不動産は個人・法人どちらで取得すべきか

さまざまな状況や条件から個人・法人の最適な見極めを

投資用不動産を購入する場合、個人で取得すべきか自身が経営する会社や不動産投資用の法人で取得すべきか、非常に悩むところです。事実、個人と法人では賃料収入に対する税金や売却にかかる税金、相続の取り扱いが大きく異なるため、物件取得の目的や収入、財産状況、家族構成などを考慮しながら慎重に検討する必要があります。こちらのページでは、不動産投資のプロである株式会社ボルテックスが、個人・法人の各ケースにおける不動産取得についてご説明します。

相続税対策効果やデメリットなどを比較検討

個人で取得した場合法人で取得した場合

メリット
・投資用不動産の評価額圧縮効果により、直接相続財産額を減額できる。
・法人で取得した場合のように、土地評価額の「3年縛り」がない。
・賃料収入は法人に帰属するが、親族への給与支払いで分散が可能。
・相続の際に、不動産の相続登記をする必要がない。

デメリット
・家賃収入が個人の資産として蓄積される。
・賃料収入に対する税額が高くなる。
・取得後3年間は時価による評価のため、財産の圧縮効果が得られない(土地評価額の「3年縛り」)。
・自社の株価が高い状態でないと財産の圧縮効果を期待できない。
結論一般的には個人による取得が有利と言えます。ただし、相続発生まで時間的猶予がある場合や、自社の株価を下げて早期の事業承継を検討する必要がある場合は、法人での取得が有利になることがあります。

土地評価額の「3年縛り」とは

通常、土地の評価額は路線価や固定資産評価額をもとに算出されます。しかし、3年を経過しないと評価が定まらないため、この間は相続税評価額ではなく「時価」で評価されることになり、不動産による圧縮効果が得られません。なお、自社株式評価額の引き下げについては下記を参照ください。

キャピタルゲインで財産を構築する場合の有利・不利

不動産売却によって生じた利益には税金が課されますが、「長期譲渡の場合は個人取得が有利」「短期譲渡であれば法人有利」といったように、個人と法人の場合では所有期間に応じて有利・不利が逆転します。

長期譲渡短期譲渡
取得日から、譲渡日が属する年の1月1日時点で 5年を超える場合
個人有利
長期譲渡の税率20.315%<法人税の最高税率約35%
取得日から、譲渡日が属する年の1月1日時点で5年を超えない場合
法人有利
短期譲渡の税率39.63%>法人税の最高税率約35%

税率だけで判断するのは得策ではありません

含み損のある不動産を個人で所有している場合は、他の不動産の売却益が生じるタイミングで不動産の売却損を顕在化させます。こうすることで、売却益と売却損を相殺できるからです。また、法人の場合は最大9年間繰り越しが可能な青色欠損金を用いることで、売却益と相殺できるケースもあります。要は税率だけで判断するのではなく、その他の状況や条件を勘案した上で「個人か法人か」の選択を検討することが重要です。

インカムゲインに対する課税に留意し、財産価値を向上

投資用不動産による賃料収入(インカムゲイン)は、安定的な利益を得る良い手段です。しかし、投資効率をより高めるためには、賃料収入にかかる税金を可能な限り減らすための対策が欠かせません。なお、課税対象となるのは、賃貸収入から管理費、固定資産税、減価償却費、修繕費などの経費が控除された後の金額となります。

個人が不動産を所有する場合

個人が不動産を所有する場合には、賃料(不動産所得)から生じる所得に対して個別に課税されるわけではなく、給与や年金収入などと合算した金額から最高で55%(住民税を含む)が課税されることになります。所得税については細かい累進課税が取られており、不動産所得が加わる前の所得によって、不動産賃料から生じる所得に対する税率が決まります。

estate_01

法人が不動産を所有する場合

投資用不動産から生じる利益と事業所得などその他の利益とが合算されて税額が決まります。この場合の税率は最高でも約35%に留まります。したがって、不動産所得を含まない段階での個人所得で、すでに35%以上の所得税などが課税されている場合には、法人で課税されるほうが有利になります。

estate_02

所得税率と法人税率の比較

下記のグラフを見ていただく、法人では課税所得800万円を境に税率が急上昇し、一定額を超えるとほぼ個人のほうが高くなることがお分かりいただけるかと思います。また、法人で不動産投資事業を行う場合には、個人よりも経費として計上できる金額の範囲が拡大します。したがって、大元となる課税対象額を減らせば、個人の場合よりも税額を大きく減らすことが十分可能です。
※個人の場合には所得税の他に住民税、法人の場合に法人税の他に事業税、住民税などが課税されます。

estate_03

法人の経費算入例

法人なら、大元となる課税対象額を減らすためにさまざまな費用を経費として計上できます。下記にその一例を挙げています。

(事例1) 不動産管理を委託した配偶者への給与支給
同じことを個人で行うには、事業的規模であることや専業であることが必須条件となります。
(事例2) 法人業務に従事する親族への給与支給
個人の場合には生計を一にする親族への給与は経費にできません。
(事例3) 法人で加入した生命保険を経費に計上
個人の場合には上限が定められており、どんなに高額の保険料を払っても全額を控除できません。
(事例4) 全額ローンで購入した物件の支払い利息をすべて経費に計上
初年度などに個人の不動産所得がマイナスになると、土地取得費用にかかる利息について参入が制限されます。