開業』(2025/9/29)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000119847.html
・Keeyls株式会社『京都・三条に和モダンラグジュアリーホテル『soyo-ne』『soyo-ka』が誕生』(2025/8/8)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000115.000020131.html
ボルテックスとリノベる、コロナ禍で開業中止したホテルを再生のプレスリリースPDF版はこちら
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