
■「OFFICE REVIEW AI」とは
「OFFICE REVIEW AI」は、独自開発のAI評価システムを活用し、オフィスビルの価格や価値を可視化・分析するサービスです。本サービスが提示する推定相場価格(以下、参考値)は、AIによる画一的な算出ではありません。①市場全体の価格トレンドを予測するAIと、②当社が蓄積した過去の査定ノウハウ(人手の知見)を学習したAIなど、異なる視点を持つ複数のAIが多角的に分析を行います。
さらに、それらのAIの予測結果を、より高度なAIが統合し、最終的な参考値を算出します。このプロセスによりデータの信頼性を高め、不動産の専門家でなくても資産価値を把握しやすくすることを目指しています。
■背景と開発意図
2015年、当社は「オーナーポータルサイト」を開設しました。不動産の資産価値を金融商品と同じように“見える化”し、不動産オーナーが資産価値の変動を把握しながら意思決定できる環境を提供してまいりました。
このポータルサイトにより資産価値の可視化は進みましたが、オフィス市場における価格や価値の判断基準は依然として不透明であり、かつ算出に時間を要するという課題が浮き彫りになっていました。
こうした背景を踏まえ、当社はこれまで蓄積してきたデータとノウハウを活かし、AI技術を用いた「OFFICE REVIEW AI」を開発しました。本サービスは従来のポータルサイトで実現してきた“資産価値の見える化”をさらに進化させ、AIによる高精度かつ迅速な参考値の提示を通じて、不動産オーナーの意思決定をサポートします。
■サービスの特徴
・「市場の客観性」と「査定の専門性」を両立するAI評価
オフィスビルの価格評価には、データが豊富な賃料に比べ、取引事例が極めて少ない一棟価格はAIでの評価が困難という構造的な課題がありました。
当社独自の「AI価格査定システム」(特許出願中)は、こうしたデータの量の多寡に左右されることなく、AIが「フロア賃料」「フロア価格」「一棟価格」という3つの異なる指標を、統一的な基準で同時に高精度に算出することを可能にしました。
「OFFICE REVIEW AI」が提示するAI参考値は、この「市場ベースのAI」による客観的な予測と、当社が蓄積してきた「人手による過去の査定ノウハウ(専門性)」を学習したAIの予測、その両方を高度に統合しています。これにより、市場の動向だけでは捉えきれない実務的な知見も反映した、透明性の高い価格判断を実現しています。
・試行錯誤の末に実現した高精度AI査定
当社のAI査定プロジェクトは2018年10月に発足。コロナ禍による一時休止などの危機もありながら、長期にわたる取り組みを続けてきました。
区分所有オフィスの査定は、データの少なさや物件ごとの性質の不均一さ、フロア価値がビル全体に左右される点など、AI化には極めて困難な課題が多く存在します。これらの課題を解決するため、単一のAIモデルに依存する手法ではなく、市場の客観的トレンドと当社の査定ノウハウ(専門性)を学習させた複数のAIを高度に統合する「ハイブリッド評価」アーキテクチャを開発しました。
この長年の試行錯誤と独自のアーキテクチャ開発の結果、2025年9月の参考値(当社管理物件)において、AIと人による参考値乖離の誤差指標MER(※)は全体で0.58%、VORTシリーズでは0.51%と、高い精度を実現しています。
※MER(Median Error Rate/中央値誤差率):AIによる査定結果と実際の査定値との差額を実際の査定値で割った誤差率の中央値。値が小さいほど推定精度が高いことを示します。
・レビュー機能による多角的評価
価格だけでなく、立地・設備・賃料・路線価などを総合的に評価。ユーザーはレビューを通じて、実際の利用者視点で物件を比較できます。
・参考値算出時間の大幅削減
従来、半期ごと(3月・9月)に4名の担当者が約2,000フロア・約200棟の物件の参考値を約3カ月かけて算出・更新していました。膨大な物件数と情報量に対応するため、工程全体で約50時間を費やしていました。
「OFFICE REVIEW AI」の導入により、これらの作業がクリックひとつで完了するようになり、参考値算出にかかる時間と負担を大幅に削減できました。
■今後の展望
今後は、ユーザーからのフィードバックをもとに、AIの精度向上やレビュー機能の拡充を図ってまいります。

AIによる価格査定・レビューサービス「OFFICE REVIEW AI」提供開始のプレスリリースPDF版はこちら
Comments are closed.